最近のビジネスシーンにおいては、RPAツール導入で業務効率化を図る企業が増えてきています。
実は、そのRPAツールにはさまざまな種類があることをご存知でしょうか?
本記事では、そのなかでも特に手軽に導入できるクラウド型RPAツールについて解説していきます。
本記事を読むことで、クラウド型RPAツールの概要やメリット、活用事例を学べます。
また、クラウド型RPAツールをいくつかピックアップして、それぞれの特徴や料金を比較していきます。
企業のシステム担当者や業務効率化を課題とする企業担当者は、ぜひ本記事を参考にしてください。
まずはRPAツールの定義を確認
クラウド型RPAツールについて解説する前に、まずはRPAツールの定義を確認しましょう。
RPAとは、Robotic Process Automationの略で、単純作業や定型業務をロボットによって自動化する仕組みです。
例えば、データ入力や画像加工、メール操作といった作業がRPAによって自動化されることが多いです。
最近では、RPAツールの導入によってバックオフィス業務を自動化し、担当者の業務負担を減らしたり業務効率を高めたりといった取り組みが増えています。
RPAツールは大きくわけて、オンプレミス型RPAとクラウド型RPAが存在します。
オンプレミス型RPAとは、自社サーバーやPCにRPAのソフトウェアをインストールし、運用を行うRPAです。
そして、本記事で取り扱うクラウド型RPAについては、次の項目で解説します。
クラウド型RPAツールとは
クラウド型RPAツールは、ベンダーが管理するクラウドサーバーにインターネット経由で接続して、ロボットを利用する仕組みです。
クラウド型RPAツールはオンプレミス型RPAと比較して、自動化できる業務範囲が限定的です。
その一方で、導入や運用の手間や料金を安く抑えられるメリットが存在します。
クラウド型RPAツールでは、システム障害の対応やアップデートはツール提供元が行ってくれるため、自社の負担が減ります。
自社内にRPAに関して専門的スキルを有する人材がいなくても、手軽に導入できる点がメリットです。
また、オンプレミス型RPAより、スピーディに導入できる点も魅力的です。
オンプレミス型RPAでは、導入までにサーバーへのソフトダウンロードや、RPAツールの開発といった手順を踏む必要があります。
一方、クラウド型RPAツールであれば、ログインのIDやPWを入力するだけで、どのPCからでもすぐにログインできて、WEBサービスを利用するような感覚で利用できます。
クラウド型RPAツールにおいては、セキュリティー面はツール提供元に委ねる形になるため、不安に感じることもあるかもしれません。
しかし、最近はセキュリティレベルが格段に厳格化しているため、安心できる環境が整っています。
クラウド型RPAツールの活用事例
ここでは、クラウド型RPAの活用事例をいくつか見ていきます。
自社のどの業務をRPAで自動化できそうか、考えながら読んでみてください。
1.顧客リストの作成業務を自動化
RPAツールは、データの転記などの単純作業を得意とします。
これを応用すれば、営業担当者が作成した営業報告書の内容をコピーし、顧客リストへペーストすることが可能です。
そのため、営業担当者が作業を行わなくても、クラウド型RPAツールによって自動的に顧客リストが作成されます。
その結果、営業担当者の業務負担が減って、本来の営業活動へ全力を注げるようになるはずです。
2.マーケティング用のデータ収集を自動化
マーケティングや広告などの部門では、施策を考えるためのデータをWEBやSNSで収集する業務が発生します。
そして、そのデータの種類や数は多ければ多いほど、精度の高いマーケティングが可能になると言われています。
しかし、こうしたデータ収集業務は時間と手間がかかるため、RPAツールによって自動化するのがおすすめです。
人の手では集められないほど膨大なデータを、RPAツールは一瞬にして収集します。
このように、クラウド型RPAツールは、マーケティングや広告部門でのデータ収集にも役立ちます。
3.交通費精算の確認業務を自動化
経理部では、従業員から申請される交通費精算書を日々チェックする業務が発生します。
インターネット検索を使って、申請された内容が実際の交通費とかけ離れていないかどうかを一つひとつ確認するのは時間がかかる作業です。
しかし、クラウド型RPAツールであれば、乗換案内などのサイトを利用して自動的に交通費のチェックを行ってくれます。
担当者の業務負担が減って業務効率化につながるだけではなく、目視でのチェックが減るためヒューマンエラーの防止にもなり得ます。
また、本記事で紹介した業務以外でも、定型業務のほとんどはクラウド型RPAツールが自動化できます。
クラウド型PRAツールを利用する際の注意点
クラウド型PRAツールを利用するなら、どのような注意点があるのか知っておきたいでしょう。
注意点を知っておくことでリスクを管理することが可能です。
クラウド型PRAツールには以下のような注意点があります。
ブラウザ上の作業に限定される
クラウド型PRツールを利用するなら、ブラウザ上の作業に限定されてしまうことが注意点です。
ブラウザ上で利用することができるため、インターネットがあるならどこでもアクセスして作業することができますが、一方でツールやシステムとの連携が難しい場合もあります。
例えば、パソコンにインストールしてあるツールや社内で取り入れているシステムは自動化することができないため、作業工程が限定されることになる可能性があります。
作業の効率性を向上するために導入を検討しても、実際のカスタマイズ性が低いため、上手く連携できずに効率が落ちてしまうこともあるでしょう。
そのため、クラウド型PRAツールを利用するときはブラウザによる作業で、どれほど性能を向上させることができるのか計算しておく必要があるでしょう。
インターネット回線による影響でシステムダウンすることもある
クラウド型PRAツールは、インターネットを利用してプラウザの作業に限定されます。
そのため、インターネット回線で不調が発生した場合は、システム自体が使用できなくなります。
もし、不調でインターネット接続が不安定な状態が続くなら、作業が滞ることになるため、業務自体に悪影響が生じることになるでしょう。
クラウド型PRAツールを利用するときは、インターネットを安定させるために利用するサーバーも確認することが大事です。
万が一アクシデントが発生した場合に備えて、マニュアルを作成しておくと、復旧を素早く行うことができ、作業も行うことが可能です。
インターネットの回線には注意しておくようにしましょう。
セキュリティ対策を行っておく
クラウド型PRAツールを利用するときは、セキュリティ対策についても確認しておきましょう。
クラウド型PRAツールはインターネットを利用することから、データを外部サイトにアップします。
そのため、サイバー攻撃や不正アクセスなどによる攻撃を受けやすい面もあり、情報漏洩するリスクがあります。
企業のデータの中には機密情報やいろいろな取引リストなどもあることから、万が一漏洩することになれば信頼を失うだけではなく、多大な損害を被ることになるでしょう。
そのため、セキュリティ対策をしっかり講じておくことが大事です。
セキュリティ対策としてはウイルス対策やサイバー攻撃を回避できるようなソフトをインストールしておくこと、またパスワードの強化を行うことなどができます。
ツールによって独自でセキュリティ強化を行っているところもあるため、自社に合うツールを見つけて利用することも考えてください。
クラウド型PRAツールを選ぶポイント
クラウド型PRAツールを利用するときには、選ぶポイントについても考慮しておくのがおすすめです。
各業者によって特徴などに違いがあるので、自社に最適なものを選択する必要があります。
以下のようなポイントがあります。
サポートは充実しているか
クラウド型PRAツールを利用するときは、サポートの充実度を確認するようにしましょう。
継続して利用するためには、定期的なメンテナンスや運用を行うためのサポートが必要です。
提供先によって現場社員の育成のために、マニュアルを準備している業者、またはオンラインによるチャットサービスを展開しているところもあります。
サポート内容により使い方はだいぶ変わるはずなので、確認しておきましょう。
コスト面
クラウド型PRAツールを導入するときは、初期費用と月額費用がかかってきます。
費用は無料のものから何百万円もかかるものなど幅が広いため、自社にあったコストになっているか確認すべきです。
また、オプションなどを追加するなら、それだけ費用が加算されることにもなるため、経営とのバランスを保つようにしましょう。
クラウド型RPAツールを徹底比較!5選
ここでは、クラウド型RPAツールの特徴や料金を含めて、比較していきます。
ツール名 | 提供会社 | 特徴 | 料金 |
---|---|---|---|
UiPath Automation Cloud | UiPath社(アメリカ) | ・2019年時点で世界各国において約5,000社以上に導入されている ・ツールを解説する日本語のサイトや動画も数多く存在 ・特定条件を満たせば無償で試用可能 |
初期費用・年間費用は個別見積 |
クラウドBOT | 株式会社C-RISE(日本) | ・いつも使っているブラウザで通常の操作を行うとそれを自動記録するため簡単 ・最初から自動記録機能を搭載 ・ベンダーがオンラインでの相談を追加費用無しで対応 |
幅広い月額プランを用意 月に30分利用できる無料プランあり 有料版は月額3,000円から |
BizteX Cobit | BizteX社(日本) | ・2021年時点で1,400社以上で導入されている ・サイバーエージェントやカゴメなどの大手企業でも利用 ・プログラミングの知識がない人でも直感的に扱えるようなUI ・利用するユーザーの数ではなく、ロボットの稼働ステップ数によってプランが設定 ・ライセンス1つにつき、アカウントや作成ロボット数は無制限 |
エントリープランは月10万円からで、ロボットの稼働ステップ数は10万 1週間無料で試せるトライアルプランあり |
batton | batton社(日本) | ・「日本一シンプルで簡単なRPA」がテーマ ・画面操作とキーボード操作だけでRPAロボットを作れる ・手厚いカスタマーサポートがあり、安心してRPAロボットを作成可能 ・PCや環境が変わっても、AIが違いを自動検出して問題なく稼働 ・すでに用意されているRPAのレシピが数多く存在 |
1ライセンスあたり月額107,800円(税込) 初回のみ30日間無料で利用できるトライアルあり |
クーペル | DeNA社(日本) | ・中小企業〜大企業まで数多くの企業が導入 ・プログラミング知識がない方でもロボット作成できる工夫 ・困ったことがあればクーペルのサポートチームがお手伝い |
1アカウントにつき月額5,400円から |
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UiPath Automation Cloud
1つ目は、UiPath Automation Cloudです。
UiPath Automation Cloudは、アメリカに本社がある世界的トップベンダーのUiPath社が提供するRPAツールです。
グローバル企業での導入が2019年には約5,000社以上と、世界中の大手企業で使われているツールです。
海外製のツールと聞くと言語などの点で不安に思われるかもしれません。
しかし、UiPath社は2017年より日本法人も設立しています。
またツールを解説する日本語のサイトや動画も数多く存在しています。
そして特定条件を満たせば無償で試用ができ、日本でも利用者が多いツールです。
【利用金額】
年間利用のサブスクリプションでの契約です。
初期費用や年間費用については個別に見積もりです。
とはいえ一定期間での無料での試用も可能ですので、まずはトライしてみるとよいでしょう。
クラウドBOT
2つ目は、クラウドBOTです。
クラウドBOTは、株式会社C-RISEが提供している国産のクラウド型RPAツールです。
よくあるRPAでのロボット作成は、作業に沿ったフローを作って行う仕様が多いです。
そのフローを作る際には、多少のプログラミング知識が必要です。
ですがクラウドBOTはその必要はありません。
フローを意識することなく、いつも使っているブラウザで通常の操作を行うとそれを自動記録してくれます。
あとは記録されたロボットを動かせば、自動で業務が行えます。
その自動記録も、他のRPAツールの場合は別にプラグインやソフトをインストールしなければならないことが多いです。
しかし、クラウドBOTは最初から自動記録機能を搭載しているため、すぐに記録を行えます。
完全にノーコードのツールであり、プログラミングの知識がない人でも独学でロボットを作ることができます。
もちろん、さらに複雑な操作をしたい場合には、ベンダーがドキュメントの提供やチャット・オンラインでの相談を追加費用無しで対応してくれます。
【利用金額】
料金ですが、規模によってさまざまなプランが用意されています。
学習目的や個人的な利用であれば、なんと無料でのプランもあります。これは月に30分利用できるプランです。
また、有料版も月額3,000円からとハードルが高くありません。
このプランでも小規模事業向けであり、数人で共同利用が可能になっています。
さらに大規模なプランでは、月160時間、100個のロボットを並行して動かせるものもあります。
BizteX Cobit
3つ目は、BizteX Cobitです。
BizteX社が提供するBizteX Cobitは、2017年に国内初のクラウド型RPAツールとして開発されました。
2021年には1,400社以上で導入され、サイバーエージェントやカゴメなどの大手企業でも利用されています。
インターネット環境さえあれば即日の利用が可能です。
また、プログラミングの知識がない人でも直感的に扱えるようなUIを目指して開発されています。
【利用金額】
他社のRPAツールでは、利用ユーザー数によって金額が異なります。
しかし、BizteX Cobitは、利用するユーザーの数ではなく、ロボットの稼働ステップ数によってプランが設定されています。
そして、ライセンス1つにつき、アカウントや作成ロボット数は無制限です。
エントリープランは月10万円からで、ロボットの稼働ステップ数は10万です。
また、トライアルプランがあり、1週間無料で試せます。
これはRPAを検討している企業からしてもハードルが低く、お試ししやすいですね。
batton
4つ目は、battonです。
batton社が提供する国産RPAツールの大きな特徴は、「日本一シンプルで簡単なRPA」を目指して作られていることです。
RPAを導入した企業が、途中で挫折することは稀ではありません。
その原因の一つに、RPAツールの使いにくさがあります。
そこで、battonでは、画面操作とキーボード操作だけでRPAロボットを作れるようにしています。
とても見やすく、使いやすいUIになっています。
また、手厚いカスタマーサポートがあり、安心してRPAロボットを作成できます。
さらに、battonにはほかにない強みがあります。それはAIを搭載していることです。
例えばPCや環境が変わっても、画像解像度が同じであれば、AIが違いを自動検出して問題なく稼働できるようになっています。
また、自分のPCでRPAツールを動かせない場合も、仮想空間で稼働することができます。
PCやサーバを用意するにはどうしても高額な費用が必要になりますが、その心配がいりません。
battonでは、すでに用意されているRPAのレシピが数多くあります。
これをコピーして利用すれば、「ロボットを作る」ことの難しさを考えなくても作ることができます。
【利用金額】
料金は、1ライセンスあたり月額107,800円(税込)です。
またトライアルとして、初回のみ30日間無料で利用することもできます。
クーペル
5つ目は、クーペルです。
クーペルは、 DeNA社が手掛けているRPAツールで、中小企業〜大企業まで数多くの企業が導入をしています。
初心者の方でも自分の手でロボット作成できることを目指したRPAで、変数定義が不要など、プログラミング知識がない方でもロボット作成できる工夫がたくさんあります。
何か困ったことがあれば、クーペルのサポートチームがお手伝いしてくれるため安心です。
【利用金額】
5,400円〜/月
※1アカウントにつき
まとめ:クラウド型RPAで作業を効率化!
ここまで、クラウド型RPAツールについてみてきました。
クラウド型RPAツールにはさまざまな種類があり、料金や特徴もそれぞれ異なります。
まずは自社の状況や環境を検討したうえで、どのツールを導入するかを検討してみましょう。
無料でのトライアルを用意しているツールもいくつかあるため、できそうな業務から試してみてはいかがでしょうか。