DX化が叫ばれる世の中。
その中でRPAの導入を検討している企業も少なくないと感じます。
そんなRPAですが、うまく導入できるケースもある一方、うまくいかず失敗に終わってしまうこともあります。
今回は、RPA導入において失敗の原因をみていきますので、今後の導入の際、活かしていただければ幸いです。
RPA導入における失敗の原因
では、早速RPA導入における失敗の原因をみていきます。
RPA失敗の原因1:業務の棚卸しをしていない
RPAを導入する段になり、RPAを適用する業務を探そうとしても中々案が出てこないことがあります。
その結果、我が社(我が部署)にはRPAを使うような業務がない、という結論になってしまい導入が進まないという事例があります。
本当に適用できる事例がないケースもありますが、業務の棚卸しをせず、見える化していないために起こっているケースも。
業務をみえる化することで、RPAを導入できる箇所を探し出せることに繋がります。
その上で本当に導入処がないのであれば、無理に導入する必要はないでしょう。
RPA失敗の原因2:全てを自動化しようとしている
少し先ほどの業務の棚卸しと重複する部分があるかもしれません。
ある業務の最初から最後まで、全てを自動化できればそれが一番有効なのは確かです。
しかし、どうしても人間が処理する必要があるものがあります。
- 各種の承認作業等、人間の処理が必須
- 判断が複雑でロボットには判断できない
- 紙の書類や物理的な作業といったパソコン以外の作業が必要
このような処理内容によってはどうしても人間がせざる得ないもの、RPAロボットには難しいものもあります。
ただ、だからと言ってオール・オア・ナッシングでRPA化の可否を判断してしまうと、一向にRPAにできるものが見つからないという状況に陥ってしまうケースがよくあります。
そのような人間がやらないといけない部分はそのままにして、できる部分だけRPA化するというアプローチもあります。
無理にRPAを適用する必要はありませんが、処理を分けて部分的に適用できるところがあれば、その部分だけでも自動化することで効果を出すこともできます。
例えば、自動化できる部分を退社後から出社するまでの時間にRPAがやっておくことで、出社して人間がしなければならない部分だけを処理するだけで良くなり、意外に効果を感じることになります。
RPA失敗の原因3:一度に自動化しようとしている
また、対象としたい業務があっても、その手順が多くて一度にRPA化するのは大変というケースもあります。
RPAロボットを作ること自体は簡単だとしても、分量があればそれだけ時間も手間もかかります。
ある業務を全て一度にRPA化したいのは山々ですが、そこにこだわってしまうと、これもまたRPA化が進まず、結果としてRPA化が進まずに効果も出ないという話になってしまいます。
それを避けるためにも、ある業務がいくつかの小さな業務に分けることができるのであれば、その小業務ごとにロボットを作成し、それを連携させることを考えてみてください。
例えば、以下のような一連の業務があったとします。これは実際にRPAロボットを作成した事例です。
- データを社内の〇〇システムからダウンロードする
- Excelを使って集計する
- 集計したものを別のシステムにアップロードする
まずは1の処理をRPAロボットで自動化し、出社して時点でダウンロードしたものが所定の場所に置いてあるという状態を作ることで、スムーズに2以降の作業を人手で行うことが可能になります。
その後、順を追って3や2の処理を自動化していくことも可能です。
それではあまり大きな成果が出ないとお考えになるかもしれません。
しかし、大きな成果を狙って何も進まないよりも、まずは小さくても成果を出し、そこで経験を積んでノウハウを集め、より大きな成果につなげるのが失敗を防ぐ方法になります。
RPA失敗の原因4:作ったロボットがうまく動かない
これは導入後の話になってしまいますが、入れておきます。
作ったRPAロボットがうまく動かないというケースもあります。
これには普段からうまく動かないケースと、ほとんどの場合は正常動作するが、10日に一度とか、1ヶ月に一度とかの頻度で動かないことがある、というケースがあります。
普段からうまく動かないケースについては、動かしながら問題を特定して解決することができますが、稀にうまく動かないケースは試したい時には正常に動作してしまったりして、なかなか原因が掴めないこともあります。
社内でどうにもならない場合は、RPAツール提供会社に問い合わせましょう。
RPA失敗の原因5:ロボットに期待をしすぎる
例えば、なんらかの画面でボタンを押すと、およそ1分後に次の画面に進むとします。
人間であればそれが1分10秒かかったとしても、よほどのせっかちな人でなければそんなもんだろうと思い、あまり文句を言うことはないかと思います。
しかし、RPAロボットに「最大1分待つ」と言う命令をした場合、1秒でも過ぎたら次に進んでしまいます。
ですので、仮に1分待つ必要がある処理があった場合、余裕を見て1分30秒とか2分とか待つようにしておく必要があります。
RPAについてよくある誤解がこの処理速度になります。
コンピュータは人間とは比べ物にならないくらい処理速度が速いから、RPAにすることで人間の何倍もはやいスピードで処理してくれる、と多くの方が思いがちです。
確かに、コンピュータの中だけで処理するのであれば、人間よりも早く処理できます。
しかし、RPAで人間の代わりにパソコンを操作する場合、そのタイピングのスピードは人間並にしておく必要があります。
なぜならば、そのRPAで操作するアプリは人間がキー入力をする前提で作られているからです。
アプリはロボット向けに作られているわけではなく、人間を想定したスピードで作られていますので、そこにコンピュータのスピードでキー入力しても追いつかないことがあります。
いくつかRPAロボットを作ってきた経験からも意外とこの余裕が必要で、場合によってはタイピングの速い人の方がRPAより速いということもあります。
そして、多くの方が「意外とゆっくり動くんですね」という感想をお持ちになります。
処理する内容や方法にもよるので常に人間並みかそれより遅いというわけではありませんが、RPAにしたからといってスピードはあまり変わらないことが多い、という点は頭の片隅に置いておくと良いかと思います。
逆に言えば、RPAロボットを作る際には、余裕をあえて作るというタイミング調整が必要になってくることを覚えておいてください。
RPA失敗の原因6:RPAの開発人員不足
RPA内で自動化ロボットを組む必要があります。
現在、多くのRPAツールではできる限りプログラミングの知識が必要ないように、ノーコードでロボット作成できるような仕様に近づきつつあります。
それでも、多少はプログラミングなりコードを書けるスキルがないとより良いロボットの開発はできない可能性が高いです。
ありがちなケースとして、社内で1名だけスペシャリストを作り、その人にRPAを任せっきりにしてしまうことです。
これでは、そのスペシャリストが体調を崩したり、退職してしまう事態になった際に全く進まなくなってしまいます。
そのため複数人がRPAを使える体制や環境を準備すべきでしょう。
RPA失敗の原因7:RPAの範囲を理解していない
期待しすぎの箇所と重複する部分もありますが、RPA導入時にRPAで何ができるのかを理解しましょう。
「とりあえず、なんでも自動化できるんでしょ?」と思っているのは大間違いで、RPAには得意不得意があります。
RPAは基本的にルーティン(常時)作業を自動化するのに向いており、複雑にフローが変化するものの自動化には不向きです。
このあたりの詳細を導入時にRPA提供会社に相談し、把握しておくことで後で思っていたものと違った!なんてことがなくなります。
まとめ:RPA導入失敗しないために!ロボットは何も知らない新入社員
RPAに詳しい人の間で言われている教訓があります。
「RPAロボットは何も知らない新入社員と思いなさい」と。
彼や彼女(ロボット)は何も知らないので、やってほしい業務を事細かに指示してあげる必要がありますし、見ていないところで問題が起きて固まってしまっているかもしれません。
そのため、最初のうちはちゃんと仕事をしているか注意しておく必要があります。
また、慣れてからもたまにポカすることもあります。
それに彼や彼女(ロボット)に事細かに指示できない業務は任せられないので先輩社員が肩代わりしなければなりません。
ただ、彼や彼女(ロボット)も慣れてくれば色々なことができるようになっていきます。
最初から多くを求めずに、できることからコツコツと教えて少しずつ成果を上げていくのが、RPAで失敗しないための一番の対策となります。
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