ビジネスシーンにおいては、正しいマナーを守ることが常識とされます。
いくら仕事ができる人間でも、マナーを守れていないと社会人として上司や同僚、クライアントからの信頼を失うことでしょう。
本記事では、社会人に必須のビジネスマナーについて状況別に解説し、ビジネスシーンでの振る舞い方を紹介します。
さまざまな場面での正しいマナーを身につけ、信頼を得ることができるよう、ぜひ参考にしてみてください。
ビジネスマナーにおける基本的な考え方
ビジネスマナーとは、社会人が働くうえで必要とされるマナー全体を指す言葉です。
一口にビジネスマナーと言っても、服装や身だしなみから、言葉遣いや名刺の渡し方まで幅広い分野にわたります。
商談や会社内でのふるまい方など、仕事におけるありとあらゆるシーンでのマナーを学んでおくと、対人関係がスムーズになるメリットがあります。
ビジネスマナーを徹底すると、相手に不愉快な思いをさせたり周囲に迷惑をかけたりといったリスクが減ることも期待できます。
ただし、ここで注意したいのは、ビジネスマナーは相手への敬意を表す手段に過ぎないということです。
そのため、形式的にマナーを実践するだけではなく、相手を思いやる気持ちを常に持ち続けることが重要です。
そして、相手への思いやりを持っていれば、自ずと丁寧な対応ができるようになることでしょう。
また、すべてのシーンにおける正解はなく、その場その場でベストなマナーを判断することも必要です。
本記事では、シーンごとのビジネスマナーを紹介しますが、時と場合によって自分で多少変化させるのもひとつの手です。
ビジネスマナーを徹底すると周りからの信頼度が上がる
ビジネスマナーを徹底することで信頼度が上がる理由はいくつかあります。
・勉強熱心
・誠実
・協調性がある
・向上心がある
ビジネスマナーがしっかりしている人は、それだけで上記のような印象を持たれることがあります。
たとえ実際にそうでなかったとしても、そういった印象を与えられることは社会人にとっては大きな武器になります。
ビジネスマナーを身に着けておくだけで、社会人としてのアドバンテージがある状態になるでしょう。
また、良い印象を持たれることで周りとのコミュニケーションがとりやすくなり、実際の仕事の効率が上がります。すると、より一層信頼度が増すプラスの循環が起きるのです。
ビジネスで信頼される人は、周りからの信用や評判が高まることで、新たなビジネスチャンスやキャリアアップの機会が得られることがあります。
このようにさまざまなメリットがあるビジネスマナーは、身に着けておいて全く損はないでしょう。
社会人として知っておきたいビジネスマナーの基本
相手から信用を失う前に、ビジネスマナーについて詳しく学びましょう。
以下は、社会人として知っておきたいビジネスマナーの一例です。
1.時間管理のビジネスマナー
時間に気を配ることは社会人が真っ先に意識しなければならないことです。
時間に関してはマナーというよりは「当たり前」な感覚が強いため、ここを疎かにするととたんに「仕事ができない人」の烙印を押されることになります。
時間管理についての注意点を以下で詳しく見ていきましょう。
遅刻は厳禁、5分前行動を心がける
遅刻は甘さの表れです。
遅刻によって落ちる信用度は他の比ではありません。
かといって定刻より早く行動しすぎると場合によっては相手のスケジュールを乱すことになりかねませんので、5分前行動を意識するのが良いでしょう。
納期を必ず守る
仕事の成果は品質と納期で決まります。
いくら仕事の出来が良くとも、納期を守れない人には仕事を任せることができません。
納期を守らないことによって大事なお客様を失う事態にもなりかねませんので、納期が指定されていない場合でもできるだけ早く仕事を終わらせるように心がけましょう。
しかし、納期を気にするあまり品質が落ちては元も子もないので、業務の手を抜かないように気を付ける必要があります。
2.報告・連絡・相談のビジネスマナー
「報告・連絡・相談」は略して「報連相」と呼ばれており、職場での円滑なコミュニケーションには欠かせない要素です。
正しいタイミングで、正確な情報を共有することが、職場での信頼関係を築くことに繋がります。以下で詳しく見ていきましょう。
報告
報告とは、上司からの指示を受けた部下が、適切なタイミングで進捗状況や結果、トラブルの有無などを上司に伝えることです。
報告を行うことで、上司は部下たちの進捗状況を把握し、チーム全体の業務の進め方を決めることができます。
報告を怠ると、上司は部下たちの進捗状況を把握することができず、チーム全体の業務が停滞、あるいは中断するおそれがあります。
適切なタイミングで報告を行うことは、業務を円滑に進めるために欠かせないマナーのひとつです。
また、報告は部下からだけではなく、上司からのフィードバックや指示を受け取ることも含まれます。
連絡
連絡とは、業務に関する情報やスケジュールなどを同じ部署の同僚などの関連する人たちへ伝えることです。
報告とは異なり、連絡はお互いのやり取りがあって成立します。
また、他部署や取引先など外部の関係者との連絡も含まれます。
連絡の内容は、業務上の情報共有やトラブルの報告、協力依頼など多岐にわたります。
相談
相談とは、物事を判断する際に、上司や関係者の意見を求めたり話し合ったりすることです。
ビジネスにおいては、一人で決定を下すことは少なく、複数の意見やアドバイスを受けて総合的に判断することが求められます。
特に、経験したことがないトラブルに遭遇した場合は、ベテランの上司や先輩社員、同僚に相談することで、解決することがありますので、事態が大きくなる前にいち早く相談することが求められるでしょう。
3.エレベーターでのビジネスマナー
エレベーターに乗る際にも守らなければならないマナーはあります。
オフィスビル内で同じビルに入っている他の会社の方と乗り合わせることもあるかと思います。そんな時でも社外だからと気を抜いてはいけません。
エレベーターは降りる人が優先
エレベーターの扉が開いたらまず全員が降りるのを待ちましょう。
待つ場合は降りる人の邪魔にならないようエレベーターの扉の脇に立ちます。間違っても扉の正面に立たないようにしましょう。
目下の人は一番最後にエレベーターに乗る
「お先にどうぞ」と言い、目下の人はエレベーターの扉が閉まらないようにボタンを押し続けておきます。
来客や上司が乗り込んだのを確認してから自分もエレベーターに乗りましょう。
その際、エレベーター内の操作ボタンの前に乗り、目下の人がボタン操作を行います。
エレベーター内では喋らない
エレベーターはさまざまな人が集まる場所です。
自社ビルだとしても、来客や業者など誰が乗っているか一見では分からないことが多いです。
雑談をしているとうっかり社外秘の情報を喋る可能性がありますので、基本的には私語厳禁であることを頭に入れておきましょう。
4.タクシーでのマナー
出張時など、タクシーに乗る機会があると思います。車関係のシーンはマナーがとても重要です。以下で詳しく見ていきましょう。
タクシーを呼ぶのは目下の人
タクシーを捕まえる役目は目下の人が担います。配車予約する場合や、タクシー乗り場など止まっている場合、さまざまなシーンがありますがどの状況でも目上の人にタクシーを止めさせることのないよう、率先して「タクシー呼んできます」など声かけをしましょう。
一番目上の人が運転席の後ろの席に座る
車における上座は運転席の後ろの席です。これは、事故に遭った場合に運転席の後ろの席が一番負傷率が低く安全であるためとされています。
運転席の後ろにはお客様、もしくは上司が座ることになるため、乗り込む際は目上の人を運転席の後ろに座るように案内すると良いでしょう。
また、目下の人は全員が乗り込んだのを確認した後、一番最後に助手席に乗車します。
目下の人が行き先を伝える
タクシードライバーには目下の人が目的地を伝えます。目的地が分かりにくい場所にある場合やメジャーな建物ではない場合、住所を伝えて詳細な案内をしなければなりません。
「次の交差点を右です」など、タクシードライバーが運転しやすいように案内する必要がありますので、事前にGoogleマップなどでルートやランドマークを確認しておくと良いでしょう。
5.電話対応のビジネスマナー
電話対応は、新入社員がまず最初に覚えるべきマナーと言われています。
会社によっては電話対応の研修を行っているところもあります。
電話に苦手意識を持つ人は少なくありませんが、ビジネスマナーを身に着けることである程度テンプレート化した応対ができるようになりますので、ぜひ学んでいきましょう。
電話の内容はなるべく簡潔に短く話す
電話で話す場合は特に、何を伝えたいのかを簡潔にまとめて話しましょう。
電話応対をしたことがある人は一度は「何と言っているかわからないな」「何回か聞き返したけど聞き取れなかった」となった経験があるのではないでしょうか。
電話は内容によっては非常に聞き取りにくい場合があります。
担当者以外に伝言を頼む場合などはとくに、相手がメモを取りやすいよう簡潔なワードで話すことが求められます。
3コール以内に電話を取る
新入社員は電話対応から業務に入ることも多いかと思いますが、その際にまず言われるのが「3コール以内に電話にでる」ということです。
会社によっては2コール以内に出るようにというルールがある場合もあります。
電話をかけてきた相手を待たせることは大変失礼な行動です。
自分が電話をかけた場合を想像すると分かりやすいかもしれません。
電話をかけて10コールほど鳴っても相手が電話に出ない場合、「誰もいないのかな」「早く伝えたい事があるのに」など不安になることがあるかと思います。
そういった気持ちを抱かせることがまさにマナー違反なのです。
3コール以上鳴ってしまった場合は、「大変お待たせいたしました」と一言付け加えて電話に出るようにしましょう。
電話をかける時間帯は昼時間や定時後を避ける
- 出勤直後
- 昼時間
- 定時後
上記の時間に電話をかけることはなるべく控えましょう。
相手が忙しい時間帯や業務時間外である場合は配慮が必要です。
緊急時はこの限りではありませんが、「お昼時間に申し訳ありません」「定時後のご連絡になってしまい申し訳ありません」など配慮の言葉を伝えてから用件を伝えましょう。
電話が聞き取れない場合は「お電話が遠いようです」と伝える
電話の内容が聞き取れないということは、電話対応が苦手になる要因の多くの割合を占めているでしょう。
しかし、聞き取れない場合は遠慮なく聞き返して問題ありません。
ただし、聞き返し方には注意が必要です。
「聞きとれませんでした」や「何と言いましたか?」などの言い回しは、相手の話し方が原因で聞き取れなかったとも受け取れてしまい、相手を不快にさせてしまう可能性があります。
聞き返す場合は「すみません、少々お電話が遠いようです」とあくまで相手のせいではないことを伝えたうえで、「もう一度よろしいでしょうか」とお願いすることがマナーです。
電話を切る際は受話器を優しく置く
電話を切る際、受話器を音を立ててガチャッと置くのはマナー違反です。
この行為は「ガチャ切り」と呼ばれ、相手に対して粗雑な印象を与えます。
電話を切る際は受話器を音が鳴らないように優しく置く、もしくはフックを先に指で押し、電話が切れたことを確認してから受話器を置くようにしましょう。
6.食事の席でのビジネスマナー
社会人になると、食事に誘ったり、誘われたりなど会食などの機会も増えます。
その際に、食事のマナーを知っておかないと良好な関係を築けない可能性があります。
基本的に、入り口から一番遠い席が上座であり、一番近い席が下座とされています。
目下の方は、スムーズに目上の方を上座に案内できるように、一番最後に席に着く方が良いでしょう。
ビジネスシーンにおいて、上座と下座の問題はよく取り上げられます。
目上の方への敬意やもてなしの意味が込められているため、席次は大切なマナーの1つです。さまざまな状況に応じた座席や立ち位置の並び順を正しく理解し、接待に臨むようにしましょう。
7.リモートワークでのビジネスマナー
リモートワークを行う際、実際に同僚や上司と顔を合わせることがないからと気を抜いてしまってはいませんか。
作業場所が自宅でもきちんとビジネスマナーを守って業務に取り掛かることが大切です。
たとえば、Zoom会議などのオンラインミーティングを行う際にカメラをONにすることがあると思いますが、服装や髪型だけでなく背景にも気を配りましょう。
あまりにも生活感のある背景では会議に相応しくありません。
家具がなるべく映らない角度にカメラを取り付けるなど工夫が必要です。
ZoomやTeamsなどのツールには背景を変更できる機能もあるので、積極的に活用していきましょう。
また、自分が発言していない時間はマイクをミュートにし、不要な雑音を拾わないようにすることも大切です。
8.身だしなみのビジネスマナー
取引先との商談やプレゼンテーションでは特に、身だしなみを含めた見た目が印象を大きく左右します。
周囲の人たちへ好印象を与えたいのならば、自分の個性を重視するよりも、清潔感や爽やかさを感じさせる身だしなみを意識するようにしましょう。
そして、身だしなみが整っていれば、自然に自分へ自信を持てるようになってふるまいも良い方向へ変化するはずです。
ここでは、身だしなみのビジネスマナーの例をいくつか紹介していきます。
前髪が目にかからないようにする
ビジネスシーンにおける髪型は、ボサボサでないことやある程度まとまりがあることがポイントですが、簡単に実践できることのなかに「前髪が目にかからないようにする」ことが挙げられます。
目に前髪がかかってしまうと、その人の表情を読み取りづらくなり、コミュニケーションに支障が出やすくなってしまいます。
その結果、相手に不信感を抱かせてしまうかもしれませんし、爽やかさは感じさせにくいかもしれません。
そのため、前髪をカットして目にかからないようにしたり、横に流したりするのがおすすめです。
口臭のケアはしっかり行う
ビジネスマナーにおいて意外と忘れがちなのが、口臭のケアです。
これはビジネスマナーに限った話ではないかもしれませんが、話す相手の口臭がにんにくやたばこ、酒の匂いでいっぱいだったら嫌悪感を持つ人は少なくありません。
口臭のケアをできていないと、相手への気遣いができない人という印象や、だらしのない印象も与えてしまいがちです。
そのため、口臭予防グッズを使うなどして、口臭ケアをしっかり行うようにしましょう。
衣服にはアイロンをかける
ズボンにプレスをかけたり、シャツにアイロンをかけたりといった手間は面倒に感じるかもしれません。
しかし、そのひと手間が相手への印象を大きく左右します。
初対面の相手が、ズボンはヨレヨレでシャツはシワシワだったら、どう思いますか?
少なくとも、「しっかりしている人」という印象は抱かないかと思います。
そのため、少し面倒でも仕事で着る衣服にはかならずアイロンやプレスをかけるようにしましょう。
爪に清潔感を感じさせる
名刺交換を行う際に意外と見られがちなのが、手の爪の状態です。
爪がだらしなく長く伸びていたり、ゴテゴテのネイルアートがされていたりすると、清潔感は感じにくいものです。
業種や職種によって規定は異なりますが、ビジネスシーンで好印象を与えたい場合にはネイルアートは控え目にするのが良いでしょう。
また、ネイルアートをしない場合にも、爪は伸ばしっぱなしにせずこまめにカットするようにしてください。
まとめ:社会人としての最低限のビジネスマナーを意識しよう!
なぜ、こんなに難しいマナーを覚えなければいけないのか、など思ってしまうこともあるかもしれません。
しかし、ビジネスマナーを学ぶことで、自分の価値を最大限まで発揮できるようになります。
上司やクライアントからの評価も上がり、キャリアアップの可能性が広がること間違いありません。
そして、ビジネスマナーを実践するときには、相手への思いやりや尊重する心を忘れないことが重要です。
ビジネスマナーはあくまで、相手を敬う気持ちを表す手段のひとつと考えるのが良いでしょう。
ぜひ、正しいマナーを身につけて、円滑な社会人生活を送りましょう。