経理

経理経験者が思う"経理に向いている人"とは?

経理経験者思う"経理に向いている人"とは?

経理という仕事に皆さんはどのような印象を持っているでしょうか,。

昔からよく言われることの中には、ネガティブなことが多いのも事実です。

例えば、「細かい」「融通が利かない」「地味」「何をしているかよく分からない」など。

経理経験者である筆者の立場からすると決して嬉しい言葉ではありませんが、その一方で、そういった印象を持たれてしまうという事実も受け入れる必要があります。

筆者がまだ新人の経理マンだった時、当時の社長から、「経理は嫌われるくらいでないとダメだ」とよく言われました。

その真意は、「経理は会社の最後の砦だから、いくら嫌われようが言うべきことは言わなければならない。それが経理の役割だ。」ということでした。

このように、経理に限らず、その仕事を外から見た印象と、実際の内情とが必ずしも一致していないケースは少なくないと思います。

そこを混同して見誤ってしまうと、例えばこれから経理の仕事に就くことを考えている人をミスリードすることになってしまいます。

そこで、経理の内情を知る人間として、「経理に向いている人」、逆に「経理に向いていない人」の特徴を、一般的に言われる印象とは違った視点でいくつか挙げてみました。

 

経理に向いている人

経理に向いていると思われる人の特徴を挙げてみます。

物事に動じない人

意外に思われるかもしれませんが、筆者の経験上、物事に動じない人、つまり精神的に安定している人の方が経理に向いています。

経理業務は確かに印象通り細かい部分も多いのですが、だからこそ、その細かいことや日常的に起こる様々な問題に対して、毅然とした態度で臨むことが大切です。

言い換えると、細かいことにいちいち動揺していてはキリがないのです。

また、経理があまり動揺している姿を見せると、他の従業員に採算面や資金面で不要な心配を抱かせることにつながる可能性もあります。

もちろん細かいことがどうでもいいということではありません。

会社のお金や決算情報を扱っていますので、細部まで責任をもつことは当然のことです。

ただ、もし問題が起きても冷静さを失わないような胆力が必要ということです。

そして、そのためには将来起こりそうな問題を普段から想定しておかなければなりません。

その想定がきちんとできていると、いざ問題が起きても動じない態度につながると考えています。

 

素直な人

冒頭で挙げた「融通が利かない」といった印象とは全く異なり、何事にも素直な態度で応じる人が経理に向いています。

経理業務は内向きと考えられがちで、確かに会計基準や税法といった厳格なルールに従っているという面ではそういった面もあるかもしれません。

つまり、ただそのルールに則って粛々と決算書を作ったり税金を払ったりしているという意味では。

ただし、経理業務を一度でも経験すると分かりますが、そういった法律などのルール通りに仕事を進めることはそう簡単なことではないのです。

なぜなら、ルールは1つですが、会社の事情というのはまさに会社によって全く違うためです。

その会社固有の事情というのが「制約条件」としてまず経理担当者の前に立ちはだかります。

担当者は、その建前(ルール)と現実(会社の事情)の間で板挟みになり、法律の解釈や社内調整などに四苦八苦することになります。

そういう時、とてもではありませんが、何かに「こだわっている」余裕などありません。

法律の主旨を「素直に」理解して原点に戻り、かつ会社の現実を「素直に」把握して自分にできる最大限のことを模索するしかありません。

以上のような意味で、経理に携わる人には、原点に戻ったり現実をありのままに見る「素直さ」が必要と考えています。

 

経理に向いていない人

逆に、経理に向いていないと思われる人の特徴を挙げてみます。

細かすぎる人(完璧主義者)

これも意外かもしれませんが、細かい仕事が多い経理において、あまりに細かすぎる人は逆に経理には向いていないと思います。

なぜなら、例えば管理会計というものがあります。

これは、社外向けの決算情報とは違い、経営判断に生かすために自由に各項目を設定し、社内で活用するための決算書を作ることです。

逆に、社外向けの決算書は表示ルールが厳格に決まっています。

このような管理会計といった仕事においては、どういうデータをどれくらい細かく計算するかという厳格なルールがありませんので、細かく計算しだすといくらでも細かくできます。ある意味、そこには際限がないのです。

こういう場合、細かすぎる人あるいは完璧主義者の人というのは、自分が納得するまでどこまでも細かいデータを計算しようとしてしまいます。

細部が気になって仕方なく、最低限必要な精度はどれくらいかという仕事の目的から逸脱しやすいと言えます。

したがって、細かい数字などを扱うことも多い経理の仕事ですが、だからこそ、「際限のない細かさ」という罠にはまりやすい細かすぎる人は向いていないと思います。

 

雑すぎる人

細かすぎるの後に、雑すぎるって、、と思いますよね。

細かすぎても雑すぎても経理は難しいです。

お金を扱う役割なので、あまりに雑で大雑把だと資金管理などに後々悪影響を及ぼす可能性も高いです。

"細"と”雑”を上手くバランスをとりながら、仕事を進められる人が向いているのではないでしょうか。

 

まとめ:素直な人が1番経理に向いている

以上、経理に向いている人または向いていない人の特徴をいくつか挙げてみました。

冒頭でいくつか挙げた一般的な印象とは多少異なる部分もあったのではないでしょうか。

経理に長く携わってきて、上司としても部下としても多くの経理パーソンを見てきた筆者としては、やはり上記で挙げた「向いている人」の特徴を持っている人は長く勤めているし、逆に「向いていない人」として挙げた特徴を持っている人は苦労して途中で辞めている印象を持っています。

特に上記で挙げた「素直な人」というのは、経理に限らないかもしれませんが、とても大切な条件だと思います。

前述したように、ルールの原点に戻ったり、会社の事情をありのままに見ることもそうですが、何よりも一緒に働いている人や社外の関係者に対して素直になることが最も大切です。

シンプルに表現すれば、誰に対しても嘘をつかないということです。

綺麗事かもしれませんが、本当にただ一つだけ挙げろと言われれば、「嘘をつかず、何事も誤魔化そうとしない素直な人」というのが、経理に最も向いている人だと考えています。

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