人事・労務

HRテックとは?人事システムのできること・おすすめサービス比較

履歴書や職務経歴書の管理、行政機関に提出する書類、年末調整、休暇の申請・・・。

昔から人事の業務では紙や印鑑を用いて仕事をする場面が多くありました。

しかしあらゆる職種がデジタル技術によって業務を効率化する流れが強くなっている近年において、

人事業務にもたくさんの便利ツールが活用されるようになりました。

こちらの記事では人事業務をサポートするHRテックについて、またHRテックツールやおすすめのHEテックサービスについて比較していきます。

会社でのHR業務改善にお役立てくださると幸いです。

 

HRテックとは

HRテックとはITを活用することによって、人事業務を効率化、簡素化することを指します。

日本語では、人事システムや人事管理システムなどの言葉が該当します。

従来、これらの業務は紙の書類やExcelに手入力して情報を保管し、電子メールや郵送で社内や行政機関と共有していました。

アナログな手続きは書く人も受け取る人も抜け漏れがないようにチェックするのが大変で、人事担当者や従業員みんなに負担がかかっていました。

こういった課題を解決するために開発されたデジタルツールを総称し「HRテック」と呼ばれています。

 

HRテックでできること

HRテックでは具体的にどのようなことができるのでしょうか。

 

1.従業員情報管理、労務管理業務の効率化

従業員の氏名、住所、電話番号、マイナンバー、家族構成、経歴などの個人情報の管理や労働時間、日数の管理、給与計算、残業や有休の申請などを自動化する機能です。

  • 必要項目を入力すれば雇用契約書等の書類が自動作成される
  • 書類を行政機関などに郵送する手間が省ける
  • 社員がシステム上で質問に答えるだけで社保加入や年末調整を完結できる
  • 住所や通勤ルート、家族構成などの登録変更がシステム上で完結できる
  • 残業や有休の申請がシステム上で完結できる
  • 時間外労働時間や営業実績などの情報にアクセスし、社員の給与が自動計算される
  • 履歴書やレポート書類を探さなくても所属や社員の過去の経歴を閲覧できる

給与計算業務の効率化

給与計算業務について、人事以外の部署で対応するケースもあると思いますが、ここでは含んでおきます。

各従業員の給与の計算を簡略化する機能です。

勤怠管理系のシステムと連携するケースもあります。

  • 給与の自動算出
  • 法改正(税率や年金など)の自動対応
  • 年末調整の計算

採用業務の効率化

自社求人に応募してきた候補者の情報や選考の進捗状況、求人媒体の掲載内容を一括で管理する機能です。

メールや各採用媒体の管理画面を操作する必要がなくなり、採用オペレーションが効率化が期待できます。

  • 各求人媒体の候補者情報や面接日程を一括で管理
  • 候補者とのメッセージ送受信をシステム上で完結
  • 各求人媒体の掲載内容を一括変更
  • 各求人媒体の応募実績や採用率を分析、比較

評価業務の効率化

従業員評価をサポートする機能です。

評価業務の負担を軽減するほか、上長の違いによる評価の偏りが発生しづらくなる機能があり、評価の質を高めます。

  • システム上で評価を完結し、評価フォームの配布、回収、抜け漏れチェックの手間が省ける
  • 上長や部署ごとの評価の偏り、ばらつきをチェックしてくれる
  • 社員が設定した目標の進捗管理をサポートしてくれる

 

HRテックの導入目的

HRテックの導入には、目的があることも認識しておきましょう。

HRテックの導入目的を把握しておくことにより、自社のニーズに合っているのか確認できるでしょう。

HRテックには、以下のような目的があるため紹介しましょう。

多様化した働き方に対応するため

HRテックの需要が増えているのは、働き方が多様化していることも原因です。

今はオフィスに集まって業務するだけでなく、テレワークやリモートワークなども行われるようになったため、上司が全体の内容を把握することが難しくなっています。

客観的に成果を評価できるようにする必要が生じているため、HRテックによって実績ベースでの評価を行うことができるように、導入していることがあります。

また、HRテックを導入することにより、データが蓄積されて前回との評価結果と比較して、どのような点が改善されたのか比較することもできます。

データを可視化することができれば、業務効率を向上させることができ、外部からの作業でもデータにより内容を把握することができるため、企業は導入を積極的に行っています。

人材不足を補うため

HRテックの導入を行うのは、人材不足を補うためという目的もあります。

国内では少子高齢化などの影響から人材を確保することが難しくなっているため、必要なときに的確な採用を行うことができない場合があります。

さらに、作業内容によってはスキルが必要なこともあり、未経験者では採用が難しいこともあるでしょう。

しかし、HRテックを利用することにより、スキルや経験を可視化して確認できるため、データに基づいて適切な人材を採用しやすくなります。

また、採用業務には応募者の対応や採用した内定者のフォローなど、工数がかかる業務も多いため、コア業務をHRテックに任せることで工数を減らすことも期待できます。

IT技術の進歩

HRテックはIT技術なので、テクノロジーを取り入れたい企業も利用を検討できます。

HRテックを導入することにより、手作業で行っていた入力作業やリストの調査など人為的な作業を補うこと、また社内改革を急速に広げることも可能です。

各企業のポイントを押さえて、デジタル化を進めることができるため、導入を検討する企業も増えています。

 

HPテックを利用する際のメリットとは?

HRテックを導入するなら、どのようなメリットを得ることができるのか、知っておきたいでしょう。

HRテックを利用するメリットを知っておくことで、前向きに導入を考えることが可能です。

以下のようなメリットがあるのでご覧ください。

採用ミスマッチを防げる

HRテックでは、採用ミスマッチを防ぐことができます。

HRテックの導入により社員の特徴やスキルなどの詳細な情報を収集して、管理を行うことができるため、集めた情報と応募者の情報を比較して、自社にマッチした人材なのか適切に判断することができるからです。

より精度を向上させることができれば、採用したときに自社の求める人材を採用することができ、離職率や退職率を下げることもできます。

また、新たな人材を募集する手間も省けるため、業務効率を向上させることもできるでしょう。

ミスマッチが課題になっているなら、HRテックの導入はおすすめです。

データに沿った組織マネジメント

HRテックを導入するなら、組織マネジメントの点でも期待することができます。

HRテックによって社員のデータを分析して、それぞれに適合した仕事を割り当てることができ、プロジェクトのチームなども構成することが可能です。

社員にもそれぞれ性格や価値観、スキルなどに違いがあるため、不適合な仕事に就かせてしまうと、業務効率が低下することになり経営に支障が生じることもあります。

そのため、データである程度の能力面などを考慮しておくなら、割り振りのミスマッチを防ぐことにもなります。

また、将来的な人材の成果予測も行えるため、成長を加味して組織マネジメントを行うこともできるでしょう。

スピーディーな作業と人為的ミスを削減できる

HRテックを導入するなら、スピーディーな作業と人為的なミスを防ぐこともできます。

HRテックは電子データとして保存することができるので、ペーパーレス化にすることができ、印刷代などをコストカットするだけでなく、保管に割いていた時間を短縮可能です。

さらに、雇用保険や社会保険などの手続き、従業員の入退社の手続きもオンラインで行えるため、市役所などに赴かなくても手続きを完了させることが可能です。

市役所に逐一行くようなら時間がかかってしまうことになりますが、HRテックの導入によって時間を大幅に節約できるでしょう。

また、スマホやタブレットで情報入力できるので、住所変更などがあったときも、各従業員で行うことができます。

人事担当が行っていた作業を従業員が行うので、情報の更新や追加をスピーディーに行えて、転記ミスなども防ぐことが可能です。

業務効率化として期待することができるでしょう。

 

HPテックを利用する際の注意点とは?

HRテックを利用するときは注意点もあります。

しっかり注意点を把握しておかないと、HRテックを利用するときに、予想と反した結果になってしまうこともあります。

以下のような注意点があるのでご覧ください。

目的を明確にしておく

HRテックを導入するときは、目的を明確にしておくことも大事です。

HRテックを導入するなら、デジタル化することができますが、曖昧な理由で目的を定めずに行うなら、上手く成果が現れません。

目的が明確でないことで、導入しても自社に合わず結局元のスタイルに戻すようなら、成果を出すことができないでしょう。

そのため「どのようにシステムを利用して実現したいことがあるのか」という点を考慮して導入する必要があります。

組織づくりの一環として、改善したい点を分析してHRテックで実現可能なのか慎重に計画してください。

情報漏洩の際のリスク管理を行う

HRテックを利用するなら、情報漏洩のリスクについて確認しておく必要があります。

HRテックは個人情報を一元的に管理できるため、アクセスを簡単に行うことができますが、しっかり管理していないと情報が漏れてしまって大きな問題につながることもあります。

例えば、誰でもアクセスできる状態にしているなら、それだけ多くの人が閲覧できるため情報漏洩のリスクが高くなるでしょう。

そのため、個人情報にアクセスできる人を制限しておくことや、閲覧する場所を限定するなど、対策を立てておく必要があります。

情報漏洩のリスク管理を行うことが大事になるため、この点を押さえて利用するようにしましょう。

データに固執しないようにする

HRテックを利用するなら、データに固執してしまう可能性もあります。

HRテックはデータを元にいろいろな判断を行うため、逆に言うとデータで見えない部分は軽視してしまう可能性があります。

能力面は成果などをデータで分析することにより判断することも可能ですが、例えば性格などはデータでは理解しにくい点もあるため、正確な判断ができない場合もあるでしょう。

データのみに固執して大事な点を見落としてしまうと、成果が思うように出ないこともあるため、日常的な分野も見ることが大事です。

 

HRテックの導入ポイント

HRテックを導入する際は、どのようなポイントがあるのか把握しておきたい人もいるでしょう。

HRテックの導入ポイントを知っておくことで、効果をより期待することができます。

以下のような導入ポイントがあるので紹介しましょう。

業務の課題を確認するなど整理する

HRテックを導入する際は、課題などを確認して整理することを意識しておきましょう。

HRテックを導入するときに、漠然とした目的のみでは現状の業務をITに置き換えたのみで、本質的な業務改善につながることはありません。

業務の課題を改善できるのかがポイントになるため、業務を全て書き出して削減できる業務が無いのか確認することが大事です。

手順を工夫することで工数を減らせる部分が無いのか分析することができれば、スリム化を実現しやすくなり、期待した導入の効果を得ることが可能です。

HRテックはメリットがありますが、機能面を生かすためにはある程度の準備が必要になるため、冷静な分析をしてから検討しましょう。

HRテック以外のシステムとの相性も考える

HRテックを導入することにより、課題の解決策として期待することができますが、当然ながら全てに適用できるわけではありません。

システムの中には、SaaS同士が標準連携しているものやAPI連携しているものもあるため、その点を考慮して足りない部分を互いに補うことができるのか分析しましょう。

もし、システム同士の連携が悪い場合はHRテックを導入しても上手く相乗効果を見込めないこともあります。

また、HRテックでは補うことが難しい部分が生じて、別のシステムが必要になることもあるでしょう。

全てをHRテックで改善しようとすると、思わぬトラブルによって対処が難しいこともあるため、しっかりチェックしておきましょう。

導入自体で満足しないようにする

業務改善でHRテックを導入する際は、導入自体で満足しないようにすべきです。

HRテックを導入する際は業務整理や要件定義など様々な段取りがあるため、業務を担当するメンバーや情報システムにも関わる人がいるなど、いろいろな準備を行う必要があります。

そのため、導入の段階でやることがかなりあると、HRテックの導入だけが目的になることもあり、満足してしまう場合もあります。

しかし、HRテックは手段にすぎず本来の目的は、人事業務を効率化や高度化することです。

そのため、導入だけで満足しても業務効率が良くなるわけではありません。

HRテックの導入自体で満足しないためには、準備段階の時点で効率よく導入できるよう、手一杯にならないように計画することが大事です。

目的を間違えないように注意しておきましょう。

 

目的別おすすめシステム

ここまではHRでできることを目的別に紹介していきました。

次に、各目的別のおすすめHRサービスを見ていきます。

 

労務管理業務を効率化させたい

まずは、労務管理業務効率化のためのサービスです。

ジョブカン労務HR

特徴

  • 社保加入や年末調整をスマホで完結
  • 従業員情報を一元管理できる
  • 勤怠管理機能付き
  • オプションで初期設定を代行してくれるサービスあり

はじめて労務管理システムを導入する企業なら、必ず候補としてお考えいただきたいシステムです。

シリーズ累計で100,000社以上の導入実績があり、無料プランで実際にテスト導入することもできます。

担当者がテクノロジーの導入に不慣れな場合でも心強い初期設定サポートを受けることができます。

 

 

スマートHR

特徴

  • 社保加入や年末調整をスマホで完結
  • 従業員情報を一元管理できる
  • 評価や人材分析の機能もあり

スマートHRは2022年現在シェアNO1を誇る労務管理システムです。

30名までは無料で利用できるため、予算を多くはとれない中小企業も積極的に導入しています。

労務管理だけではなく、従業員評価の機能もついています。

 

 

クラウドハウス労務

特徴

  • 社保加入や年末調整をスマホで完結
  • 従業員情報を一元管理できる
  • サポート体制の充実したセミオーダー型サービス

クラウドハウス労務は担当者が自社の課題と予算に合わせサービス内容をカスタマイズできる、人事管理システムです。

専任スタッフによる導入支援や電話問い合わせにも対応しており、会社の事情に寄り添った対応が特徴です。

料金は会社の規模や必要な機能に合わせ見積もってくれます。

自社の課題の洗い出しも兼ね、見積もりだけでも依頼してみてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

採用業務を効率化させたい

次に、採用業務効率化のためのサービスです。

 

HRMOS

HRMOS

特徴

  • 豊富な人材採用ノウハウを持つビズリーチ社が提供するサービス
  • 採用業務のタスクを一元管理
  • データを可視化し、自社の採用活動のログを残せる
  • 専任スタッフによる導入支援、進捗振り返りなど充実のサポート体制

各採用媒体からの応募者情報や日程を一元管理し業務効率を高めるほか、

高精度でわかりやすいレポート機能で採用活動全体の進捗管理をサポート。

人事戦略検討にも活用できます。

ビズリーチ社で蓄積された採用ノウハウを持つ専任担当者からシステムの導入サポートや、運用アドバイスを受けられる点も魅力です。

 

 

 

i-web(新卒採用向け)

i-web(新卒採用向け)

特徴

  • WEBミーティングシステム搭載
  • 大手新卒サイトの適正検査と連携
  • LINEと連動し、システム内で学生とのコミュニケーションが取れる
  • スタッフによる導入サポートやヘルプデスクもあり

i-web(アイウェブ)は新卒採用に特化した採用管理システム。

新卒採用サイトや適性検査ツール、カレンダー、面接の印象や評価を管理するフォーマット、WEBミーティングツールなど、

ありとあらゆる新卒採用活動に必要な機能をコレひとつで補完できます。

 

 

 

 

評価業務を効率化させたい

まずは、評価業務効率化のためのサービスです。

 

カオナビ

カオナビ

特徴

  • 面倒な評価業務をスマホで完結
  • 従業員情報に顔写真を紐づけて管理
  • 部署や上長の評価の偏りをチェック
  • メンバーの目標を一元管理し、進捗状況を見える化

カオナビは目標管理、評価機能、顔写真との紐づけ機能が加わった社員情報管理システムです。

多くのマネジメントや経営者が抱える「顔と名前が一致しない」という悩みをシンプルに解決してくれ、

部下が掲げた目標の達成度もリアルタイムで確認できます。

 

 

ヒョーカクラウド

ヒョーカクラウド

特徴

  • モチベーションUPやチームビルディングをサポートする機能
  • 360度評価、MBO評価、コンピテンシー評価など複数の評価方法に対応
  • スキルマップ機能で社員の能力を可視化
  • 行動ログを記録し、離れた相手のがんばりが見える

ヒョーカクラウドは従業員評価、スキル管理に特化した人事管理システムです。

個人の業務上の行動が記録でき、結果だけではなくプロセスも踏まえた納得感のある評価ができます。

従業員のスキルがわかりやすく表示されるため、社員の配置を検討する際にも有効です。

 

 

 

解決したい課題を明確にしてから検討する

人事管理システムは前述したもの以外にも数十、数百と数えきれないほどの製品があり、費用感や機能も様々。

なかには手ごろな費用感で便利に見えるシステムに飛びつきたくなることもあるかもしれません。

しかしデジタル化は「目的」ではなく、あくまでも課題解決の「手段」です。

自社が解決したい課題はなにか、経営者や社員が困っていることはなにか。

これらを明確にしてからシステムを選ぶよう心掛けましょう。

 

まとめ :人事システムは多数あり!HRテックはもっと進化する

  • HRテックとはITを活用することによって、人事業務を効率化、簡素化すること
  • 人事システムとは人事業務を効率化するシステムの総称
  • 労務管理や従業員情報を一元管理できる
  • 年末調整や社保加入手続きなどをペーパーレス、自動化できる
  • 採用業務を効率化させ、分析や効果検証も容易になる
  • 従業員評価の負担を軽減し、メンバーが納得できる制度の高い評価ができる

従来は手計算や手書きで行っていた人事業務。

しかしシステムを有効活用すれば業務効率向上や従業員にかかる負担を減らすことができ、

人事が本当に集中すべき「ヒト」に向き合う時間を多く確保することができるのです。

自社の課題や人事戦略をしっかり理解し、目的に合った人事管理システムを導入してくださいね。

-人事・労務