RPAについては理解したものの、実際にはどうやって導入すれば良いかがわからないということもあります。
最初から専門の組織と専任者を置いて全社的に進めることができれば良いのですが、概要がわかってもどういうところに導入するのが良いのかという不安もあるのではないでしょうか。
そこで、以下のような流れでRPA導入を進めることをお勧めします。
RPA導入の進め方
以下のように、RPA導入を進めていくことをおすすめします。
- 検証
- 本格導入
- 組織化
RPA導入の進め方1:検証
まずは実際にどこかの部署でRPAを使ってみる「検証」をお勧めします。
デモ画面の提供や数ヶ月間無料での提供を行っているRPA提供会社も多いので、そのような制度を上手く利用しましょう。
これは概念検証とか、英語でPoC(Proof of Concept)と呼ばれるものです。
新しいものが本当に使えるものであるのかどうか、実例を元に作ってみることを指します。
RPAも最初に試してみることが推奨されています。
実際に動かすと何ができるのか、どういう問題があるのか、といったことを体験することができ、より具体的な進め方を理解できます。
もうRPAについては分かっているというケースでは最初から導入ありきでも構いません。
あるいは、外部の業者に業務ごと任せてしまうという方法もあります。
ただ、多くの場合RPAについて完全に理解していると言い切れない部分もあるかと思います。
また、分かったつもりでも実際にやってみると思ったより難しい、あるいは、思ったより簡単ということが出てきます。
本格的に導入した後に思っていたのと違った、ということになってしまうと軌道修正するのも大変ですので、事前に簡単なサンプルを使ってどういうものかを体験しておくことが重要になります。
この時、サンプルとは言っても、実際の業務を使うことが望ましいです。
いかにもサンプルといったものでは実体験として効果が薄くなりますし、やるのであれば即効果が出るもので試したいです。
ただ、最初から複雑なものをRPAにしようとすると挫折することになりがちです。
また、サンプル選びで考え過ぎて先に進まないケースもあります。検証ですから最初のうちに失敗しておくのも1つの方法です。
適度な難易度というものはなかなか難しいです。しかし、効果を出すことを目指すよりも失敗しても良いので、まずは体験してみることが大切です。
体験してみた結果、こういうところに使うと効果があるということが分かってきます。
逆にこういうことにはあまり効果がないというのも分かってくるかと思います。
その体験を元にRPAの勘所を掴むのが検証の目的になります。
RPA導入の進め方2:本格導入
このような検証を数件程度実施した上で、思っていたものと相違がないか、あったとしても軌道修正できるものかを確認した上で、本格導入となります。
この段階では経験者の意見を聞きながら、RPAにして効果が出そうな業務をピックアップすることになります。
本格導入と言っても、一気に全社展開というのはあまりお勧めできません。
いきなり全社に適用では対応しきれなくなる恐れがあります。
そこで、まずはパイロット部門に先行導入することをお勧めします。
そうして、何段階かに分けて順次導入を進める方が進めやすいです。
ここでも重要なのは経験を積むことになります。導入を進める人や、先行体験した人が苦労した点を蓄積してゆきます。
その上で、横展開しながら進めることで、全体的な導入効率を向上できます。
最初に取り組む方々は苦労することになりますが、そこに必要に応じて外部の支援を得ながらノウハウを貯めることで、導入もスムーズにできます。
このようにして、徐々に対象範囲を広げていくことで、成功体験を積み重ねます。
RPA導入の進め方3:組織化
導入したらあとは使うだけと感じるかもしれません。
しかし、可能であれば専門組織を作ることをお勧めします。
これには2つの理由があります。
1つ目は、会社として方針を持ってRPA化を進めるためです。
そして、もう1つはRPAロボットを作って終わりではなく、今後もメンテナンスが必要になるためです。
各現場任せでRPA化を進めるとそれぞれでバラバラな作り方になり、同じようなものを別のところで作るようなことになってしまいます。
また作成した人が異動してしまうと中身がわからなくなってしまうということがよく起こります。
今までにもExcelやAccessのマクロでそのようなことが起きなかったでしょうか。
そのため、全体の舵取りをする役割の組織や人が必要になります。
そこでは以下のようなものをとりまとめます。
- 何をRPA化するか、してはいけないかの方針
- どこで何を作っているかの管理
- 作成したものはどの部門の誰が管理するか
- 可能であれば作成から管理までの一元化
似たようなものを各部署でバラバラに作ってしまうと、同じような作業をあちこちですることになるので効率が悪くなります。
また、この後触れますが、作ったロボットはメンテナンスが必要になるので、それも各部署でバラバラに対応することとなってしまいます。
それを防ぐためにも、全体の舵取りをする役割が重要です。
次にメンテナンスについてです。
作成したRPAで実施する業務の内容は時間が経つと変化します。
例えば、ある会社では毎月の業績報告をRPAでいくつかの社内システムから取ってきてまとめる仕組みを作りました。
当初はそれで効率化できたと喜んでいましたが、半年や1年経つと報告内容を少し変える必要が出てきました。
その時に、誰がこのRPAに責任を持ち、変更が必要な時には誰がそれを行うかを明確にしておかなかったため、結局、手作業に戻ってしまった例もあります。
RPAのロボットを作成すること自体はそれほど難しくはありません。
ロボットにさせる作業内容次第ですが、ExcelやAccessのマクロを組むことができる方ならばすぐに使い方のコツは掴むことができます。
そのため、導入当初はどんどんRPA化を進めることができることが多いです。
しかし、その後に作ったもののメンテナンスが大変になり、手が回らないということが起きてきてしまいます。
作るのは簡単でも、後でメンテナンスしやすい作り方といったノウハウが必要になってきます。それを各部署でバラバラに蓄積するのも効率が悪くなってしまいます。
実際、当初は色々RPAにして自動化、効率化できたと思ったものの、以下のような問題が生じて、結局手作業に戻った例も散見されます。
- 個人が自分の業務を自動化して終わりで広がらない
- 作業内容に変更が必要になったが、担当が不明確で直すことができない
- 自動化したことで人間が関わらなくなり、誰も業務内容がわからない
こんなことにならないように、作って終わりではなくて、メンテナンスのことも視野に入れておく必要があります。
情報システム部門がある会社では、従来は情報システム部門が取りまとめていたかと思います。
RPAは現場でも手軽に導入できるのが売りになっていますが、実際には情報システム部門との連携も必要になってきます。
そのような部門がない会社の場合も、そういう作業が必要であると認識しておくことで必要です。
後になって自動化したのは良いが手が回らなくて結局手作業に戻ってしまった、という悲劇を防ぐこととなります。
まとめ:RPA導入の進め方は手順を踏んで慎重に。
RPAはうまく使えば自動化、効率化が進む強力な武器となります。
ただ、RPAを入れることが目的となってしまっている会社もまた多いようです。
まずは体験して実際はどういうものなのかを掴むことが大切です。
それを行うのが「検証」となります。
検証した上で、さらに導入事例を増やして経験を積んでいくのが「本格導入」となります。
いきなり全部署で導入というよりは、段階を踏んで広げて行ったほうが進めやすくなります。
その経験の積み重ねから、会社全体でRPAをどう進め、日々の業務の変更に対応したメンテナンスをどうするかを考えます。
そして、最終的には業務自体をロボットがやる前提で組み替え、そもそも業務内容自体の見直しを検討するのが「組織化」となります。
RPA導入は業務効率化のきっかけの1つであって、導入して終わりではありません。その後の日々の積み重ねが重要になってきます。
RPA導入時の進め方の参考にしていただければ幸いです。
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