現代では企業の収益アップに欠かせない顧客管理システム。
需要の高さから膨大な種類が提供されているため、自社に最適なシステムを選ぶのは困難です。
「導入を検討したいが、どのように選んでいいのかわからない」
「そもそも何ができるの?」
「代表的なシステムと導入メリットを知りたい」
顧客管理システムについては、このような疑問があることでしょう。
本記事では、顧客管理システムの仕組みや主な機能、導入メリットを解説していきます。
また、システムを選ぶポイントや、おすすめの顧客管理システムの紹介もしているため、ぜひ最後までご覧ください。
顧客管理システムとは何か
顧客管理システムは「CRM」とも呼ばれ、顧客情報を一元化して管理することで収益性アップへ貢献するために導入されます。
基本的には、既存顧客の氏名や住所、連絡先や訪問履歴といった情報を幅広く管理できるシステムです。
それでは、よく一緒に検討される「SFA(営業支援システム)」と「MA(マーケティング支援システム)」は何が違うのでしょうか。
SFAは、商談の獲得・成立の段階で役立つツールです。
見込み客に対するアプローチを可視化し、営業活動の無駄をなくすことで生産性を向上させます。
MAは、新規の見込み客獲得のために、サイト閲覧履歴などをもとに顧客選別・最適なアプローチ方法を導き出すために使われるツールです。
3種類のうち、すべてに対応したシステムもあれば、1種類の特化したシステムもあります。
自社の課題と目的に合わせて、ベストなシステムを選ぶ必要があるでしょう。
顧客管理システムの主な機能
顧客管理システムによって搭載されている機能はさまざまですが、主に下記の5つの機能が代表的です。
- 顧客の情報を一元管理
- 顧客対応をサポート
- 複数端末に対応可能
- 営業活動のサポート
- マーケティングの支援
それでは、顧客管理システムによく搭載されている5つの機能を解説していきます。
顧客の情報を一元管理
顧客管理システムでは、顧客や取引先の名前や住所、電話番号やメールアドレスといった連絡先情報を一元的に管理できます。
また、こうした個人情報だけではなく、取引や商談の履歴や購入履歴なども管理できるシステムも多いです。
法人が顧客の場合、窓口となる担当者名も管理できるシステムをおすすめします。
顧客対応をサポート
顧客に商品・サービスを販売できても、きちんとアフターフォローをできなければリピート率は低下してしまいます。
しかし、新規顧客の獲得に人材コストがかかって、アフターフォローまで手が回らないこともあるでしょう。
そんな企業にとってメリットが大きいのが、顧客管理システムの「顧客対応サポート機能」です。
例えば、電話をかけてきた顧客の情報がPC画面へ即座に表示されるCTI連携機能や、受け付けたメールを顧客ごとに自動振り分けを行う機能などが挙げられます。
顧客管理システムにこのような機能があれば、業務効率化へ大いに役立つことでしょう。
複数端末に対応可能
顧客や取引先のもとへ移動している際や出張中など、顧客情報を社外で確認したい場合は少なくありません。
顧客管理システムの多くは、PCだけではなくスマートフォンやタブレット端末に対応していて、社外でもシステムにアクセスできるようになっています。
複数端末に対応している顧客管理システムであれば、移動時間を業務に充てられるようになって業務効率化が実現するメリットも気概できます。
営業活動のサポート
顧客管理システムと類似したシステムにSFA(営業支援システム)が挙げられますが、顧客管理システムのなかにはSFAの機能を含有したものがあります。
具体的には、営業スケジュールをチーム内で共有できる機能や、商品在庫の管理機能、売上予測機能が挙げられます。
こうした機能を利用すれば、営業活動がスムーズになるだけではなく、商品の受発注業務も効率化できるようになるはずです。
マーケティングの支援
顧客管理システムを主に利用するのは営業部門と思われがちですが、実はマーケティング部門の業務に役立つ機能も搭載されています。
商品販売のキャンペーン情報管理機能や一括でのメール配信機能、SNSとの連携機能などがあれば、マーケティング戦略をサポートしてくれるはずです。
営業活動のサポートだけではなく、新規顧客獲得をよりスムーズに行うためのマーケティング支援機能は、企業の売上アップにつながることでしょう。
顧客管理システムの導入メリット
顧客管理システムを導入すると、業務効率化やスムーズな情報共有の実現、顧客満足度の向上といったメリットを期待できます。
ここでは、顧客管理システムを導入することで具体的にどのようなメリットがあるのか、詳しく見ていきます。
業務効率化が実現
顧客管理システムでは、顧客に関するありとあらゆる情報を簡単に確認できるようになります。
その結果、資料を作成したり、顧客からの問い合わせを受けたりしたときに、スムーズに業務をこなせるメリットを期待できます。
特に、CTI連携機能がある顧客管理システムであれば、電話をかけてきた顧客の情報がPC画面へ即座に表示されるためスピーディーな対応が実現します。
また、業務効率化が実現すれば、ほかの業務に手を回せるようになって、企業の利益が向上する可能性も高いです。
情報共有がスムーズに
同一の顧客や取引先に対して、複数の担当者が対応する場面は少なくありません。
例えば、退職や異動といった理由で引継ぎを行う場合や、急な休みで別の従業員が対応せざるを得ない場合が挙げられます。
こうしたシーンでも、顧客管理システムを見れば顧客の情報をすべて確認できるため、情報共有がスムーズに進むでしょう。
さらに、商談や取引の履歴や進捗状況をシステム上で一元管理できれば、会議や打ち合わせの頻度が少なく済むかもしれません。
顧客満足度の向上
顧客管理システムを導入すると、営業活動や問い合わせ受付といった場面で、顧客情報に即した適切な対応をとりやすくなります。
その結果、顧客満足度が向上して、リピート率がアップしたり顧客単価が上がったりといったメリットも期待できます。
顧客管理システムを選ぶポイント
ここまで、顧客管理システムの仕組みや主な機能、導入メリットを解説してきました。
しかし、顧客管理システムにはとても多くの製品が存在しています。
せっかく導入しても、自社に合わなければ無駄なコストになってしまいます。
自社に合うシステムを選ぶためには、どのようなポイントに気を付けるべきなのでしょうか?
「費用を払ったのに使いこなせず、収益も上がらなかった…」という事態を防ぐために、ベストなシステム選定のための3つのポイントをまとめました。
- 必要な機能を備えているか
- セキュリティ面がしっかりしているか
- 使用者が使いこなせるか
自社にとってこの3つをクリアしているかを基準に、顧客管理システムを選びましょう。
1. 必要な機能を備えているか
多機能なシステムが多く、顧客管理機能に加えてSFAやMAの機能を備えている場合もあります。
自社の課題解決に必要な機能を十分検討し、適切なシステムを選びましょう。
2. セキュリティ面がしっかりしているか
重要な顧客情報が漏えいするリスクを忘れないでください。
一度でも情報漏えいすると信用を大きく損うため、セキュリティ面が万全なシステムを選ぶことが重要です。
3. 使用者が使いこなせるか
せっかく導入したのに使用者が使いこなせなければ意味がありません。
新しいシステム導入は、現場に負担を与えます。
社内の既存システムとの連携も加味してシステムを選定し、新しく覚える負担を最小限にする努力をしましょう。
おすすめの顧客管理システムを比較
導入を検討するとき、少し調べただけでも多くの情報が出てきて迷ってしまうのではないでしょうか。
ここからは国内でも多数の導入実績がある顧客管理システムを3つ紹介します。
それぞれ強みが違うので、自社には何が必要かをよく考えながら比較しましょう。
Salesforce
1つ目は、Salesforceです。
【プラン・料金】
プラン名 | 1ユーザー当たりの価格 (月額/年間契約の場合) |
特徴 |
Essentials | 3000円 | ユーザー数10名以下 |
Professional | 9000円 | 基本機能が充実 |
Enterprise(1番人気) | 18000円 | 自社に合わせたカスタマイズが可能 |
Unlimited | 36000円 | 無制限サポートあり 最も多機能 |
【こんな企業におすすめ】
顧客・案件情報に限らず引き合いや売り上げ予測、売り上げ実績などあらゆるデータを一元管理したい企業
【特徴・概要】
国内導入5000社、世界では15万社以上が導入している世界シェア1位の顧客管理システムです。
SalesforceはSFA(営業支援)との連携が強いクラウド型の顧客管理システム。
顧客満足度も高く、さまざまな機能が充実しているのが特徴です。
しかし、多機能でカスタマイズ性にも優れている分、使いこなすのが難しいといえるでしょう。
1番人気のEnterpriseプランは1ユーザーにつきひと月18000円と高めなのもデメリット。
オンラインサポートのみであり、使いこなすために専任の担当者を選出している企業も多いようです。
eセールスマネージャーRemix Cloud
2つ目は、eセールスマネージャーRemix Cloudです。
【プラン・料金】
プラン名 | 1ユーザー当たりの価格 (月額) |
特徴 |
スタンダード | 11000円 | 顧客管理・営業管理の基本機能全てが使用可能 |
ナレッジシェア(閲覧のみ) | 6000円 | 案件情報や商談の登録はできず履歴などの参照のみ |
スケジュールシェア (グループウェアのみ) |
3000円 | 案件・商談情報の登録と参照以外の機能が使用可能 |
【こんな企業におすすめ】
営業プロセスの効率化を重視したい企業
手厚いサポートとアフターフォローを重視する企業
【特徴・概要】
eセールスマネージャーRemix Cloudは、2021年に総合満足度1位を獲得している顧客管理システムです。
SFAとしても評価が高く、営業の業務改善に役立つツールが多いのが特徴です。
プランは3種類ありますがユーザーの要望に合わせてカスタマイズした見積もりを出してくれます。
さらに、純国産のためサポートが充実しているのも大きな特徴です。
サポート方法も訪問、ウェブ、電話など多岐にわたっており、アフターフォローも万全!
定着率は他社では平均20%のところ、驚異の95%となっています。
Microsoft dynamics365
3つ目は、Microsoft dynamics365です。
【プラン・料金】
プラン名 | 1ユーザー当たりの価格 (月額) |
特徴 |
Marketing | 163070円~ (テナント当たりのみ) |
各プランはいくつかに分類され、機能と料金が異なる |
Sales | 7070円~ | |
Customer Service | 5440円~ |
【こんな企業におすすめ】
Office製品を日常的に使用している企業
【特徴・概要】
Outlook(メール)、Word、Excelは日常的に使っている企業も多いのではないでしょうか。
Microsoft社が提供しており、Office製品との連携に優れているのが最大のメリット。
dynamic365はOutlookで送受信したメールを顧客活動履歴としてCRMに反映させることが可能です。
さらに、Dynamic365のデータから、Excelに取り込んでさまざまな角度から分析し、レポートを作るなど、使い慣れたoffice製品と連携して業務を効率よく進められます。
ターゲット抽出とデータ分析の操作も簡単で、抽出した顧客にそのままDMを送信する機能もあります。
直感的に使いこなせる機能が多いので、他のシステム導入より従業員への負担を減らせるでしょう。
ただし比較的割高で、日本での導入実績はまだ少ないようです。
SATORI
4つ目は、SATORIです。
【プラン・料金】
プラン名 | 月額価格 | 特徴 |
※プランは1つのみ | 148,000円~ ※従量課金が発生する場合があります |
別途初期費用が 300,000円がかかります。 |
【こんな企業におすすめ】
マーケティングに重きをおき、営業活動を進めたい企業
【特徴・概要】
タクシーに乗られる方は、SATORIの車内広告を見たことがある方もいるかもしれません。
SATORIは、マーケティング機能が充実している顧客管理システムになります。
主な機能としては、メール配信、情報の登録/編集/削除、リードの経路分析、セグメント豊富なレポートなどです。
営業顧客管理にとどまらず、メール配信、広告制作・分析サポート、LPの作成サポートなど幅広い機能も備え付けられています。
Zoho CRM
5つ目は、Zoho CRMです。
【プラン・料金】
プラン名 | 月額価格/1ユーザーあたり | 特徴 |
スタンダード | 1,680円~ | 各プランはいくつかに分類され、機能と料金が異なる |
プロフェッショナル | 2,760円〜 | |
エンタープライズ | 4,800円〜 | |
アルティメット | 6,240円〜 |
【こんな企業におすすめ】
必要な機能をカスタマイズしたい企業
【特徴・概要】
Zoho CRMは、プランによって、データストレージ(システムの容量)、CRM、ベーシックSFA、エンタープライズSFA、トレンド機能、機能制限の拡張の6つをどこまで利用するかを決めることができます。
1番上のプランであれば、全部利用できますし、1番下のプランであれば、CRMのみが付帯されています。
自社に必要な機能をカスタマイズして柔軟に利用することができます。
AI機能も搭載されており、日々の管理作業をロボットがサポートしてくれます。
まとめ:顧客管理システムの特徴を把握し、比較検討しましょう
今回は顧客管理システムについて、紹介してきました。
自社に適した顧客管理システムを導入できれば、これまで曖昧だった顧客のニーズを客観的に分析できるようになり、手厚いサポート体制の構築も可能です。
営業活動やマーケティング戦略にも役立つことでしょう。
顧客管理に課題があれば、ぜひ導入を検討してみてください。