昨今のビジネスシーンでは労働力不足が問題化していて、多くの企業では人材確保のための採用制度について、日々頭を悩ませていることでしょう。
もはや新卒採用だけでは十分な戦力を確保できず、中途採用や経験者採用をはじめとした、多様な採用制度を導入しようと検討している企業も少なくありません。
しかし、採用活動には少なからず費用がかかりますし、人材コストも必要となります。
採用活動にかける費用や人材コストをなるべく抑えながらも、即戦力となるような優秀な人材を採用したいというのが多くの企業のニーズだと思います。
このようなニーズに応えるのが、社内外の人脈を通じて採用活動を行う、リファラル採用です。
最近ではリファラル採用を取り入れる企業が増えていて、それをサポートするようなツールも数多く登場しています。
リファラル採用ツールを導入することで、効率的かつ効果的なリファラル採用が実現し、優秀な人材を確保できると期待できます。
本記事では、リファラル採用ツールの定義を確認したうえで、リファラル採用を導入するメリットやツールの主な機能、自社に合うツールの選び方を解説していきます。
また、リファラル採用ツールをいくつかピックアップし、それぞれの特徴を紹介していきます。
採用活動の担当者や、優秀な人材を確保したい企業担当者は、ぜひ本記事を参考にしてください。
リファラル採用ツールとは
リファラル採用ツールとは、その名の通り、リファラル採用をサポートするためのツールです。
リファラル採用は、従業員の人脈を通じて、人材を採用する制度です。
一般的な採用活動では、求人サイトや採用ホームページ、求人広告を経由して人材を募集します。
しかし、リファラル採用では、こうした媒体は使わず、従業員がリクルーターとなって採用活動を行います。
リファラル採用という言い方は最近では浸透しつつありますが、企業によっては「従業員紹介採用」「社員紹介採用」と呼ぶ場合があります。
そして、このリファラル採用をスムーズかつ効果的に進めるためのシステムが、リファラル採用ツールです。
ツールを提供する企業によって、搭載されている機能や特徴は異なりますが、「人事での名簿管理」「紹介社員の可視化」「インセンティブの付与」といった機能が主に利用できます。
リファラル採用の目的や効果的な採用方法はこちらの記事で詳しく
あわせてご確認ください。
リファラル採用を導入するメリット
リファラル採用を導入することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。
リファラル採用ツールの機能やタイプを詳しく解説する前に、まずはリファラル採用の導入メリットを見ていきましょう。
採用活動にかかるコストを削減できる
リファラル採用では、従来の採用活動のように、求人広告や求人サイトを利用する必要がありません。
そのため、こうした広告やサイトの利用料がかかりませんし、自社に興味を持ってもらうための企業説明会やセミナーを開催する人材コストも削減できます。
もちろん、リファラル採用を取り入れるための業務は必要になりますが、不特定多数の転職者に対して採用活動を行うよりは、かかるコストをカットできるはずです。
入社後のミスマッチを防止しやすい
リファラル採用では、実際にその企業に勤める従業員が、採用候補となる人材に対して企業説明を行います。
実際に働かないとわからないような企業の魅力や雰囲気、詳細な業務内容はもちろんのこと、人事担当者は公にしにくい事柄も、採用候補者に伝えられます。
そのため、リファラル採用経由で入社した場合、入社前と後とでイメージのギャップが少なく済むメリットを期待できます。
その結果、自社に対するエンゲージメントの向上や、早期離職の防止効果につながる可能性が高いです。
効率的に優秀な人材を採用できる
リファラル採用では、転職市場に出てこない人材にもアプローチできるうえ、従業員がぜひスカウトしたいと思う優秀な人材に直接声をかけられます。
従来の採用活動では、不特定多数の転職者のなかから、自社に貢献してくれるような優秀な人材を探すという膨大な手間がかかります。
一方で、リファラル採用であれば、大学や専門学校時代の同級生や前職の同僚など、従業員と同じ専門スキルや能力を有している人材を集めやすいのです。
リファラル採用ツールデメリット
リファラル採用ツールを利用する際は、デメリットがあることを確認しておくべきです。
リファラル採用ツールのデメリットを把握しておくことで、リスクを抑えて利用することができます。
リファラル採用ツールのデメリットには以下のようなものがあります。
社員と候補者の関係性に配慮が必要
リファラル採用ツールを利用するときは、社員と候補者の関係性に配慮する必要があります。
リファラル採用ツールは、他の採用方法と比較してつながりが深いです。
そのため、採用活動で不採用になった人はしっかりケアしなくては、関係性が悪化してしまうこともあります。
他にも、入社後の配置関係や評価基準によって職務へのモチベーションが下がってしまうこと、入社後に一方が転職や離職を選択すると、もう片方も同様の選択をする可能性があるなどです。
リファラル採用は人間関係の力を利用して採用に大きな効果をもたらすことができますが、同時に適切なケアをして仕事へのモチベーションが上がるようにする必要があります。
マイナスに傾くと離職など、結局はリファラル採用による効果を得られない可能性もあるため、十分に注意しておきましょう。
社員の認識不足だとミスマッチになる可能性もある
リファラル採用は社員の認識不足が生じると、ミスマッチになる可能性もあります。
リファラル採用は紹介者を通して、自社に合う人材をマッチングさせることですが、紹介者の認識と募集による理解が一致していなくてはいけません。
紹介者が日頃から採用活動やチームのマネジメントに参加していない場合、企業が求める人物像やどのような知識やスキルを持つ人材が欲しいのか把握できていない場合があります。
また、相手の価値感や性格などを分析して、自社で活躍することができるのか見極める力も必要になります。
リファラル採用ツールを利用しても認識が甘かったり、分析があまり得意でなかったりする社員だと、ツールを利用しても自社の想定した社員ではなくミスマッチになる可能性もあります。
そのため、リファラル採用することになった時点で、候補者の評価基準を社内全体で情報共有しておくようにするなど、対策を講じておきましょう。
採用から入社まで時間がかかる場合もある
リファラル採用を利用するときは、入社するまでに時間がかかることもあります。
リファラル採用は候補者の選定に時間がかかるケースが多く、求めている人材が優秀であるほど、他の会社でも活躍したり、候補の転職先を選びやすいです。
そのため、自社側でアピールしたとしても、採用を決定するまで長期的に見なくてはいけない場合もあり、直ぐに採用とはならない可能性もあります。
採用が決まったとしても候補者が業務の引き継ぎを終えて退職手続きを行い、自社に入社してもらう必要があるため、実際に働いてもらうまでには、数ヶ月かかる場合もあるでしょう。
そのため、早めに働いて欲しい場合はリファラル採用ツールを活用しても難しい場合があるため注意しておきましょう。
リファラル採用の成功ポイント
リファラル採用ツールを利用するときは、成功のポイントについて把握しておくべきです。
ポイントを押さえておくことにより、採用活動の成果を収めやすくなります。
リファラル採用ツールの成功ポイントは以下の点があります。
社員にとってのメリットを伝える
リファラル採用を行う場合は、社員にとってのメリットを伝えるようにしましょう。
リファラル採用は「積極的に動きたい」と思ってもらえることにより、優秀な人材を採用できる可能性が高くなります。
そのため、リファラル採用をして成果を収めた社員にはインセンティブを与えるなど、モチベーションが上がるような仕組みにしておくのがおすすめです。
リファラル採用のインセンティブは少しの報酬なのか、割引券なのかなど、しっかりと何を与えるのか共有しておきましょう。
また、インセンティブの支給は採用段階なのか応募段階なのか、明確にしておくことも大事です。
社員のモチベーションが上がるほど、成功率も上がるため考えてみましょう。
社内全体でルールを構築しておく
リファラル採用ツールを活用するのであれば、ルールを構築しましょう。
特定の社員のみに存在を伝えるだけでは、効果は限定的になります。
社員全体でルールを共有しておかなくては、採用者と企業の両方の価値を一致させるのも難しく、ミスマッチが生じる可能性も高いです。
そのため、リファラル採用でツールを使用するときも、どのような機能を使用するのか、どんなことを候補者に質問するのかなど明確なルールを決めておくと、社員も行動しやすくなります。
また、リファラル採用ツールを利用する際に、従業員がルール全体を把握できるように整備しておくことも大事です。
ルール制定しても情報の閲覧が限定的であれば、全員が共有するのは難しくなります。
ツール採用前にマニュアルを提示しておくなど全員が一度は目にすることができるようにしておきましょう。
リファラル採用ツールの主な機能
リファラル採用ツールについて、いくつか主な機能を紹介していきます。
求人情報の共有機能
求人情報の共有機能は、リファラル採用で取り扱う求人情報を、従業員や採用候補者に共有する機能です。
また、各種SNSを経由して、求人情報を採用候補者へスムーズに紹介できるような機能も搭載されていることがあります。
URL発行機能
従業員の誰が紹介したかを把握するために、各々にリファラル採用専用のURLを発行します。
そのURLがあれば、誰が紹介したかを把握できて、紹介インセンティブなどを付与するときにも役立ちます。
連携機能
単純なリファラル採用だけでなく、ほかのサービスやツールと連携することで、採用管理全体をツール上で行うことも可能です。
連携できるものは各リファラル採用ツールによって異なりますが、
・求人媒体
・ビジネスチャットツール
・ビデオ通話サービス
・採用ホームページ
などがあります。
採用管理機能
応募者のデータや、各応募者の選考状況などを確認できる機能です。
採用を一元的に管理することで、連絡漏れやミスなどを大幅に減らすことが可能です。
自社紹介ページ作成機能
自社を知ってもらうために、紹介ページを簡単に作成できる機能です。
何も紹介できるものがないと紹介された方も困ってしまうため、リファラル採用専用のページをひとつ持っておくと便利です。
リファラル採用ツールの代表的なタイプ
リファラル採用ツールと一口に言っても、リファラル採用だけに特化したタイプや採用活動全体に利用できるタイプなど、さまざまなタイプが存在します。
ここでは、リファラル採用ツールの代表的なタイプを3つ紹介します。
リファラル採用に特化したタイプ
リファラル採用に特化したツールは、リファラル採用を進めるうえで必要な機能だけに特化したタイプです。
各種SNSと連携して簡単に求人紹介できる機能や、求人紹介を行った従業員へのインセンティブ付与がワンストップで行える機能などが搭載されています。
リファラル採用へ特に力を入れていきたい企業には、リファラル採用に特化したツールがおすすめです。
採用活動全体の管理をできるタイプ
リファラル採用ツールのなかには、リファラル採用だけではなく、採用活動全体の一元管理を行えるタイプがあります。
求人ページの作成や公開、各種媒体からの求人応募者の一元的管理、採用スケジュールの可視化といった機能が搭載されています。
ただし、リファラル採用特化ツールと比較すると、リファラル採用に役立つ機能が少ないおそれがある点には注意が必要です。
リファラル採用に限らず、採用活動全体の効率化を図りたい企業には、採用活動全体の管理をできるタイプがおすすめです。
プラットフォームの役割を持つタイプ
ここまで紹介した2タイプは、社内のシステムとして利用するものですが、採用担当者と採用候補者とがつながりを持てるプラットフォームタイプのツールも存在します。
従業員の人脈を通じて、採用担当者が採用候補者へ直接連絡を取ることが可能になります。
リファラル採用ツールの選び方
リファラル採用ツールはさまざまなため、どれを利用すれば良いのかわからないこともあるでしょう。
リファラル採用ツールの選ぶ際のポイントを、詳しく確認していきます。
使いやすさ
機能が優れていても、操作があまりにも複雑な場合、利用するのが難しくなってしまうケースがあります。
操作が支障がなくできるレベルなのかは、必ず確認しておきましょう。
また、導入時には、どの程度ツール提供元からレクチャーがあるかも把握しておくと安心です。
機能の範囲
自社でどの程度の機能を欲しているのか、またそれにどの程度対応できるツールなのかを確認しておきましょう。
自社求人の作成、紹介リンクの共有、選考管理、評価管理、求人媒体との連携、ビジネスチャットツールとの連携など多彩な機能があります。
機能の中で何が必要なのか、判断することが重要です。
おすすめリファラル採用ツールを比較【5選】
それでは、おすすめのリファラル採用ツールを比較していきます。
ツール名 | 料金 |
MyRefer(マイリファー) | 要問い合わせ |
リファ楽 | 月額55,000円 |
HERP Hire | 要問い合わせ |
ビズプラ採用管理リファラル採用 | 初期設定費 10万円 月額費用 5万円 |
YOUTRUST | 要問い合わせ |
MyRefer(マイリファー)
マイリファーは、2015年のサービス以来、中途採用やアルバイト、新卒採用まで全ての採用領域で活用されています。
マイリファーの特徴として、人事の負荷を大幅に避けるために人事管理と告知管理を行っており、人事の手間をかけずに管理を行えるように工夫しています。
既存の求人票を一括で取り込み、対象の社員に告知する他、リアルタイムで自社の紹介求人を確認することが可能です。
また、社員が楽しく自発的にリファラルできるように、リクルーターエンゲージ機能も備わっています。
この機能は、いつどこにいてもSNSやメールなどを通じてワンクリックで紹介ができ、さらに継続的な紹介を加速させるためのランキング機能も利用できます。
これらの機能を利用することで、社員は手間を大幅に削減して動機付けを行うことができるでしょう。
さらに、リファラル採用の活動状況を可視化できるアナリティクス機能によりリアルタイムによるトラッキングやステータスに合わせた分析を行え、興味のある人材へのアプローチやインセンティブ管理も行えます。
500社以上の利用実績に基づいて設計から促進まで行っているため、リファラル採用ツールとして期待できるでしょう。
リファ楽
リファ楽は国内利用率9割と言われており、LINEを活用して採用代行サービスを行うことができます。
LINEは国内利用率も高いため、採用システムとして誰もが参加しやすいです。
電話やメールよりもハードルが低いため、人材募集の際も連絡を取りやすいメリットがあります。
LINEを使用してリファラル採用するときは、LINE公式アカウントの開設を考えることもあるはずですが、うまく行えるか不安を感じることもあるでしょう。
リファ楽であれば公式アカウントの開設も代行してもらうことができるため、自社で行う必要がありません。
また、リファ楽の仕組みも人事担当者側は一元管理によって店舗や社員名簿、応募者の情報、インセンティブなどを管理画面で全て把握することが可能です。
LINEによりリアルタイムでやり取りをすることができる他、採用状況も可視化されているため、誰でも把握しやすくなるでしょう。
応募者側はLINEで応募から手続きを行うことができ、入手手続きを終えると社員と紹介した友人両方が特典を得ることができます。
コンサルティング担当者も採用ノウハウを持った方がサポートしてくれるため、支援に期待できます。リファラル採用の入口として利用を検討してみましょう。
HERP Hire
HERP Hireは経営陣や人事だけでなく、現場の社員を巻き込んで選考を行うスクラム採用による管理システムが特徴的です。
求人票の作成や公開機能、求人媒体からの応募情報の自動連携、エージェントの管理などは自動で連携して応募情報を集約しています。
そのため、転記作業の負荷は無く、さらにリファラル採用のための社員リンクは1人1人が発行しているため、リンク経由での応募も自動化されています。
また、チャットツールと連携させることもでき、スラックやチャットワークで通知を行うことが可能です。
選考依頼や日程調整行うとメンバーに直接通知され、候補者ごとに応募情報や選考結果を随時確認できるため、それぞれに必要な適切なサポートについて理解できます。
職種ごとの採用状況はもちろん、ダイレクトリクルーティングから人材紹介会社まで、経路ごとに応募実績や通過率が見えるため、どの社員でも可視化による把握を直ぐに行えます。
効率性を重視した機能になっているため、スピーディーな意思決定と高いクオリティを実現することが期待できるでしょう。
ビズプラ採用管理リファラル採用
ビズプラ採用管理リファラル採用は、採用管理システムから派生してできたツールです。
元々の採用管理システムにリファラル採用機能も搭載した形です。
自社を紹介する手順は非常に簡単で、紹介者は紹介用求人広告の「紹介する」ボタンをクリックし、発行されたURL(求人募集ページ)をメールで送れます。
URLを教えることができれば問題ないので、メールだけではなく、Facebook、twitter、LINE等のSNS経由でも送ることができます。
管理面でいうと、管理画面の応募者リストを見れば、応募者が誰の紹介で応募してきたのかすぐ確認できるようになっています。
YOUTRUST
YOUTRUSTは累計10万人を超えるキャリアSNSです。
一般的なリファラル採用ツールとは少し異なり、気軽に繋がるSNSなので、他のツールのような管理機能に関してはほとんどありません。
YOUTRUSTは、facebookなどのSNSの友達情報をもとに繋がることができ、逆に何か繋がりのない人との接点は持てません。
ただ、友達が繋がっている人の情報までは見ることができるので、直接繋がりがなくても間接的な繋がりまでは範囲を広げることが可能です。
YOUTRUST上で連絡を取ることができ、チャット形式のカジュアルなUIで気軽にアプローチすることができます。
プロフィール作成するときも、友人からの紹介コメントを記載することができるようにしているため、経歴書では伝わらない信頼を可視化して魅力を伝えることができるように工夫しています。
普段の仕事ぶりをアピールすることにつながり、自分の知らない長所を発見することにもつながるでしょう。
また、タイムラインを利用することで、友人や知人の異動や転職、最新の仕事ぶりも知ることができます。
キャリアや心境の変化も、タイムラインを活用して、アップデートするなら、新たなきっかけにつながることも期待できるでしょう。
まとめ:リファラル採用ツールを利用して効率よく質の高い人材を確保!
ここまでリファラル採用ツールについて、紹介してきました。
人材不足が深刻化する昨今において、従業員の信頼できる人脈を通じて優秀な人材を確保できるリファラル採用は、すべての企業が導入を検討すべき採用制度と言えます。
しかし、リファラル採用はその特殊な性質上、リファラル採用をスムーズに行うためのツールを活用することが重要です。
また、リファラル採用においては自社の従業員がリクルーターとなるため、従業員自身がリファラル採用へ積極的になれるようなインセンティブ制度も欠かせません。
リファラル採用に特化したツールのなかには、こうしたインセンティブ制度を実現するための機能が搭載されているものが少なくありません。
リファラル採用ツールを活用することで、採用活動の可視化やインセンティブ付与を実現し、効果的にリファラル採用を進めてみてはいかがでしょうか。