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法務部の業務で辛いコト【6選】

法務部の業務で辛いコト【6選】

法務部の仕事は主に契約書審査(契約法務)から組織法務、予防法務、法律相談など多岐にわたります。

しかし、営業やマーケティング、経理、製造などと違い、バックオフィスに属しているため業務が表に見えにくい面があります。

私がそんな法務部で日々業務をしている中で辛いと思うことを紹介します。

 

法務部の業務で辛いコト

早速、法務部の業務で辛いことを紹介していきます。

1.他の事業部から嫌われやすい

法務部では取引先との契約書の契約書審査が業務の7割~8割を占めます。

契約書の内容修正を検討すると、取引先から提示された内容が全て合意し円満に締結へ進めることはほぼないです。

事業部としてはお客様・取引先からの要望に全力で応えて、少しでも売り上げをあげるために多少の無理難題は譲歩したい。という気持ちが当然としてあります。

しかし法務部は、そんな気持ちを無視するかのように、「第〇条の■■については当社では合意できかねるため、文言を削除してください。」「損害賠償は○○万円までとなりますので修正いたします。」などと、淡々と注文をつけるのが現実です。

お客様と自社とのパワーバランスから修正はしたくない、言い返せば、「そんな危ない契約を取り交わすなら取引は出来ません」とまで言わなければなりません。

自社が我慢さえすればいいじゃないか、と思うかもしれませんが、法務部からすると、お客様のいう通りにしたい気持ちはしみじみわかるが、会社が何でもOKと言っていい、というわけにはいかず、会社が法令違反を犯さないために心苦しいが言っているんだ、という気持ちです。

事業部としては法務部とは契約書くらいでしか関わりがないです。

それなのに関わったらこちらの思うようなことは言ってくれない、むしろ反対してくるではないかというような印象が強く出てしまい、事業部からは「反対する人たち」というレッテルを貼られ、煙たい存在として扱われやすいのです。

2.成果が数値化されにくい

営業であれば年間の目標数値に向け、たくさんの売り上げをあげることで評価がされます。

しかし、法務部の業務というのは、大半が依頼があって成り立っている部分、遂行する業務が直接の売り上げや利益につながらない部分が大半です。

そのため、質が求められるところで部としての功績や個人の業績が数値化しづらいというところがある。

3.労力のわりに年収アップが見込めない

成果が数値化されにくいということは、個人の評価にもかかわっています。

他の事業部に比べて特殊な業務をしているため、法務部の管理職は、メンバーを評価する際の基準(ものさし)をどのように設定してよいかがわからないケースが多いです。

頑張っているからといって自分の部員だけ高評価をしてしまうと他事業部との公平性が保たれないです。

また、会社がどのくらい法務へ期待しているのかも未知数なため、幅広い業務をカバーしている割には昇給や昇進に対してはスモールステップになりがちです。

そのため、法務での大幅な年収アップを望むならば、司法書士や弁護士、行政書士などの国家資格を取得するか、思い切って転職をして役職に就くなどの行動が必要となってきます。

4.法改正対応など追い続けるため、業務時間外に勉強が必要

目まぐるしい社会情勢の変化に伴い、日本の法整備も毎年のように変化をしています。

その法改正に対応するためには、会社の法律家として最新の情報をいち早く理解し身に付け、経営陣や事業部へ情報発信をしたり、実務対応を再検討しなければならないです。

業務中に勉強ができればいいのですが、大半の法務部は少数精鋭で成り立っています。

メガ企業で10人から多くて30人、東証プライム市場の上場企業でせいぜい5,6人です。

その一人一人が契約審査業務と他のプロジェクトを複数掛け持ちし、並行しながら日々業務を遂行しているため、こうした法改正対応の勉強は、事業部が動かない業務終了後や休日を利用してするしかないのです。

5.人員の流動性が低い

法務部で仕事をするには法律の知識が必須となるため、知識や資格を持った専門家ばかりが集まりやすく、他事業部からの異動はそうそう起こりえないです。

また、契約書審査や経営陣へのアドバイス、組織法務を進める上ではそれなりの社会人経験と深い事業理解が必要となるため、新入社員も滅多に入って来ないです。

そのため、法務部の人員に関しては一度配属されると法務部の中でキャリアアップをしていくというパターンが多くなりがちになり、人員の流動性が低くなることが多く、この狭いコミュニティの中で人間関係がうまくいかないとその会社を去り、転職を迫られることも多くあります。

6.上司と考えが合わない

これには2つのパターンがあります。

1つ目は上司が法務畑出身でないパターン、2つ目がそもそも相性が悪いパターンです。

前者においては、法務部は専門家が多く集まるため、物事のとらえ方がまったく異なり、分かり合えず平行線をたどり続けてしまいます。

一方、後者は、人員の流動性が低いため、相性が悪い上司に出会ってしまったら、長い間その上司と付き合っていかなくてはならないことにしんどくなってしまいます

さらに辛いのは、法務部の業務は1人で完結させるということができないことです。

あらゆるリスクを検討するためには、多方面から検討・議論して会社にとって最善の策を導き出さなければならないため、高い頻度で上司と討論をすることがあります。

部下も黙っていてはいけないので、発言をしますが、意見が合わず、喧嘩腰になることもしばしば、、、。

それが日常茶飯事なので部内メンバーは仲が悪いということもざらにあります。

 

まとめ:法務は会社にマストな存在な少数精鋭の組織

以上6つにわたり、普段見えない法務部の辛いことをあげてみました。

どの部署でもそうですが、良い部分もあれば、悪い(辛い)部分もあります。

良くも悪くも法務は少数精鋭の組織なので、そこでの相性が命運を分けますし、他の部署からは契約の際に面倒臭い存在と思われてしまうことも多いです。

このあたりが法務の辛いところでしょうか。

この記事で少しでも法務の業務、また辛さについて知っていただければ幸いです。

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