セキュリティの脅威は日々進化しており、企業はその対策に追いつく必要があります。
脆弱性診断ツールは、システムやアプリケーションに潜む脆弱性を特定し、修正するための貴重な手段となりますが、サービスの選定は慎重に行わなければなりません。
そこで今回は、企業のセキュリティ対策に適した脆弱性診断ツールを厳選し、それぞれの特徴やメリットを比較をし、セキュリティ対策に適したサービスを選ぶ際の判断基準を提供します。
セキュリティを強化するための最適な選択肢を見つけてください。
脆弱性診断ツールとは何か
脆弱性診断ツールは、企業が保有するシステムやアプリケーションに存在する潜在的な脆弱性を特定し、その修正や対策を支援するサービスです。
セキュリティの脅威は日々進化しており、悪意ある攻撃者が新たな方法を見つけるたびに、新たな脆弱性が生まれています。
そのため、定期的な脆弱性診断は企業のセキュリティ戦略において不可欠な要素となっています。
セキュリティ脅威を最小限に抑えることができる
企業はデータ漏洩、システムの停止、顧客情報の不正利用など、様々なセキュリティ脅威に直面しています。
これらの脅威は企業にとって深刻な影響をもたらし、業務の中断や信頼の失墜、法的な問題に発展する可能性があります。
脆弱性診断ツールは、企業がこれらの脅威に対して主導的なアプローチを取るための手段です。
定期的な診断を通じて、潜在的な脆弱性を特定し、早期に修正することで、セキュリティリスクを最小限に抑えることができます。
自動化されたサービスと専門家による手動サービス
自社にとって最適な脆弱性診断ツールを選択する際には、自動化されたサービスと手動のサービスのいずれかを選びます。
自動化されたサービスは効率的でスケーラブルな脆弱性スキャンを提供します。
一般的に大規模なシステムや継続的な監視や、定期的なスキャンや大量のシステムの診断に向いていますが、限定的な脆弱性の特定になる場合もあります。
一方の手動のサービスは専門家が個別の調査やテストを行うため、より深い脆弱性の特定が可能です。
専門家の知識と経験が必要ですが、自動化では見落とされる可能性のある脆弱性を特定することができます。
自社のニーズや予算、セキュリティ要件に基づいて、自動化と手動の組み合わせやバランスを取ることが重要です。
特定の脆弱性診断ツールを選ぶ前に、自社のシステム環境やセキュリティ目標を明確にし、それに合った適切なサービスを選択することが求められます。
自動化された脆弱性診断ツール
自動化された脆弱性診断ツールは、ソフトウェアやツールを使用してシステムやアプリケーションのセキュリティ脆弱性を検出するサービスです。
効率的なスキャン、定期的な監視、カスタマイズ性が特徴であり、大規模な環境に適していますが、高度な脆弱性や特定の環境に特化した脆弱性の検出には限定的です。
自動化されたサービスは効率性とスケーラビリティに優れており、大量のシステムを効果的に診断できます。
自動化された脆弱性診断ツールの特徴
自動化された脆弱性診断ツールは、特定のソフトウェアやツールを使用して、システムやアプリケーションのセキュリティ脆弱性を検出するサービスで、特徴は以下のとおりです。
- 効率的なスキャン
自動化されたサービスは、大量のコードやネットワーク環境を高速かつ網羅的にスキャンできます。これにより、大規模なシステムでも効率的に脆弱性を特定できます。
- 定期的な監視
自動化されたサービスは、定期的なスキャンを設定できます。定期的な監視により、新たな脆弱性が生じた際に早期に検出し、迅速な対応が可能となります。
- カスタマイズ可能性
自動化されたサービスは、検出ルールや設定をカスタマイズできる場合があります。これにより、特定のセキュリティ要件や業界の規制に適合した診断が可能です。
自動化された脆弱性診断ツールのメリット・デメリット
自動化された脆弱性診断ツールには以下のようなメリットとデメリットがあります。
メリット
- 高速かつ網羅的なスキャンが可能で、大量のシステムを効率的に診断できます。
- 定期的な監視が可能であり、新たな脆弱性の検出や早期対応が行えます。
- カスタマイズが可能で、特定の要件や規制に合わせた診断が実施できます。
デメリット
- 一部の高度な脆弱性や複雑な攻撃手法を見落とす可能性があります。
- 一般的な脆弱性パターンに頼っているため、特定の環境やアプリケーションに特化した脆弱性の検出には限定的です。
- 人間の専門知識や判断力が必要な脆弱性の特定には、手動の診断が必要となる場合
手動脆弱性診断ツール
手動脆弱性診断ツールは、専門家による個別の調査やテストを行い、システムやアプリケーションの脆弱性を特定するサービスです。
専門知識と経験に基づいて行われ、高度な脆弱性の特定やカスタマイズが可能です。
手動診断は時間とリソースを要しますが、複雑な攻撃手法や重要なシステムの診断に適しています。
手動脆弱性診断ツールの特徴
手動脆弱性診断ツールは、専門家が個別の調査やテストを行い、システムやアプリケーションの脆弱性を特定するサービスで、特徴は以下のとおりです。
- 専門知識と経験
手動診断は、セキュリティエキスパートの専門知識と経験に基づいて行われます。エキスパートは複雑な攻撃手法や高度な脆弱性を特定する能力を持っています。
- カスタマイズ性
手動診断は、対象システムやアプリケーションに合わせてテストケースや攻撃シナリオをカスタマイズできます。これにより、より深い脆弱性の特定が可能となります。
- 人間の判断力
手動診断では、エキスパートが脆弱性の重要度や影響範囲を判断します。人間の判断力により、より正確な評価と優先順位付けが行われます。
手動脆弱性診断ツールのメリット・デメリット
手動脆弱性診断ツールには以下のようなメリットとデメリットがあります。
メリット
- 複雑な攻撃手法や高度な脆弱性を特定できます。
- カスタマイズ性が高く、特定のシステムやアプリケーションに合わせた診断が可能です。
- 人間の判断力により、脆弱性の重要度や影響範囲を正確に評価できます。
デメリット
- 手動診断は時間とリソースを必要とするため、自動化されたサービスよりも時間とコストがかかる場合があります。
- テスト範囲が限定されるため、大規模なシステムや継続的な監視には向いていません。
- エキスパートの依存度が高く、エキスパートのスケジュールやアクセス可能性に制約があります。
脆弱性診断ツールの種類
脆弱性診断ツールには、さまざまな種類があり、これらのサービスは、企業や組織のセキュリティ強化に不可欠です。
適切な脆弱性診断ツールの選択と実施により、セキュリティレベルを向上させ、潜在的な脅威に対する防御を強化することができます。
ネットワーク脆弱性診断ツール
ネットワーク脆弱性診断ツールは、ネットワーク上のデバイスやシステムに対して自動化されたスキャンや手動の調査を行います。
調査を行うことでネットワーク内のセキュリティ上の欠陥や脆弱性を特定し、攻撃や不正アクセスのリスクを軽減します。
ネットワーク脆弱性診断ツールでは、以下のような脆弱性を検出することができます。
・システムやデバイスの不適切な設定
ネットワークデバイスやサーバの設定に不備がある場合、攻撃者による不正なアクセスや情報漏えいのリスクが高まります。ネットワーク脆弱性診断ツールは、設定上の問題やセキュリティベストプラクティスに準拠しているかを評価します。
・脆弱性のあるソフトウェアやプロトコル
ネットワーク内のソフトウェアやプロトコルには、既知の脆弱性が存在する場合があります。
ネットワーク脆弱性診断ツールは、これらの脆弱性を特定し、必要なパッチやアップデートの適用を促します。
・不正アクセス経路や不正利用のリスク
ネットワークには不正アクセス経路が存在し、攻撃者がネットワーク内に侵入しようとする可能性があります。
ネットワーク脆弱性診断ツールは、これらの経路を特定し、不正アクセスや不正利用のリスクを評価します。
Webアプリケーション脆弱性診断ツール
Webアプリケーション脆弱性診断ツールは、企業や組織が保有するWebアプリケーションに対してセキュリティ脆弱性を特定するためのサービスです。
クロスサイトスクリプティング(XSS)、SQLインジェクションなどの脆弱性を検出し、攻撃への脆弱性を軽減します。
このサービスは、自動化されたスキャンや手動の調査を通じて脆弱性の特定を行います。
ソフトウェア脆弱性診断ツール
ソフトウェア脆弱性診断ツールは、企業や組織が開発・保有するソフトウェアに対してセキュリティ脆弱性を特定するためのサービスです。
ソフトウェアの設計やコーディングの不備、既知の脆弱性などを検出し、修正やパッチの適用を支援します。
自動化されたスキャンや手動のテストにより、ソフトウェアのセキュリティを向上させることができます。
モバイルアプリケーション脆弱性診断ツール
モバイルアプリケーション脆弱性診断ツールは、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイス上で動作するアプリケーションに対してセキュリティ脆弱性を特定するサービスです。
モバイルアプリケーションは個人情報や機密データを取り扱うため、十分なセキュリティ対策が必要で、モバイルアプリケーション内の脆弱性や不適切な設定を検出し、不正アクセスやデータ漏洩のリスクを軽減します。
自動化されたスキャンや手動のテストを使用して、セキュリティの問題を特定し修正することができます。
IoTデバイス脆弱性診断ツール
IoT(Internet of Things)デバイス脆弱性診断ツールは、組み込みシステムやスマートホームデバイスなどのIoTデバイスに対してセキュリティ脆弱性を特定するサービスです。
IoTデバイスは、ネットワークに接続されているため、攻撃の標的となりやすく、セキュリティ上の脆弱性が懸念されます。
IoTデバイス内の脆弱性や不正な動作を検出し、攻撃や侵入のリスクを軽減することでセキュリティを向上させることができます。
脆弱性診断ツールの選定ポイント
脆弱性診断ツールを選ぶ際に考慮すべきポイントは以下のとおりで、これらの要素を考慮しながら、自社のニーズや予算に合った最適な脆弱性診断ツールを選ぶことが重要です。
自社の予算に合わせた価格
脆弱性診断ツールの価格は企業の予算に合わせて選ぶ必要があります。
ただし、価格だけでなく提供される機能やサポートの質も考慮します。
セキュリティ問題を特定することができる検出率
脆弱性診断ツールの検出率は、サービスの信頼性と効果を評価する重要なポイントで、高い検出率を持つサービスは、潜在的な脆弱性やセキュリティ上の問題をより正確に特定することができます。
評価やレビュー、比較情報を参考にして、検出率の高いサービスを選びましょう。
セキュリティの問題点や解決策を提示してくれるレポートの質
脆弱性診断ツールのレポートの質は、特定された脆弱性や問題の詳細と解説、対策の提案などを含みます。
わかりやすく具体的な情報を提供しているか、報告書のフォーマットや表現が適切かを確認します。
質の高いレポートは、適切な対策を講じるための重要な情報源となります。
適切なサービスを受けることができるカスタマーサポート
選んだ脆弱性診断ツールが適切に機能し続けるためには、サポートが重要になります。
問題や疑問点が生じた場合に適切なサポートを提供してくれ、対応時間や連絡手段なども確認することが必要です。
信頼できるカスタマーサポートは、スムーズなサービスの利用や問題解決に役立ちます。
使いやすさ
脆弱性診断ツールは、ユーザーが簡単に操作・設定できることも重要な要素です。
直感的なインターフェースや使いやすい機能を備えたサービスを選ぶことで、効率的に診断作業を行うことができます。
おすすめする脆弱性診断ツール6選を比較
以下は、おすすめの脆弱性診断ツール6選の紹介・比較です。
サービス名 | 診断方法 | 特徴 | 料金 |
vex(株式会社ユービーセキュア) | 自動+手動診断 | 脆弱性診断経験の豊富なエンジニアにより作成 | お問い合わせ |
Webアプリケーション診断(NRIセキュアテクノロジーズ) | 自動+手動診断 | Webアプリケーションに潜在するセキュリティ上の問題点を発見し、適切な対策の実施を支援 | お問い合わせ |
セキュリティ脆弱性診断ツール(株式会社セキュアイノベーション) | 自動+手動診断 | 専任スタッフによる効率的な脆弱性診断 経産省の審査認証事業者 資格保持者が多数在籍 |
お問い合わせ |
SCT SECUREクラウドスキャン(三和コムテック) | 自動診断のみ | クラウド上での脆弱性スキャン | お問い合わせ |
SecurifyScan(株式会社スリーシェイク) | 自動診断のみ | シンプルで操作性の高いUIと充実した診断項目、わかりやすいレポート | お問い合わせ |
Vuls(フューチャー株式会社) | 自動+手動診断 | オープンソースの脆弱性スキャナー | Vuls OSS:無料 Future Vuls:問い合わせ |
vex(株式会社ユービーセキュア)
vexは、脆弱性診断とセキュリティコンサルティングを提供するサービスです。
自動化された診断ツールと専門家による手動診断を組み合わせることで、高度な脆弱性評価が可能です。
広範囲な脆弱性の検出と分析に焦点を当てており、最新の攻撃手法や脆弱性の動向にも精通しており、セキュリティに関する専門知識と経験豊富なチームがお客様のニーズに合わせたカスタマイズされたサービスを提供します。
vexの使いやすいインターフェースと詳細なレポートは、セキュリティ対策の強化に役立ちます。
Webアプリケーション診断(NRIセキュアテクノロジーズ株式会社)
NRIセキュアテクノロジーズのWebアプリケーション診断サービスは、さまざまな項目について診断をし、ビジネスの安全性を脅かす要因への対策が適切に行われているかを診断します。
大まかな部分については部分的に自動診断によって一般的な脆弱性の検出を行い、主要な部分として手動で診断を行い複雑な攻撃手法や特定の脆弱性の評価を行います。
この組み合わせにより、包括的なセキュリティ診断が実現され、診断結果は詳細なレポートとして提供し、脆弱性の修正やセキュリティ対策の計画立案に役立ちます。
セキュリティ脆弱性診断ツール(株式会社セキュアイノベーション)
株式会社セキュアイノベーションのセキュリティ脆弱性診断ツールは、自動化された診断ツールとエキスパートの手動診断を組み合わせた総合的なセキュリティ診断を提供します。
経済産業省の審査認証事業者だから安心してご依頼することができ、経験豊富な専門家チームが、顧客のネットワークやシステムに潜む脆弱性を特定し、適切な対策を提案します。
また、緊急時の対応やセキュリティアドバイスの提供や、診断結果の詳細なレポートも提供されます。
料金についても低価格で高品質な診断を実現してます。
SCT SECUREクラウドスキャン(三和コムテック株式会社)
SCT SECUREクラウドスキャンは、サイバー攻撃の足がかりとなるような脆弱性があるかどうか、最新のセキュリティ情報に基づいて、定期的に診断するクラウド上でスキャンを行います。
診断はWebサイトをはじめ、ルーターやファイアーウォール、DNSなどのネットワーク機器の脆弱性を診断します。
クラウド環境なためメンテナンス不要で完全な自己完結型のソリューションですが、スキャン結果は詳細なレポートとして提供され、脆弱性の特定と修正に役立ちます。
SCTSECUREクラウドスキャンは、クラウド環境におけるセキュリティを強化するための効果的なツールとして、多くの企業に利用されています。
SecurifyScan(株式会社スリーシェイク)
SecurifyScan(セキュリファイ スキャン)は、株式会社スリーシェイクが提供する自動診断のみの脆弱性スキャンサービスです。
自動化されたスキャンエンジンを使用して、Webアプリケーションやネットワークにおける脆弱性を網羅的に検出し、脆弱性の評価と攻撃シナリオの検出を行います。
使いやすいインターフェースと高速なスキャン速度を特徴としているため、自動診断による網羅的な脆弱性スキャンを求める企業におすすめのサービスです。
Vuls
Vuls(バルス)はオープンソースの自動診断「Vuls OSS」とサポート付きの「Vuls Future」があります。
Vuls FutureはVuls OSSのサービスも含まれているため、サーバーの脆弱性を自動で収集、検出を行い、検出された脆弱性を調査や対策などをチームで脆弱性を管理します。
Vuls OSSは、ネットワークやサーバーに潜む脆弱性を迅速に検出し、CVE(Common Vulnerabilities and Exposures)データベースや各種の脆弱性情報を基に、自動的にスキャンと評価を行います。
オープンソースの利点を活かし、開発者コミュニティによる改善やカスタマイズも可能なため、オープンソースの脆弱性スキャナーを利用したい場合やカスタマイズが必要な企業におすすめのサービスです。
まとめ:脆弱性診断ツールで安全性を強化!
脆弱性診断ツールは、企業のセキュリティ対策において重要な役割を果たします。
自動化されたスキャンツールやエキスパートの手動診断によって、ネットワークやアプリケーションに潜む脆弱性を特定し、セキュリティリスクを最小限に抑えることができます。
適切な脆弱性診断ツールを選ぶ際には、価格、検出率、レポートの質、カスタマーサポート、使いやすさなどの要素を考慮する必要があります。
さまざまなサービスを比較し、自社のニーズに最適なものを選ぶことが重要で、脆弱性診断ツールの導入により、セキュリティ対策を強化し、企業の貴重な情報や顧客の信頼を守ることができます。
セキュリティリスクからの保護を考えるなら、脆弱性診断ツールの検討を進めてみてはいかがでしょうか。