これまで「請求書を発行する」といえば、エクセルや社内システム等で請求書を作成し、印刷、封入して顧客へ発送するという流れが一般的だったのではないでしょうか。
請求内容のミスや請求漏れ、誤発送など、ヒューマンエラーの可能性が多数あり、紙代や郵送のコストもかかっていました。
現在、さまざまな企業に導入されているクラウド請求書発行システムなら、インターネットの通信環境が整っていれば簡単に請求業務等を行うことが可能です。
もちろん、ペーパーレスなのでコスト削減にもつながります。
また、作業や管理業務を効率化する以外にヒューマンエラーも軽減できるメリットもあります。
本記事ではおすすめのクラウド請求書発行システムに加えて、選ぶポイントも解説するので、ぜひ最後までご覧ください。
クラウド請求書発行システムでできること
クラウド請求書発行システムの主な機能を紹介します。
各社が提供するソフトによって、有無が異なりますのでご理解ください。
・請求書の作成、発行
・支払明細書の作成、発行
・納品書の作成、発行
・領収書の作成、発行
・見積書の作成、発行
・注文書の作成、発行
・検収書の作成、発行
・取引先登録
・CSV出力
・他サービスとの連携
上記以外にもそれぞれ独自の機能がある場合もあります。
どの機能を重視するのか、よく考えてからどのシステムを導入するか決めましょう。
クラウド請求書発行システムおすすめ5選
では、おすすめのクラウド請求書発行システムをみていきましょう。
今回は厳選した5つのシステムを紹介します。
サービス名 | 料金 | 運営会社 |
BtoBプラットフォーム請求書 | 月額20,000円〜 | 株式会社インフォマート |
楽楽明細 | 月額24,000円〜 | 株式会社ラクス |
マネーフォワードクラウド債権請求 | 要問い合わせ | 株式会社マネーフォーワード |
MIsoca | 年8,000円〜 | 弥生株式会社 |
請求管理ロボ | 月額20,000円〜 | 株式会社ROBOT PAYMENT |
BtoBプラットフォーム請求書
1つ目は、BtoBプラットフォーム請求書です。
プラットフォームシリーズとして請求書のみならず、商談や契約書等さまざまなシステムを展開している株式会社インフォマート。
同社が提供しているBtoBプラットフォーム請求書は請求書の発行だけでなく、受取や支払い金額の通知など、請求業務全体をデジタル化できるのが特長です。
50以上の販売管理システムや、20以上の会計システムと連携できます。
請求関連業務以外にも、請求データの一括取り込みによって、入金消込や部門・勘定科目の自動仕訳といった経理業務全体の大幅な効率化が期待できます。
仮に取引先が紙媒体を希望しても、オプションを利用すれば自社内では完全電子化を実現することが可能です。
導入のための初期費用は100,000円~、月額料金は20,000円~となっています。
法人向けの価格帯ではありますが月額料金に保守・サポート費が含まれており、専任の稼働チームによる導入へのデータ準備や取引先への説明サポートがあるなど、手厚いフォローが魅力です。
クラウドサービスを20年以上運用してきた歴史と70万社以上の導入実績は、BtoBプラットフォーム請求書への信頼度の高さを表していると言えるでしょう。
楽楽明細
おすすめのクラウド請求書発行システム2つ目は、株式会社ラクスが提供しているクラウド請求書発行システム「楽楽明細」です。
俳優やタレントを広告起用しているので、記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。
請求書発行に特化したシステムになっており、シンプルで使いやすいのが特長です。
CSVまたはPDFでデータを簡単に取り込むことができAccessやExcelにも対応。取引先ごとに、メールやFAXなど4つの方法から選択し請求書を発行できます。
1通164円~という業界最安値レベルでの郵送代行機能もあり、請求書の印刷、封入、発送作業の手間を減らせるのもメリットのひとつです。
導入にあたっての初期費用は100,000円~、月額料金は24,000円~となっています。
月額料金はWEB帳票発行件数による従量課金の方式をとっており、発行件数が多い企業にとっては、コストを抑えられるのも魅力ではないでしょうか。
また請求書のみならず、納品書・領収書などのあらゆる帳票類や、チラシ・お知らせといった書類の発送にも対応しています。
現行で使用している帳票デザインを再現できるので、見慣れたデザインの帳票を継続使用することができるので、比較的導入しやすいといえるでしょう。
マネーフォワードクラウド債権請求
おすすめのクラウド請求書発行システム3つ目は、株式会社マネーフォワードが提供している「マネーフォワードクラウド債権請求」です。
その名の通り請求業務から債権管理までをこれひとつで処理できるうえ、さまざまなシステムと連携できます。
たとえば請求書作成においては、SalesforceなどのCRM(顧客管理システム)からデータを取り込むことができ、正確かつ効率的に請求書を発行します。
また、銀行の入金情報と債権を突合して消込処理をおこない、それと同時に仕訳を自動作成する機能も搭載。
そのほかにも、前受金の管理や売上按分計上まで多機能なのも魅力です。
利用するユーザー数により金額が異なるので、導入に関するコストや月額料金などは公表されていません。
気になる場合は公式サイトから問い合わせてみましょう。
さらに、マネーフォワードクラウド債権請求なら、2023年10月より導入されるインボイス制度に対応するために必要な、適格請求書発行事業者の登録申請書も簡単に作成することができます。
現段階でインボイス制度に則った内容の請求書を作成すれば、今後のシステム改修も必要ありません。
中長期的な目線でクラウドシステムの導入を考えている方には、メリットが大きいのではないでしょうか。
Misoca
Misocaは、有名な会計ソフト「弥生会計」を提供している弥生株式会社が展開するクラウド請求書発行システムです。
請求書以外にも見積書・納品書・領収書等の作成に対応しています。
帳票は自社の情報が自動で反映されるので、あとは取引先・品目・税率などの必要項目をフォームに入力すれば、簡単に作成できます。
見積書から納品書・請求書への変換もできるので、複数の書類を効率的に作れるのもメリットでしょう。
さらに「自動作成予約」という機能を使えば、定期発行する請求書の作成が自動化され、請求漏れの防止にもつながります。
Misocaの公式サイトをみると、個人事業主・フリーランス向けと法人向けでサイトが分かれており、それぞれ機能や料金プランも異なります。
どちらも導入費用が不要なので、運用にあたり初期費用を抑えたいなら特におすすめです。
一方で個人事業主向けの場合、請求書作成は月に5通までといった機能が限られるデメリットもあります。
しかし、無料プランもあるのでお試し感覚で使ってみるといいでしょう。
そのほかの有料プランも、キャンペーン期間中なら1年間無償で使用することができます。
キャンペーン適用を狙って1年間無料で使い、続けるか検討するのもおすすめです。
請求管理ロボ
最後のおすすめクラウド請求書発行システムは、「請求管理ロボ」です。
請求管理ロボは、株式会社ROBOT PAYMENTが展開しています。
主な機能は請求書業務の自動化、債権管理の自動化、請求代行サービスなどで、経理業務全体の負担を大きく軽減できるのがメリット。
現在急成長しており、年間取引請求額は2017年から3年で265%もアップしました。
最大の強みは、継続的に発行している請求書の自動作成による業務効率化です。
取引先と取引内容の情報を管理項目に登録しておけば、毎月自動で請求書を発行し、メールか郵送で送付してくれます。
また、入金消込も自動化できるので、未収対策にもつながります。
毎月のルーチンワークになっている請求書発行・送付業務をなくし、ヒューマンエラーを防止するとともに業務担当者が時間を有効活用できるのは大きな魅力ではないでしょうか。
もちろん、Salesforce、kintoneといったSFA/CRMと会計ソフトとの外部連携も可能で、改正電子帳簿保存法にも対応しています。
最安プランは、月額20,000円〜となっており、請求書発行数により料金は異なります。
請求業務を代行する同社シリーズの「請求まるなげロボ」もあるので、気になる方はぜひ問い合わせてみてください。
クラウド請求書発行システムのメリットとは?
クラウド請求書発行システムを導入することにはメリットがあります。
メリットを確認することで導入を前向きに考えることが可能です。
クラウド請求書発行システムのメリットには以下のような点があるので紹介しましょう。
請求書作業のスピードを向上できる
クラウド請求書発行システムを導入するなら、請求書サービスの作業スピードを早くすることが可能です。
企業が利用しているシステムとクラウド請求書発行システムを連携させることができれば、ファイル変換をしてデータをそのまま移行させることができるため、請求書づくりを簡略化させることが可能です。
手動で逐一請求書を記入する方法だと、取引先などが多いほど手間も時間もかかるため、業務効率という点では大きなマイナスになることもあります。
業務効率を改善してスピードを上げたい場合は、クラウド請求書発行システムを利用することで格段に上昇させることができ、さらに送信済みや未送信データなどもリアルタイムで状況チェックできるため、漏れを防ぐこともできます。
請求書の業務時間が気になるようなら、考えてみましょう。
経費を削減することも期待できる
クラウド請求書発行システムを導入するなら、経費の削減も期待することができます。
請求書を発行するときに紙を使用するなら紙代はもちろん、インクや切手、郵送費などもかかるため、枚数が多いほど経費も増えます。
経費が経営を圧迫しているようなら、少しでも減らさければ赤字により事業が成り立たなくなる可能性もあるでしょう。
クラウド請求書発行システムなら全てデータで行うことができるため、紙もインク代もかかりません。
また、多くの業者は郵送も提携しているため、配送も安価で行うことができ、紙で行うよりも経費を削減できる期待を持てます。
経費を何とかしたい場合、クラウド請求書発行システムの導入を考えてみましょう。
ミスを防ぐことも可能
クラウド請求書発行システムを導入することで、ミス防止も期待できます。
請求書を発行するときは、ミスが出てしまうことも十分ありえます。
例えば、金額の記入ミスや取引先の住所のミスなど、いろいろな点でミスが出る可能性を考えられるでしょう。
もし、ミスがあると、再度請求書を発行して郵送する必要もあるため、無駄な出費や時間を浪費することになります。
クラウド請求書発行システムを導入するなら、データで顧客情報を全て管理できるため、送信ミスはありません。
情報もデータから取り込めば全て正しく表記されるため記入ミスの心配もなく、データが消えたとしても履歴から復元することも可能です。
登録の際にミスはしないようにすべきですが、その点を押さえておくなら、効率性も格段に上がることでしょう。
テレワークの準備として活用できる
クラウド請求書発行システムを利用するなら、テレワークとして活用することもできます。
紙の請求書の場合は経理担当者や上司の方に押印や承認が必要になるため、もし出先であれば出社しなくてはいけません。
また、担当者が出張していていない場合は承認作業が進まないため、効率が悪くなることもあります。
しかし、クラウド請求書発行システムを利用するなら、オンライン上でやり取りすることができるため、担当者に連絡をすればネットで承認してもらうことができます。
自宅にいても出社しなくて良いため、テレワークを進めていくことができるでしょう。
クラウド請求書発行システムのデメリットとは?
クラウド請求書発行システムを導入することには、デメリットもあります。
どのようなデメリットがあるのか理解しておくと、利用するときに損失を防ぐことができるでしょう。
以下のようなデメリットがあります。
毎月のランニングコストがかかる
クラウド請求書発行システムを導入するなら、毎月のランニングコストを支払わなくてはいけません。
費用は業者によって違いがあるとはいえ、毎月のコストによっては経費負担が大きくなる場合もあります。
また、請求書発行システムはオプションを追加して効率化を向上できますが、付帯が多いとコストが大きくなり過ぎてしまい、紙のときより経費が大きく増加することもあります。
毎月のランニングコストをしっかり把握して、業務効率とコスト負担のバランスを保つことができるように考えてください。
オンライン化に対応していない企業もある
クラウド請求書発行システムを利用するときは、取引先の状況も確認しておくべきです。
取引先によっては電子化に対応しておらず、紙での請求書を希望するところもあるからです。
もし、電子化に対応できないようなら、クラウド請求書発行システムを導入しても紙で郵送することが多くなり、業務効率にならない場合もあります。
そのため、自社の都合ではなく、まず取引先の状況を確認して、電子化に対応しているところが多い場合、導入するようにしましょう。
クラウド請求発行システムを選ぶポイント4つ
さまざまなクラウド請求発行システムの中から、どうやって選べばいいのかわからない場合もあるでしょう。
導入するなら「使いこなせなかった」「業務の効率化が進まない」といった事態は避けたいですよね。
無駄なコストを発生させないためにも、以下の4つのポイントを押さえてクラウド請求発行システムを選びましょう。
ポイント① どこまでの業務範囲をカバーするか
まずは、業務範囲の中で何をシステム化するのか検討しましょう。
クラウド請求発行システムはただ請求書を作成・送付する以外にもいろいろな機能があります。
入金消込、売上情報の集計、入金催促といった業務までおこなうなら、多機能なシステムを選ばなければいけません。
また、機能を増やすほどコストも上がります。
ただし、請求書を発行するために上長による承認が必要な場合、申請・承認のワークフロー機能が備わっているシステムを選ぶのがおすすめです。
ポイント② 外部システムとの連携はできるか
業務の効率化には、現在自社で使用している外部システムとの連携が不可欠です。
例えば請求書を作成するのにも、請求金額を取り込む必要があります。
取り込む方法は、以下の2つです。
1つはCSVファイルで外部システムのデータを抽出し、インポートする方法。
もう1つは、直接外部システムとAPIで連携する方法です。
連携しなくてもインポートすれば問題ないですが、手間がかかるので面倒に感じるかもしれません。
請求書を頻繁に発行するなら、自社で使用中の外部システムと連携できるかを事前に確認しておくと良いでしょう。
ポイント③ フォーマット変更など柔軟な対応ができるか
自社の請求書フォーマットが、取引先と同じとは限りません。
会社によっては指定のフォーマットがある、郵送のみ受け付けるといったケースもあるでしょう。
そんなときに、クラウド請求発行システムにフォーマットのカスタマイズ機能や、郵送代行機能があると業務を効率化できます。
郵送代行は、印刷や発送といった手間がかかる業務を代行するサービスです。
ペーパーレス化が進んでいない取引先が多いなら、コストも考慮したうえで検討しましょう。
ポイント④ セキュリティ面がしっかりしているか
請求書は機密情報なので、情報漏えいリスクがあることを忘れないようにしてください。
クラウド請求発行システムは、他社のサーバに自社データを預ける仕組みになっています。
そのため、システムを選ぶときはセキュリティ対策がしっかりしているかを確認しましょう。
特にクラウド型のシステムの場合、サーバが保管されるデータセンターのセキュリティ確認は必須です。
監視体制や、暗号化が適切におこなわれているかも重要なポイントになります。
また、導入実績はそのまま信頼性の高さに直結します。
もし迷ったら、導入実績が豊富なシステムを選ぶといいでしょう。
まとめ:機能・料金を比較してクラウド請求書発行システムを選ぼう!
リモートワークが世の中に浸透してきた今、場所を問わずに請求書関連の業務ができるクラウド請求書発行システムは、経営者・実務担当者にとって双方にメリットがあるものと言えるでしょう。
承認や閲覧、編集など業務の権限を分けることのできるシステムがほとんどですので、承認フローに時間を要するということもなくなります。
今ある業務改善課題にフィットするシステムを選びましょう。