RPA(Robotic Process Automation)は、人に代わって定型的な作業を実行してくれるソフトウェアロボットです。
働き手の減少や働き方改革といった社会的トレンドに乗り、多くの企業で導入が進んでいます。
矢野経済研究所の2020年の調査 では、2016年度から2019年度の4年間で市場規模は6倍強となっており、本格的な利用拡大フェーズに入っていると指摘されています。
※本格的な普及期に入るRPA市場、2020年度市場規模は前年度比37.6%増の729億円と予測
市場の拡大とともに、さまざまな特徴を持ったRPAが世の中に登場していますが、選択の基準としてしばしば取り沙汰されるのが、クラウド型RPAとデスクトップ型RPAです。
機能面はもちろんのこと、管理面でもそれぞれの特徴が異なるため、どちらがより自社に適しているかしっかりと見極める必要があります。
今回は、クラウド型RPAとデスクトップ型RPAの違いを機能面と管理面で見ていきます。
ぜひ貴社における運用イメージを思い浮かべながらお読みください。
クラウド型RPA・デスクトップ型RPAとは?
まず、簡単にクラウド型RPAとデスクトップ型RPAを説明させてください。
その上で、機能面や管理面で比較をしていきます。
クラウド型RPAとは?
クラウド型RPAは、クラウド上で処理作業を行うRPAになります。
クラウド、つまりインターネット上でアクセスをして利用する形です。
処理データもクラウド上に保存され、基本的にはweb上での業務を自動化します。
デスクトップ型RPAとは?
デスクトップ型RPAは、使用しているパソコンにRPAツール(ソフト)をインストールし、そのパソコン上で処理を行います。
PC上で自動化になるので、ロボットが動いている間はそのPCでその他の作業をするのは難しいです。
ただ、PC1台から導入できるので、スモールスタートでき、対象のPCで行う比較的小さめの作業の自動化を得意としています。
クラウド型RPAとデスクトップ型RPA比較(機能面)
まずは、クラウド型RPAとデスクトップ型RPAについて、機能面で比較していきます。
クラウド型RPA
メリット:Web環境に強い
クラウド型RPAはクラウド上のロボットを利用する形式ですので、端末へのインストールは不要です。
クラウド上のロボットを動作させると、シナリオに従って処理したデータなどを返してくれます。
そのため、物理的な端末を一切占有せずに処理することができます。
また、デスクトップ型RPAにありがちな端末の環境に依存するという問題がないため、シナリオのコピーが容易にできます。
もちろん複数のOSから動作させることができます。
突発的な需要に対応しやすいことも、クラウド型RPAの大きなメリットでしょう。
大量のデータ処理が必要な場合のみ、同じシナリオを持ったロボットを100台用意する、といった柔軟な運用が可能です。
デメリット:デスクトップ環境に弱い
クラウド型RPAの大きなデメリットは、デスクトップ上でのみ動くアプリケーションは操作ができないという点です。
また、機密保持の社内規定上、クラウド上に持ち出せないデータについても、クラウド型RPAは処
理することができません。
加えて、近年ではクラウドの信頼性は非常に高くなっているとはいえ、クラウドサービスそのものがダウンしてしまう可能性もゼロではありません。
この点は、起こり得るリスクとしてしっかり認識したうえで導入する必要があります
デスクトップ型RPA
メリット:ローカル環境に強い
デスクトップ型RPAとは、一台一台のパソコンに対してRPAのアプリケーションをインストールし、ロボットを走らせるタイプのことを指します。
デスクトップ環境で動作するため、ルーチンワークとなっているデスクトップ上での作業は、基本的にどんなものでもロボット処理が可能です。
古くから使われている業務アプリケーションは、デスクトップ環境でしか操作できないということもしばしばあります。
そのようなアプリケーションが多く存在するような職場では、デスクトップ型RPAの強みを活かしやすいと言えるでしょう。
デメリット:端末の環境に依存する
一方で、デスクトップ型RPAはロボットがデスクトップ環境を直接操作するため、1端末につき1つの作業しかできません。
また、ロボットを操作するためのシナリオ(手順書)が端末に依存するため、シナリオをコピーすることが難しいというデメリットもあります。
さらには、RPAによっては特定のOSしかサポートしていない点も、複数OSを使い分けている企業では導入のハードルとなるでしょう。
クラウド型RPAとデスクトップ型RPA比較(管理面)
まずは、クラウド型RPAとデスクトップ型RPAについて、管理面で比較していきます。
クラウド型RPA
メリット:スケールがしやすくメンテナンス不要
デスクトップ型RPAに対して、クラウド型RPAはユーザー側で端末を用意したりセットアップしたりする手間がありませんので、1台のスモールスタートから100台以上での運用まで、一瞬で立ち上げられるという強みを持ちます。
専用の端末やサーバーを用意する必要が一切ありませんので、初期コストがかからないというのも大きな魅力です。
また、業務自動化のシナリオは端末に依存しないため、シナリオが属人化するという心配がありません。
ひとりのユーザーが作成した自動化シナリオをチーム内で共有できるため、業務効率化に大きく寄与します。
さらに、機能のアップデートはクラウド型RPAのベンダーが行いますので、ユーザー側での更新作業は要らず、常に最新の機能を利用することができます。
端末のメンテナンスも必要ありません。
デメリット:セキュリティの扱いがベンダー依存
クラウド型RPAの管理面において唯一注意が必要なのが、セキュリティ管理です。
クラウドサービスなので、セキュリティ対策はベンダーに依存してしまいます。
そのため、サービスのセキュリティレベルが自社の基準を満たしているかどうか、導入時に確認することが重要です。
デスクトップ型RPA
メリット:セキュリティ対策が容易
デスクトップ型RPAは社内環境で管理・運用していくため、セキュリティ対策という観点ではほかのアプリケーションと大きな違いはありません。
そのため、自社基準のセキュリティ対策を適用するのが比較的容易というメリットがあります。
デメリット:集中管理に難あり
一方で、デスクトップ型RPAには集中管理がしづらいというデメリットがあります。
作業自動化のためのシナリオが、端末ごとに個別最適化された状態で作られていくため、属人化を引き起こしやすいのです。
近年では管理用のサーバーを導入することでデスクトップ型RPAの集中管理ができるようになっているものもありますが、追加のコストがかかりますので、費用対効果を見ながら導入を検討する必要があります。
また、機能のアップデートが定期的に行われます。
その際、端末ごとにインストールされているデスクトップ型RPAでは、端末ごとにアップデート作業が必要となる点にも注意が必要です。
RPAの種類とメリット・デメリットを把握し、検討しましょう
クラウド型RPAとデスクトップ型RPAについて、機能面と管理面における特徴を見てきました。
まずは、双方のメリットとデメリットを把握しましょう。
その上で、自社にはどちらの種類が適しているかを判断し、導入検討に移るのが良いのではないでしょうか。
RPAの導入に当たりまして、ご参考になりましたら幸いです。
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