医療現場のRPA導入で得られるメリットとは?業界の課題から導入のポイントまでまるっと解説!

医療現場における人手不足は、少子高齢化による医療需要の拡大や労働環境の課題など、複数の要因が重なり合った複雑な問題です。このように負担が増え続けてしまっている医療業界ではありますが、RPAツールの導入を通じて業務改善を図ろうとしている医療機関も増えてきています。

この記事では、医療現場でRPAを導入することがどのような効果をもたらすのか、メリットや導入時のポイントも交えて紹介していきます。

医療業界が抱える課題と背景

医療従事者の不足や過重な業務負荷について、業界全体の課題となっています。この章では、なぜここまで深刻化してしまったのか、その背景を交えていくつか理由を解説していきます。

国全体で進んでいる労働人口の減少

日本では、世界的にみても類を見ないスピードで、少子高齢化と人口減少が進行しています。これらが進行していくことにより、当然ながら労働力人口も共に減少していきます。

引用:経済産業省 第6回 産業構造審議会 2050経済社会構造部会「人生100年時代に対応した「明るい社会保障改革」の方向性に関する基礎資料」

また、少子高齢化が進むにあたって日本の生産年齢人口は減少し、出生率も低く推移しています。これにより労働市場への新しい労働力の供給が不足しており、将来的にも労働力の減少は進行していくと懸念されています。

このように労働市場において需要と供給がアンバランスになっており、人手不足が常態化していることが見受けられます。

しかし、医療業界においては特にそれが顕著だといえるでしょう。一体どういった理由からそのような状態がもたらされているのでしょうか。

国際的に見ても医師・看護師が不足している

OECD(経済協力開発機構)加盟国の人口1,000人あたりの医師数データを見てみると、日本の医師数が国際的に見ても相対的に低いことがわかります。

引用:医療関連データの国際比較​​-OECD Health Statistics 2021およびOECDレポートより-

人口1,000人あたりの医師数が少ないということが、日本の医療業界の人手不足の一因だということが見て取れるかと思います。
このような状態のため、一人当たりの労働が過重となっているケースが見受けられます。

また、支援を受けやすい環境が整っている都市部へ多くの医師が集中してしまうという現象も起きており、これが地域ごとの医師配置の不均衡を招いていると考えられています。医師数の減少と共にこういった要因が地域の医療現場における医師不足を引き起こしているといえるでしょう。

厳しい労働環境

医療従事者の労働環境は、年々厳しさを増していると言われています。
医師は緊急事態や急患の対応など、昼夜問わずに対応する必要があるため、他職種に比べ労働時間が長くなってしまうケースが多いです。
先述した慢性的な人手不足により一人あたりの業務量が増大してしまう状況が続いていることも、厳しい労働環境の要因と言えるでしょう。

また、そういった状況の中でも患者のケアや緊急の状況に常に対応しなければならない精神的負担や、患者の健康や命に関わるという責任の重圧など、医療従事者の心身の健康へ与える影響は様々です。

こういった状況は医療の質や安全性に影響を与える可能性があるため、医療業界の労働環境の改善は国全体でも課題と認識されており、現在は業務の効率化や環境整備などが推進されています。2024年4月からは「医師の働き方改革」も適用される予定です。

医療現場におけるRPA導入によるメリット

このように、様々な要因から多くの課題を抱える医療業界ですが、近年では医療DXについて積極的に進行しようとする医療機関も増えています。

DX推進に高い効果を生み出すRPAですが、医療現場においてどのような効果をもたらすのか、そのメリットをご紹介します。

RPAとは

そもそもRPAとはどういったものなのか、簡単に紹介します。

RPA(Robotic Process Automation / ロボティックプロセスオートメーション)とは、コンピューター上のソフトウェアロボットを使って人間の手作業を自動化する技術を指します。日々のルーティンワークや単純作業を効率化し、仕事の生産性を向上させることができます。

RPAが得意とする業務は、①繰り返しのタスク、②ルールベースのタスクです。これらに当てはまるものであれば基本的にどんな業務でも自動化できると考えて良いと思われます。

例えば、特定のイベントが発生した時に自動的にタスクを割り当てることや、タスクの進捗状況を監視してリマインダーを送ることなど、ある程度複雑な条件下でもRPAは機能します。

では、医療現場においてはどのように効果を出せるでしょうか。

医療従事者の負担軽減

RPAは繰り返しのタスクや定型的な業務を自動化することができるので、請求処理やカルテの入力などの作業を迅速かつ正確に行うことができます。

これにより、専門知識などが必要な「医療従事者が行うべき仕事」に集中でき、時間を節約することや患者ケアの精度向上へと役立てることができます。

また、RPAは24時間365日稼働することができるので、人手不足の解消も期待できます。

ヒューマンエラーの防止

RPAの導入により、ヒューマンエラーを防止することができます。

データ入力などの単純作業では、人の手で行うことによりどうしても入力ミスが発生してしまう可能性があります。特に医療現場ともなれば、そういったミスが患者の命に関わるケースもあるといえるでしょう。

量が増えれば増えるほどミスが起きる確率やリスクも増えるため、RPAを活用しミスを防止することは大きなメリットといえます。

RPA導入で具体的に何ができるか

ここまでRPAで得られるメリットを解説してきましたが、実際の医療現場において、どのような業務へRPAを活用することができるのでしょうか。

今回はいくつかあるうちの一例をご紹介していきたいと思います。

患者情報の管理と更新

医療記録やカルテのデータ入力、更新などをRPAによって自動化させることができます。
患者の基本情報や診療履歴などの情報を自動で収集し、入力・更新までを行うことができます。

また、紙媒体での記録を電子データとして取り込むこともRPAを使って効率化することが可能です。AI OCRという、紙に印刷された文字を読み取り、テキストデータへ変換する技術とRPAを組み合わせることにより、書類のスキャンを人が行うだけでスキャンした情報を自動で登録することができます。

予約管理および受付プロセスの自動化

RPAは、患者からの予約情報を受け取り、医療施設へのスケジュールを自動的に更新し管理することも可能です。この自動化を行うことで、忙しい時間帯や確認できない状況でも予約状況がリアルタイムに更新され、急な変更やキャンセルへ迅速に対応することができます。

また、予約確認の通知メールを送信するなどの業務を自動化させることも可能です。こういったメールを自動送信することで、病院側のスタッフの業務負担改善だけではなく、予約患者の来院率が改善するなどの効果も期待できます。

レセプト請求処理の自動化

医療機関が保険会社へレセプト(診断報酬明細書)を送付する際には、一定のルールに従ったデータ入力が必要になっています。こういったルールベースのタスクはRPAでの自動化にとても向いている業務ですので、業務効率化、ヒューマンエラーの防止という点で効果が期待できるといえるでしょう。

医療現場へRPAを導入する際のポイント

このように、非常に多くの効果が期待できるRPAですが、RPAは「導入したら終わり」というツールではありません。その効果を得るためには、導入に際して様々なポイントを押さえておく必要があります。

ここでは、3つのポイントをピックアップしてご紹介いたします。

運用ルールや運用体制を整備する

RPAは基本的に、作成されたワークフローに沿って業務を行うツールです。そのため、期待する効果を得るためには適切なルールでのワークフロー作成が必要となっています。

誰がどのような意図でワークフローを作成したのか、誰が運用しているのかなどを不透明にしないためにも、運用ルールや運用体制の構築は必須だといえます。

また、トラブルが発生した際や新たに業務自動化を行いたい場合など、導入したRPAツールについて、ある程度全体像が把握できている人材は必要です。

そのためにも、ツール導入の段階で担当者を配置することは重要なポイントとなっています。

自動化したい業務について整理する

様々な業務がある中で、自動化したい医療業務はどの業務なのか、自動化することによって効果を得られる業務はどの業務なのか、事前に洗い出ししておくことが重要です。ルーチンワークや繰り返し作業が多い業務や、高頻度で実行が必要な業務、入力ミスが起こりやすい業務がRPAでの自動化に向いています。こういった業務の洗い出しをしておくことで、ゴールを見失うことなくRPAの導入を行うことができます。

また、合わせて業務プロセスを整理しておくことも大切です。事前に業務プロセスを明確化しておくことで業務の標準化にもつながりますし、ワークフロー設定の際にもどの部分を自動化するべきなのか、どういった形で設定を行うべきなのか、スムーズに設計することができるでしょう。

サポート体制が充実しているかを確認する

サポート体制を確認しておくことで、RPA導入後の不安は大きく減らすことができます。

有償なのか無償なのか、プランによって変動があるのか、トラブル発生時の返答のスピードなど、RPAツールを提供する企業によって提供体系は様々なので、なるべく詳細に確認しておくことが必要です。

サポート体制が充実しているRPAツールを選択することで、より安定した長期運用と自動化業務の拡大が期待できます。

RPAの導入手順をわかりやすく解説!抑えるべきポイントもあわせてご紹介

RPAは意味ないと言われる理由は?失敗事例と導入時のポイント

まとめ

専門的な知識が必要となる医療業界という場所においても、RPAを活用して自動化できる業務は多くあるということがご理解いただけたかと思います。

様々な課題を抱えている医療業界ですが、こういった課題の解消のためにも、RPAの導入が有効だといえるでしょう。

政府が掲げる「働き方改革」を実現するためにも、医療従事者の負担を軽減するためにも、RPAの導入について検討してみてはいかがでしょうか?

RPAを導入するなら「AUTORO」

弊社で提供しているRPAツール「AUTORO」は、パソコン上の単純作業を自動化するWeb Auto Robotです。

CRMやチャットツール、各種管理ツールなど様々なクラウドサービスとの連携実績があり、今後もどんどん増やしていく予定です。
また、導入時には自動化業務の確認から、構築・設定のサポート、必要に応じて操作説明会の実施などと幅広く対応でき、導入後には5分で対応するチャットサポートがついているので安心してご活用いただけます。

Web Auto Robotの「AUTORO」で業務自動化

AUTOROの製品紹介資料を無料でダウンロードいただけます。
製品の特徴や導入のメリット、ご活用事例などをご紹介しています。

この記事を書いた人

Yuri Yamamoto
Yuri Yamamoto

プロフィールは準備中です。