その他

デジタルタトゥーとは?消せない危険性や巻き込まれない対処法も紹介

デジタルタトゥーとは?消せない危険性や巻き込まれない対処法も紹介

インターネットや個人のデーターなどが残り続ける「デジタルタトゥー」という言葉を知っていますか。

個人が自分の情報や写真をSNSなどで気軽にアップできるようになり、「デジタルタトゥー」が深刻な問題になっています。しかし、多くの人はまだデジタルタトゥーの危険性について理解していません。

このデジタルタトゥーがどのようにしてわたしたちに影響を与えるのか、デジタルタトゥーが身近に起きた場合にどう対処したらよいかを解説します。

自分や身近な人がトラブルに巻き込まれないようにぜひ、参考にしてください。

 

 

デジタルタトゥーとは

デジタルタトゥーは「デジタルdigital」と「タトゥーtatoo」からなる造語で、完全に消すことのできないタトゥー(刺青)に例えた表現です。

一度インターネット上に公開された情報が拡散すると、半永久的に残り続けるため、悪影響を及ぼす問題として取り上げられています。

例えば、個人が何気なく投稿した文字や動画・写真などが後にトラブルとなって残り続けることや、自分にとって不利益なデジタルデータが流出して消せないということです。

 

 

デジタルタトゥーは消せるのか?いつまで残るのか

自分の不利益となるデジタルデータを完全に消すことはできません。

そもそもデジタルデータはインターネット上だけに存在しているのではなく、個人のスマホやパソコンといったあらゆる場所に存在します。

そのため、SNSのアカウントを消すと、大元のデータは消えますが、それがリツイートされたり、スクリーンショットされたりすると完全に消すことが難しくなります。

 

 

デジタルタトゥーの種類

気軽にアップできる発言や動画や写真が、どのようにしてデジタルタトゥーとなるのか、その危険性について解説します。

個人情報

SNSに投稿する写真や文字から、個人の氏名・住所・連絡先などの個人情報を特定できることがあります。

はっきりと個人情報を書かなくても、個人を見つけ出すヒントとなるものがあるだけで、個人を特定できます。

  • 写真や動画の風景から住所を特定できた
  • ガラスに反射している映像から個人の顔が判明できた
  • 家に飾っている写真や作品に子どもの名前や顔が映っていた
  • 個人が今いる場所や予定が把握できる

個人情報の流出により、ストーカー被害やいたずらなどの嫌がらせをされるケースもあるでしょう。

特に子どもの投稿にも注意が必要です。安易に投稿した情報からトラブルに巻き込まれる危険性もあります。

 

悪ふざけ

友だち同士でノリでとった写真は冷静になると恥ずかしくなることや、若気の至りが後に問題となることもあります。

本人が撮っていなくても誰かがデータを持っていたり、本人の知らないところで撮られている可能性もあり、それが拡散されると誹謗中傷のターゲットにされてしまいます。

近年では、反社会的な行動を自慢するようなSNS投稿やアルバイト先や飲食店でのモラルを欠いた行為なども、社会的に大きな問題となりました。

軽いノリのつもりがメディアでも取り上げられて、一生を左右するほどのトラブルに発展します。

 

誹謗中傷やデマ

SNSで特に多い内容は、誹謗中傷やデマです。多くのSNSが匿名で利用できるため、過激な言葉を使ったり、思ったことをそのまま投稿できたりします。

投稿した内容が一部分だけ切りとられ、違う内容として受け取られる危険性もあるため、インターネット上の発言は慎重さが必要です。

SNSを受け取る側も情報の正誤を確かめずにそのまま拡散すると、デマの加担をしてしまうケースもあります。

インターネット上の情報は正しいと思い込まず、見極めが必要です。

 

リベンジポルノ

リベンジとは復讐を意味するもので、元交際相手や元配偶者によって性的なプライベート写真や動画をインターネット上に公開することです。

具体的には、勝手に撮影されること・「拡散する」と脅されること・勝手に拡散されたことという被害があります。このように、リベンジポルノは被害者にとって精神的な苦痛を与えるものです。

リベンジポルノの被害は2022年では1,728件と最多を更新し、女性が8割を占めています。

年齢も20代が42.0%・10代以下は27.5%と、低年齢の被害が7割以上です。

元交際相手ではなくSNS上で知り合っただけの関係など、身近なところで被害が拡大しています。

 

逮捕歴や前科

警察に逮捕されても起訴されないケースがあり、不起訴になれば有罪になりません。

しかし、メディアでは逮捕や事件が大きく取り扱われ実名で報道され、拡散されてしまいます。

その後は不起訴や冤罪であっても一度報道されたものを消すことは難しく、当事者に大きな影響を与えます。

事件=悪者としたイメージが根強いので、その印象を払拭することは容易ではありません。

 

 

デジタルタトゥーの社会的影響

デジタルタトゥーが個人や周囲にどのような影響を与えるのかについて説明します。

交際や結婚

デジタルタトゥーによって、実名検索すると個人情報を簡単に調べられます。

個人に不利益な情報があれば、別れの原因や結婚が破談になる可能性もあるでしょう。

また、当事者は知らなくても相手の家族や知り合いから情報提供されるというケースも考えられます。

特にリベンジポルノなどによって性的動画や写真が拡散されることは、結婚や交際に大きく影響するでしょう。

 

就職活動や職場

個人のネガティブな投稿がインターネット上にあると、就職活動に大きな影響を与えます。

就職活動において、人事が学生のSNSをチェックする企業が増えており、採用の合否に大きく関係しています。

企業にとってブランドイメージは重要で、風評被害によって大きなダメージを受けるからです。実際に内定を取り消されたという事例もあり、自分の投稿には気を付けましょう。

また、本人や家族に関するデジタルタトゥーによって、職場の昇給が取り消されることや、解雇されることもあります。重大な事であれば、会社から損害賠償を請求される可能性もあります。

 

学校

学生であってもデジタルタトゥーによって、大学や専門学校を退学になったという事例があります。

アルバイトでの悪ふざけの動画や投稿が拡散され、身元がバレて退学になっています。

また、未成年のいたずらでも、犯罪になり、風評被害にあった店側から多額の賠償責任を請求されるケースもあります。

 

入居審査

賃貸の際に行われる入居審査がデジタルタトゥーの影響を受けることがあります。

入居審査とは借主が安心して貸せる人物かを判断するもので、主に家賃の支払い能力やトラブルはないかという点をチェックされます。

もし、実名で調べられて逮捕歴や前科があれば、賃貸を断られてしまうでしょう。

 

家族や周囲

デジタルタトゥーにより実名や住所が特定されると、家族にも影響を与えるでしょう。

例えば、嫌がらせにあったり、子どもが学校でいじめに遭う、近所から陰口を言われて居づらくなったりするケースがあります。

また、家族の勤める会社に嫌がらせの電話やメールが届くという被害も出ています。

 

 

デジタルタトゥーのトラブルに巻き込まれた時の対処法

実際にトラブルに巻き込まれたとき、どう対処したらよいかを解説します。

自分でできる対処法

まずは自分ですぐにできる対処法を試してみましょう。

アカウントを消す

もし、自分が投稿したSNSから拡散されたものであれば、すぐにアカウントを消去しましょう。ただし、自分の投稿を消しても第三者による拡散は止められません。

アカウントを消す場合は証拠となる投稿などはスクショして保存しておくことをおすすめします。

投稿者に削除依頼する

自分の投稿ではない場合は、投稿者に削除の依頼をしましょう。SNSであれば、DMなどを使って、コンタクトが取れます。

ただ、投稿者によっては素直に応じてくれるとは限りません。

サイト管理者に削除依頼する

投稿者が応じてくれず、第三者への拡散が見られる場合は、サイトの運営側に削除を求めましょう。多くのサイトには問い合わせ機能が用意されているので、そちらから報告してください。

しかし、要請に応じてももらえないことや、返信すらもらえないこともあることは覚悟して臨んでください。

 

専門家へ相談

自分で解決することが無理な場合は、次の手段を試してみましょう。

公的機関へ相談する

誹謗中傷やリベンジポルノを相談する機関が設けられています。公的機関の中には、自分の辛い気持ちを無料で相談に乗ってくれるので、利用してみましょう。

違法有害情報相談センター:インターネット上の誹謗中傷(嫌がらせ)や違法を削除する方法や相手を特定するにはどうしたらよいかといったアドバイスや情報提供している機関。登録が必要。

一般社団法人:セーファーインターネット協会:ネットの誹謗中傷や違法行為・リベンジポルノの通報や削除依頼ができます。こちらの機関以外にも悩みの相談や警察への連絡も推奨しています。

以上の機関を利用する上で、注意することは誹謗中傷に該当する投稿を証拠として保存しておくことです。

  • 投稿のスクリーンショット
  • 投稿の投稿日時
  • 投稿のURL

警察に被害届を出す

公的機関を利用するとともに悪質な誹謗中傷やリベンジポルノなどは警察に相談しましょう。名誉棄損罪や侮辱罪として刑事責任を問うこともできます。

その場合も証拠となるように、これらを記録しておきましょう。

  • 掲載されたサイトやSNSのページを印刷
  • サイトの名称・URL
  • 投稿者の名前・書き込み日時・内容等

弁護士へ相談や依頼する

具体的に解決したいならば弁護士へ相談しましょう。サイト運営者への削除依頼の交渉は、本人か弁護士しか行えないため、弁護士に依頼します。

弁護士への費用は「削除依頼のみ」か「削除依頼を含めた、損害賠償請求」などの依頼によって違ってきます。

削除依頼のみでは10〜20万円ほど、損害賠償請求になれば50万円ほどかかる場合もあります。

裁判も数ヶ月かかって請求できる金額は40万円ほどのため、費用倒れする可能性もあるでしょう。

 

あわせて読みたい

IT・ネット問題に強い弁護士検索サイトはこちら

 

デジタルタトゥーに巻き込まれための防止策

デジタルタトゥーのトラブルに巻き込まれると、長い間精神的にダメージを受けます。

巻き込まれないための対策を紹介します。

他人に見られて困ることは投稿しない

ネット上にプライベートな空間は存在しません。いくらセキュリティや制限をかけても流出して、誰でも覗けるものだと認識しておきましょう。

後で自分が恥ずかしいと感じることや感情的に書いたことは一旦投稿すると、取り消しても残る可能性があります。

誰にも知られたくない内容は自分の心の中だけに留めましょう。

 

個人情報を投稿しない

顔写真や氏名住所や連絡先などの投稿はしないことはもちろんですが、ヒントとなるような書き込みにも気を付けましょう。

最近のスマホは画質がよいので、自宅や周辺の写真やガラスに映り込んでいるものなどから、簡単に自宅を特定できます。

また、自分の子どもを投稿する親が増えていますが、付きまといや嫌がらせの対象になる可能性があるため、子どもの投稿は制限しましょう。

自分の家族もそうですが、周りへの配慮も必要です。

子どもの学校では行事の写真を撮影して、SNSにアップすることを禁止しています。

撮られたくないという人のプライバシーを保護するためにも気を配りましょう。

 

投稿の際は位置情報をオフにする

SNSやスマホの位置情報を必ずオフにして投稿しましょう。

位置情報とは現在地の位置を自動的に追加できる機能で、この機能をオンにしているとネット上にそのまま住所が表示されてしまいます。

位置情報をオンにしなくても、自分がいる場所や行く予定をSNSで投稿することも控えましょう。

待ち伏せや隠し撮りなどの危険性があります。家族と一緒にいるところを見られると、顔バレする可能性もあります。

 

面と向かって言えないことは投稿しない

SNS上では相手に顔が見えない分、気持ちが大きくなって、攻撃的な一面が出てしまいます。

普段は言えないこともネットならば投稿してもよいと思っているため、ストレスの発散としてSNSを活用する人も少なからずいます。

SNSであっても個人は特定できますし、名誉棄損や侮辱罪として訴えられるケースも少なくありません。

SNSを投稿する前にこれは相手に面と向かって言える内容なのかを考えると、投稿すべきかの基準となるでしょう。

 

友人や恋人に拡散されて困るものは送らない

デジタルタトゥーで近年増加しているのが「リベンジポルノ」の被害です。恋人同士という立場を利用した強制的な振る舞いに従う必要はありません。

このような恋人は別れた後に嫌がらせや脅しになる可能性が高いでしょう。

また、SNS上の知り合いで仲良くなって、トラブルに巻き込まれることがあります。

最初は優しくても急変することがあるので、自分の個人情報はもちろん、写真や動画を送らないようにしましょう。

 

 

まとめ:デジタルタトゥーの被害に遭わないようネットリテラシーを持とう

デジタルタトゥーは個人の不利益となる情報が一度流出すると、拡散されて半永久的に残ります。

デジタルタトゥーには個人情報や誹謗中傷からリベンジポルノまでさまざまな種類があります。

このようなデジタルタトゥーは住所が特定されて嫌がらせを受けることや結婚の破断や就職できないなど、深刻な影響を与えています。

そのようなトラブルに巻き込まれたときは速やかに専門家へ相談しましょう。

また、自分がトラブルに巻き込まれないためには、ネットの危険性を理解して、正しく利用できるネットリテラシーを持ちましょう。

 

-その他