人事・労務

労務のお仕事内容って?実際の業務を解説!

労務の仕事内容は、主に従業員のサポートと組織づくりになります。

大企業では労務部門として独立したケースもありますが、中小企業では総務や人事部門にて労務業務を行うことが一般的です。

今回は、そんな労務について、仕事内容を見ていきながら、もっと深堀りしていきます。

 

労務の仕事内容

では、早速、労務の仕事内容について見ていきます。

1.従業員の入社

従業員が入社した場合、雇用保険と社会保険への手続きが必要となります。雇用保険は必要書類を管轄のハローワークへ提出します。

雇用保険への加入よって、育児休業や介護休業をした際に給付を受けることができ、失業した際に基本手当(いわゆる失業手当)を受けることができます。

また社会保険については、必要書類を管轄する年金事務所に提出します。

社会保険の加入手続きによって、従業員に保険証が発行されます。また入社時に被扶養者等の被扶養者の有無、前職での所得を確認しておくと、年末調整をスムーズに行うことができます。

2.従業員の退職

従業員が退職した場合、雇用保険、社会保険の資格喪失手続きを行います。

手続きについては従業員の入社時と同様に、雇用保険は必要書類を管轄のハローワークへ、社会保険は管轄の年金事務所へ提出することにより行います。

また、年度途中での退職の場合、住民税の手続きも必要になります。

そして源泉徴収票を発行することにより、自身で確定申告をするか、もしくは次の勤務先に提出することにより年末調整を行ってもらいます。

3.勤怠管理

労働基準法に則った勤務を行うため、勤怠管理が必要になります。

企業には、タイムカードやシステムを用いて、従業員に出退社時に打刻をさせる義務があります。

それらが適正に運用されているかが主なチェックポイントとなります。

打刻忘れがあった場合、確認が必要になります。

また、法に定められた時間数以上の過重労働が行われていないか、チェックも必要です。

具体的には、特別な場合を除き8時間を超える勤務が月45時間以内であるかどうかです。

他にも年10日以上の有給休暇が付与されている場合、5日の消化が義務付けられており、適切に消化されているか毎月確認することも必要になります。

月初めには、前月分の勤怠を確認し、遅刻や早退時間、残業時間、深夜勤務時間、休日出勤の状況、有給休暇の消化日数等の集計を行います。

これらは給与計算の基礎となりますので、誤りのないよう行う必要があります。

4.給与計算

毎月行う主な業務として、給与計算があります。

前項の勤怠管理で行った情報を元に、欠勤や遅刻がある場合は、給与から控除する必要があります。

また残業時間がある場合は割増賃金の支払いが必要です。

それらを計算した後に源泉徴収する雇用保険料や社会保険料、住民税等を計算します。

これらを差し引いて、給与支払日に指定口座へ振込を行います。源泉徴収したものについては、納期限までに支払いを行います。

5.労働保険料の申告

毎年6月1日から7月10日までの間に前年度分の労働保険料の確定申告を行います。

労働保険料は概算で前払いとなるので、この手続きにより払い過ぎている場合は還付、不足がある場合は追加で徴収します。

また同時に今年度分の労働保険料を概算で申告します。

手続きについては、必要書類を労働金監督所等に提出することにより行います。

6.社会保険料の更新

毎年7月10日までに4~6月の報酬(給与)をもとに社会保険料の等級を決定します。

ここで決定された等級をもとに9月からの一年間の社会保険料が計算されます。

手続きについては、必要書類を管轄年金事務所に提出することにより行います。

4月~6月の報酬で決定される他、年度内に大きく給与が変更された場合も随時改定の対象になります。

この対象者がいないか、各月の確認も必要となります。

7.年末調整

年末調整とは、当年(1月から12月まで)の所得税の過不足を調整することです。

所得税は年始に申告した所得額をもとに概算で支払うため、年末に確定した所得額で再度計算し直し、過不足を調整します。

多くの企業では12月の給与で調整を行うことが一般的ですが、1月の給与で行う場合もあります。

そのため、11月頃に社内に周知をし、各従業員に必要書類を記載してもらいます。

生命保険や住宅ローン、各種保険料により所得控除されるため、それらの証明書も提出してもらう必要があります。

提出された書類をもとに、その年の所得税の額を再計算し、概算で支払った所得税との差額を計算します。

多く支払っている場合は、還付、不足がある場合は、追加で徴収することになります。

8.就業規則の改定

法改正や、社内ルールに変更があった場合、就業規則の変更が必要になります。

社内で運用されるルールについては、全て就業規則に記載することが必要です。

後からトラブルにならないためにも、きちんと就業規則に明文化しておくことがポイントです。

改定された就業規則は、従業員代表者(労働組合がある場合は労働組合)の意見聴取を経て、労働基準監督へ提出します。

9.労務トラブル対応

退職した従業員から未払賃金の請求があった、社内の従業員間で人間関係のトラブルが起きている、このような問題が発生した場合、労務が対応することが考えられます。

未払賃金の場合は、勤怠管理や給与計算の中で誤りがあった可能性、もしくは仕組み(業務フロー)に誤りがあった可能性があります。

問題提起があった従業員への対応だけでなく、他の従業員にも同様の誤りがないか確認をすることも重要です。

仕組みに誤りがあった場合は正しい業務フローへの変更など、業務の適正化が必要です。

人間関係のトラブルについては、客観的な立場として双方の意見聴取や、状況把握が必要です。

また小さな問題の時点で把握することや、快適な職場環境を醸成するためにも相談窓口の設置が有効的です。

10.休職者対応

職場環境にうまく適応できない場合や、人間関係から体調不良を訴える従業員がいる場合に窓口として対応します。

本人からのヒアリング、医療機関の受診、産業医面談の実施等を行います。医師により休職が必要と判断された場合、休職期間に渡って本人の状況把握に努めます。

その後、職場復帰する場合は復帰部署との調整役となったり、復帰後の相談窓口となることもあります。

 

労務の仕事内容は、従業員のサポートと組織づくり

ここまで、労務の仕事内容について細かくみてきました。

冒頭にも申し上げたように、主な仕事内容は従業員のサポートと組織づくりになります。

今回紹介した仕事内容を見ると、従業員や組織にとってなくてはならない役割を担っていることはお分かりいただけるのではないでしょうか。

今回の記事を通して、労務についての理解が少しでも深めていただければ幸いです。

 

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