テクノロジーの発展が著しく進む現代において、AI(人工知能)の幅広い活用が議論されています。
日常生活へのアプローチだけでなく、人間の仕事も代替できるといわれており、実際、既に業務を代替する動きも出てきています。
AIの台頭は我々にとってメリットも多いですが、自身の仕事にも影響が出てくるとなると、どういった変化をもたらすのか気になるところです。
今回は人事というポジションから、AIで代替できることは何か、逆に代替できないことは何か、その上で今後の人事職に求められるスキルについて、考えていきましょう。
本記事はこんな方におすすめです!
◎人事に転職を検討している人
◎人事に興味があるが、将来の人事職に不安がある人
◎AIの発展について関心がある人
AI技術について
AI(Artificial Intelligence)とは人工知能の略称です。
コンピューター性能の向上により、コンピューター自身が学習できるようになり、その学習を活かして人間の知的活動が行えるようになりました。
自動運転や画像認識、翻訳など現在、様々な分野で活用が進んでいます。
AIが代替することのメリット
次に、AIを活用することで生じるメリットをいくつかみていきましょう。
日常生活の利便性向上
AIの自動化機能により、スピーディに対応できるサービスが増加し、より便利な生活が送れるようになります。また、AIの浸透は医療面でも進んでおり、安全面・技術面ともに利便性が上がっています。
生産性の向上
今まで人間が行っていた単純な動作などをAIが代替することで、確実性・スピードが上がり、生産性の向上が期待できます。
労働力不足の解消
定型業務をAIに置き換えることで、今までそこに割いていた人員の削減や、他の領域での活用など、労働力を補えるようになります。
コスト(人件費)の削減
人間による作業をAIが代替することで、その分の人件費を削減できるようになります。
AIが代替することのデメリット
次に、AIを活用することで生じるデメリットをいくつかみていきましょう。
雇用の減少
AIが代替する=人間の仕事が減るという構図が出来上がります。
全職種というわけではありませんが、スーパーやコンビニのレジ打ち係、工場の梱包担当者など、単純で繰り返し行うような作業については、AIの活用によりなくなってしまう可能性が高いです。
情報漏洩のリスク
AIはあらゆる情報を用いて学習し、その内容をもとに機能します。
膨大な情報を扱うため、ハッキングやシステム障害などで機密情報が漏洩してしまうことも考えられます。AIに限った話ではありませんが、扱う情報量が多い分、リスクが高いのも事実です。
AIが企業にもたらす変化
現在、AIを活用している企業は着実に増えています。
実際に導入している企業にはどんな変化があったのでしょうか。
『ソニービズネットワークス株式会社調べ』によると、AI導入済みの会社では、4割以上が「業務の作業時間削減につながった」と回答し、3割以上が「生産性が向上した」と回答しています。また、需給予測や販売予測、顧客分析や営業活動効率化などの業務でAIの導入が多いことも分かりました。
一方、AI導入後の課題として、「AIを最大限活用できていない」「運用できる人材がいない」といった声が多く、導入後の運用方法や手段については今後も改善が必要なようです。
AIは人事業務を代替できる?人はいらなくなる?
ここからは、人事の業務がAIに代替可能かどうかを考えてみます。
結論は「可能」です。ただ全ての業務を丸々置き換えることは難しいでしょう。
具体的な事例を用いながら説明していきます。
人事と一言でいっても業務内容は多岐にわたります。
例えば、「採用」「教育」「労務管理」「福利厚生」「異動」「評価」「人事制度」などがありますが、この中で単純で繰り返し行う作業があればAIで代替可能です。
「採用」で考えると、書類選考や面接で見るべきポイントや判断基準をあらかじめ決めておけば、AIは自動的に合否を出すことができます。
実際、ソフトバンク株式会社では動画面接の評価にAIを導入したり、株式会社吉野家ではアルバイト採用においてAIを使用した面接サービスを実験的に導入したりするなど、AIの活用が広がっています。
他にも給与計算などを行う「福利厚生」についてはデータや計算式など設定情報がしっかり準備されていれば、人の手よりもはるかに正確でスピーディに対応できるでしょう。
また、「異動」「評価」についても膨大な情報を一元管理できるシステムさえあれば、AI導入は可能です。
実際に防衛省は人事異動や評価について、AIシステムを導入していく方針を打ち出しています。
すべてをAIに任せるのではなく、従業員のサポートという位置づけで導入する企業が多いようですが、生産性の向上やコスト削減などのメリットを考えるとAIがもたらす恩恵は非常に大きいものといえるでしょう。
では、どういった業務がAIで代替が難しいのでしょうか。
それは、コミュニケーションや思考が必要なものです。
AIはあくまで日々のオペレーション改善に役立つもので、企画や戦略立案の提案、他部門との折衝などはこれからも人間が必要とされる業務になるでしょう。
また、AI活用が広がっていっても、AIシステムを管理する人や調整する人が必要です。今後はAIと人間が協働して業務に取り組んでいくことが重要なのではないでしょうか。
人事として求められるスキル
では、今後も人事として活躍していくためにはどのようなスキルが求められるでしょうか。
人間はAIで代替できないスキルを磨く必要があり、以下のようなものが挙げられます。
コミュニケーション力
社内外問わず様々な人との対話を行うことで、周りのニーズや思いを汲み取りながら、現状把握や課題発見ができることで、業務改善につながります。
AIはルーティン業務の代替とされることが多く、会話から思いを汲み取るといったきめ細やかな対応などは人間の方が優れています。そのため、コミュニケーション力は今後も必要なスキルでしょう。
提案力
人事の業務は会社全体から社員一人ひとりまで、幅広く影響を与えます。
多くの人を納得させるためにはロジックと同じくらい熱意や思いが必要です。
AIはあくまでシステムなので、人間のように感情を込めた提案はできません。
会社としてどうすべきか、どうしたいかといった問題提起や新施策の提案が今後の人材には期待されています。
「言われたことをやる」スタンスではなく、周りとコミュニケーションをとりながら、どうすればより良くできるのかを思考し、改善に向けて提案・行動していく。
この力があれば、将来AIなどのテクノロジーがさらに進歩しても人事として活躍することができるでしょう。
まとめ:AIに代替されない人事スキルを身につけましょう
今回はAIの台頭により、人事は仕事がなくなるのかについて紹介してきました。
AIでもどうしてもカバーできない部分は出てきます。
AIでカバーできないスキルを持っている人事であれば、代替されることないでしょう。
ぜひ今後求められるスキルを成長させていきましょう。