経理

AIによって経理の仕事はなくなるのか

AIによって経理の仕事はなくなるのか

AI化が今後もあらゆる分野で進んでいくことは間違いないでしょう。

AIの分野へ世界的な規模で投資が行われ、その大きな成長性が期待されています。

その中で、経理の仕事も当然例外ではなく、AI化の波にさらされています。

経理の仕事は以前からアウトソーシングされることも多い仕事であり、定型化しやすいと一般的には考えられています。

そういう事情もあってか、「AI化によって経理の仕事はなくなる」と言われることが多いのも事実です。

では実際にAI化の波を受けて、経理の仕事がどのように変わっていくのか、または既に変わりつつあるのかといった点を、経理経験18年の筆者が考えてみました。

 

AI化とはそもそも何か?

AIとは「Artificial Intelligence(人工知能)」の略です。

つまり、人工的に作られた脳機能といった意味になるでしょう。

今までは人間にしかできなかったような複雑な思考や判断を、まさに人工的に再現しようとする技術です。

AI化とは、こうした技術を各分野に応用し、技術革新を起こすことであるとも言えます。

そして、ここで言う技術革新とは、少し乱暴な言い方をすれば、「今まで人間にしか出来なかったことをAIで代替する」ことに他なりません。

この点が、「AI化が進むと、(人がやる)仕事が減る」と言われる所以です。

 

AI化が可能な経理の仕事とは

 まず、AI化が可能だと思われる経理の仕事をいくつか挙げてみます。

・仕訳業務(今まではパターン化が難しかった複雑な仕訳もAIで行う)

・支払業務(請求書データの読み取りから支払処理までをAIで自動化)

・税務申告(細かい別表や特殊な別表も含め、税務申告書の作成をAIで全自動化)

・問合せ対応(AIチャットボット等によって社内外への問合せ対応をAI化)

・決算書分析(AI化によって様々な分析作業を自動化)

以上の通りいくつか挙げてみましたが、どれも共通するのは、既にある程度システム化されている業務が多いという点です。

例えば、最近の会計システムであれば、仕訳をパターン登録したり、支払条件をマスタ登録しておくことによって、一昔前は手作業でおこなっていた仕事をかなり自動化できるようになりました。

では、AI化によって何が変わるかというと、前述の会計システムの例でいえば、仕訳をパターン登録したり支払条件をマスタ登録する「作業自体」を自動化する、もっと言えば「どういった登録や設定をすべきか」ということもAIが判断し実行してくれるといったイメージになるでしょう。

つまり、従来の自動化というのは、まず前提があって、それを人の手で最初にパターン登録しておくことで機能していました。

一方、AI化というのは、様々な状況の変化をAI自体がキャッチし、固定的ではなく刻々と変わっていく「最適な前提」をタイムリーにはじき出して反映していくことです。

この適応力や応用力、可変性といったものがAI化の最大のメリットと言えるでしょう。

 

AI化が難しい経理の仕事とは?

一方、AI化が難しいと思われる経理の仕事を挙げるのは、実はそう簡単ではありません。

なぜなら、AIという分野はこれから発展していく分野なので、現時点でその限界が分からないためです。

今はAI化が難しいと思われていても、将来的には実現可能になることは十分考えられます。

以上を念頭においた上で、それでも敢えて挙げるとすれば、以下のようになります。

・定量的な情報だけでなく定性的な情報も必要な将来の業績予測などの仕事

・モチベーションや心理的安定に関わる感情的結びつきや人材育成

・AIがおこなう仕事自体の設計やメンテナンス

時代が進むにつれてAIの技術も発展していくのは間違い無いでしょう。

ただ、経理の仕事が完全にAIにとって変わられるようなことがあれば、その時は経理だけではなく、大半の仕事も同様の状況になっているのではないでしょうか。

 

AI化によって経理人材はなくなるの?

まず、現時点で既に、1つの会社で必要とされる経理人材の人数が、一昔前より減ってきていると考えられます。

なぜそう考えるかというと、実際に筆者の勤める会社でも、会社規模の拡大によって取引量や取引の種類が増えても、経理部門の人数は横ばいか、むしろ微減といった状況があるためです。

もちろん会社によって事情は様々ですが、会計システムの高機能化や様々な手続きの電子化、その他IT技術の普及がもたらす恩恵は多くの会社に共通するものです。

したがって、AI化を考える時、このように既に減少傾向にある経理人材の仕事数がさらに減るのか、もっと極論すればゼロになるのかという視点が考えられます。

筆者の予想では、AI化が今後大きく進むと、経理人材の仕事はさらに減少していくのは間違いないと思います。

特に新しい会社では、最初から経理人材の雇用人数を絞ることができるため、その減少傾向は顕著に表れると予想します。

なぜさらに減少していくのかというと、前述した通り、AIによって代替できると思われる経理の仕事が確かに存在するためです。

これまでIT技術の発達によって既に減少傾向にある経理人材が、AI化によってさらに減るというのは避けられないと考えます。

ただし、経理人材の仕事がゼロになる、つまり全く必要なくなるかというと、そうはならないというのが筆者の予想です。

その理由として、もちろん前述したようにAI化が難しいと思われる経理の仕事があるというのもありますが、それよりも、経理の仕事そのものが変化していくと予想するためです。

経理の仕事がどう変化するのかというと、AI化によって「人間にしかできない経理の仕事」だけが残った結果、本来の経理、つまり経理がその略称と言われている「経営管理」の方向にシフトしていくと考えられます。

AI化によって事務作業から解放された経理人材は、経理の原点について改めて考えざるを得なくなると思うからです。

経営管理、言い換えれば経営者の参謀役としての役割を、一部の会社だけではなく、あらゆる会社での経理人材が担うと予想しています。

AIの発展により、経理人材に求められるモノも変化していき、高度になっていくため、よりスキルや経験が求められる可能性は高いので、経理人材もただ作業をこなすだけでは、この先必要とされなくなるかもしれません。

 

まとめ:経理の仕事が全てなくなることはない

以上、AI化にともなう経理の仕事への影響について考えてきました。

筆者の予想では、AI化によって経理の仕事は間違いなく減っていくが、ゼロにはなりません。

いや、従来の意味の経理の仕事はAIにとってかわられて、ゼロになるかもしれません。

その代わり、本来の経理=経理管理として、経営者の参謀役となった経理人材が新しいロールモデルになると予想しています。

そういう意味では、経理人材にとってAI化とは、本来の経理とは何かという原点回帰を迫られるものであるのかもしれません。

 

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