中小企業こそRPAが武器になる|導入メリットを事例で解説

中小企業の業務効率化と競争力強化に欠かせないRPA。本記事では、中小企業経営者や担当者向けに、RPAの導入メリットを事例とともに解説します。また、RPA導入のステップと成功のポイント、よくある懸念と解決策にも触れます。RPAを活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進や、AI連携による更なる可能性など、中小企業の未来を見据えたRPA活用についてもご紹介します。RPAを味方につけ、限られたリソースを最大限に活かす方法を探っていきましょう。

RPAとは

中小企業は、限られた人材とリソースの中で、大企業に負けない競争力を発揮しなければなりません。そんな中、業務の効率化と生産性向上の切り札として注目を集めているのが、RPA(Robotic Process Automation)です。

RPAは、ルールベースの定型業務をソフトウェアロボットが自動化する技術です。RPAで単純作業の自動化により、人的ミスを防ぎ、従業員の時間を創造的な業務に振り向けることができます。大企業に比べ、人手不足に悩む中小企業こそ、RPAのメリットを享受できるのです。

本記事では、中小企業がRPAを導入することで得られるメリットを詳しく解説し、実際の活用事例をご紹介します。また、導入のステップと成功のポイント、よくある懸念と解決策にも触れていきます。

中小企業におけるRPAの導入率とその背景

中小企業におけるRPAの導入は、ここ数年で着実に進んできました。しかし、大企業に比べると導入率は低い水準にとどまっています。

2022年9月時点で、中小企業のRPA導入率はわずか12%にすぎません。年々増加傾向にはあるものの、伸び悩んでいるのが実情です。一方、大企業の導入率は2019年時点で既に51%に達しています。

この導入の遅れには、いくつかの理由が指摘されています。第一に、導入コストの問題があげられます。初期費用の負担が大きすぎるため、なかなか稟議が通らない例が多いのです。また、カスタマイズや保守運用ができる人材が不足しているケースも少なくありません。

第二に、中小企業では業務量が少ないため、RPA導入による費用対効果が低くなりがちです。大企業であれば、RPAを横展開できる業務が多数あるため、コストに見合うメリットが得られますが、中小企業ではそうはいきません。

しかし近年、この課題を解決する動きも出てきています。パソコン1台から低コストで導入できるRPAツールや、ノーコードで構築可能なツール、クラウド型でベンダーに保守運用を任せられるツールなどが登場しています。さらに、中小企業向けの補助金制度を利用すれば、導入コストを大幅に抑えられる可能性もあります。

人材不足の問題は依然として残されていますが、コスト面での障壁は徐々に低くなりつつあります。実際、2019年時点で中小企業の44%がRPA導入を検討中でした。今後、さらなる導入の広がりが期待されているのです。

参考:RPA国内利用動向調査2020 ≪ プレスリリース | 株式会社MM総研 

中小企業こそRPA導入がおすすめな理由

中小企業こそRPA導入がおすすめな理由

中小企業は大企業に比べて経営資源が限られており、業務負荷が相対的に大きくなりがちです。そのため、RPAによる業務自動化のメリットは中小企業にとってより大きいと言えます。

人手不足の解消

中小企業では優秀な人材の確保が難しい場合が多く、慢性的な人手不足に悩まされることがあります。RPAを導入することで、単純作業を自動化でき、限られた人的リソースを本来の付加価値の高い業務に振り分けることができます。

人件費の削減

人員を増やすよりもRPAのコストの方が抑えられます。RPAは初期導入コストに加え、ライセンス料や保守費用がかかりますが、一度導入すれば、業務量が増えたとしても、追加コストをかけずに継続して自動化を実現できるケースが多いです。中小企業の経営を圧迫しがちな人件費を大幅に削減できるメリットは大きいでしょう。

ミスやリスクの低減

人手で行う単純作業では、ミスが発生するリスクがつきまといます。中小企業では社員一人一人の業務負荷が大きく、疲労からくるミスが起こりやすい環境にあります。RPAなら正確な自動化が可能なため、ヒューマンエラーを大幅に低減できます。

業務の標準化・ナレッジ継承

中小企業では社員の入れ替わりが激しく、業務ナレッジの継承が課題となりがちです。RPAのワークフローを作成する過程で、業務が可視化され標準化されます。作成したワークフローそのものが業務ナレッジとなり、社内の知見の継承が容易になります。

柔軟な対応が可能

中小企業は大企業に比べて経営環境の変化への対応が求められます。新しい業務が発生したり、業務フローや使用するツールに変更があった際にも迅速に対応し、自動化することができます。このように変化の激しい中小企業の環境に柔軟に適応できるのもメリットの一つといえます。

中小企業におけるRPAの活用事例3選

ここからは、弊社が提供するRPAツール「AUTORO」をご導入いただいている企業様を例に、RPAの活用事例をご紹介します。導入前の課題や自動化対象業務、導入後の効果、RPAツールの選定理由などに着目して読み進めてみてください。

事例① 従業員約35名規模の企業での業務自動化改革

株式会社GO TODAY SHAiRE SALON様は、国内最大級のフリーランス向け統合型シェアサロンプラットフォーム「GO TODAY SHAiRE SALON」を運営する企業です。同社では従来、反社チェック業務を全て手作業で行っていました。月に40~50件の新規取引先に対する反社チェックに加え、1年後の再実施分も合わせると、膨大な作業量となっていました。人手不足の中でこうした単純作業に時間を取られるのは非効率であり、人的ミスが発生するリスクも高まっていました。

そこで導入されたのが、RPAツール「AUTORO」です。AUTOROを活用することで、反社チェック業務をSalesforceと連携させて自動化することができました。具体的には、新規取引先の情報がSalesforceに入力されると、自動で検索を実行し、問題がなければチェック済みの証跡をSalesforceに保存するといった一連の作業を自動で行うようになりました。法人と個人の両方のパターンにも対応できるよう設計されています。

反社チェック自動化のフロー図

さらに、クラウド会計ソフトのfreee会計とSalesforceの同期作業も自動化しました。従来は手動で行っていたため、金融機関の同期タイミングに合わせて最新の入金情報をリアルタイムで確認することが難しい状況でした。しかしAUTOROなら定期的に自動で同期を実行してくれるため、入金情報をほぼリアルタイムで連携できるようになりました。

このように、反社チェックをはじめ、各種データ集計など細かい業務の自動化にAUTOROを活用しています。AUTOROを選んだ理由は、使いやすいUIで初期構築から継続運用がスムーズにできること、自社開発アプリなどとの連携が可能なiPaaSとしての機能があること、幅広いツールとの連携実績があることが挙げられます。

結果として、反社チェック業務だけでも月6時間以上の時間を削減できました。さらに、従来は属人化していた定期業務についても、確実な実行とリスク回避が可能になりました。RPAへの意識も社内に浸透し、さらなる業務自動化が加速しているそうです。

事例② 営業効率化で年間1000時間の業務工数削減を実現

jinjer株式会社様は、バックオフィス向けクラウドサービス「ジンジャーシリーズ」を提供する企業です。同社のセールス部門では、従来、比較サイトなどからの月数百件の問い合わせに対し、手動でのリード作成作業に多大な時間を費やしていました。人的ミスのリスクもあり、非常に非効率な状況でした。

そこで導入されたのが、RPAツール「AUTORO」です。AUTOROを活用することで、リード作成業務を自動化しました。具体的には、比較サイトからの問い合わせデータを自動取得し、Salesforceでのリード作成と担当者割り振りまで自動化しています。

リードインポート自動化のフロー図

さらに、問い合わせ後のサンクスメールの自動送信や、展示会で得た名刺情報をOCRで文字起こしし、スプレッドシートやsansanに自動転記する業務も自動化されました。

その結果、リード作成業務で月100時間以上の工数を削減することができました。人的ミスのリスクも大幅に低減され、セールス担当者が本来業務に専念できるようになりました。様々な単純作業を自動化したことで、セールス部門全体の生産性が大きく向上したのです。

AUTOROを選んだ理由は、ワークフロー作成が簡単でわかりやすく、ブラウザ自動化に適していたことが挙げられます。さらに、迅速で的確なサポート体制も評価されました。

jinjer株式会社様では、RPAの活用範囲を広げながら、セールス部門全体の効率化とヒューマンエラー削減を推進し続けています。

事例③ コストを削減しながらオペレーション業務増大に対応

ウォンテッドリー株式会社様は、ビジネスSNSの運営を行うスタートアップ企業です。同社では、オペレーション業務の増加に対応するため、コスト削減しながら業務量を増やす必要がありました。そこで導入されたのが、クラウドRPAツール「AUTORO」です。

AUTOROの導入により、オペレーション業務を自動化したことで業務量が3分の1に低下しました。人的ミスのリスクが取り除かれ、処理量の変動に左右されずに確実に業務が回るようになりました。人員を増やさずにコスト削減を実現しながら、業務の拡大に対応することができました。さらに、空いた時間を活用して、マニュアル作成やオペレーション改善に注力できるようになったのです。

AUTOROを選んだ理由は、クラウド型なので端末を選ばずに使用でき、スタートアップの変化に強いことが挙げられます。また、クラウド上で誰もが日々の業務自動化を行え、幅広い業務に横断的に活用できる点も評価されました。エラー発生時の遠隔監視・管理が可能なのも利点です。

その他の効果として、自動化を考える中でJavaScriptを書けるメンバーが増え、社内のITリテラシーが向上しました。他社ツールとの連携で、AUTOROで対応できない部分をカバーすることもできます。

クラウド型RPAの特性とAUTOROの幅広い対応力が、変化の激しいスタートアップ環境に適していると、ウォンテッドリー株式会社様では評価されております。

中小企業におけるRPA導入のステップと成功のポイント

中小企業におけるRPA導入の際のステップと、成功のポイントを見ていきましょう。

業務分析と自動化対象の選定

まずは、現状の業務フローを詳細に分析し、自動化による効果が高い業務を特定します。定型的で反復的な作業、大量のデータ処理を伴う業務を優先的に選定するのがおすすめです。業務の標準化と文書化も並行して進めましょう。

適切なRPAツールの選択

次に、自社の業務内容や規模に適したRPAツールを選択します。使いやすさ、拡張性、コスト、サポート体制などを総合的に評価し、長期的な視点で最適なツールを導入しましょう。社内のITリテラシーに合わせた選定も重要です。

段階的な導入と拡大

RPA導入は、小規模なパイロットプロジェクトから始めるのが賢明です。特定の部署や業務で成功体験を積み重ね、ノウハウを蓄積していきます。効果の測定と改善を繰り返しながら、徐々に適用範囲を拡大していくことで、全社的な展開につなげられるでしょう。

従業員教育とフォローアップ

RPAの導入には、従業員の理解と協力が不可欠です。RPAの基本的な仕組みと利点について、全従業員に教育を行いましょう。加えて、RPA運用の中心となる人材を育成し、継続的なスキルアップを支援することが、長期的な成功の鍵を握ります。

中小企業におけるRPA導入のよくある懸念と解決策

中小企業がRPAを導入する際によく耳にする懸念と、その解決策をご紹介します。

コストに対する懸念

「導入コストが高いのでは?」という不安を抱える中小企業は少なくありません。しかし、現在は中小企業向けの低コストRPAツールも多数登場しています。

例えばクラウドベースのサービスを利用すれば、初期投資を抑えつつ段階的に導入できます。また、業務効率化によるコスト削減効果を考慮すると、中長期的には十分な投資対効果が見込めるので、結果としてコストの削減効果を得られると考えられます。

ただし、ただ安価だからという理由だけでRPAツールを選定するのは危険です。導入してみたら機能が不足していて実現したいことができなかった、実現するために高額のオプションを追加する必要があった、などといった事態に陥るかもしれません。そのためRPAツールの選定は、コストと性能の両方を重視して行いましょう。

IT知識の不足

「自社にはIT知識が不足しているため、RPAを扱えない」と考える中小企業もあるでしょう。しかし、近年は「ノーコードRPA」と呼ばれる、プログラミング知識不要で直感的に操作できるツールが登場しています。これらを活用すれば、IT専門家でなくても、現場の業務担当者自身がRPAの構築・運用を行えます。

ただし、業務内容の変更に伴い、RPAシナリオの修正が必要になることがあります。その際、RPAシナリオの定期的な見直しと、更新を行う体制を整備しておくことが重要です。具体的には、RPAの専任者を配置する、ベンダーのサポートを活用するなどが考えられます。

加えて、内製化を進め、自社でRPAを管理運用できる人材を育成することで、柔軟な対応が可能になります。

従業員の抵抗

「RPAで自分の仕事が奪われるのでは」と従業員が抵抗感を示すケースもあります。そこで、RPAの導入目的が「人員削減」ではなく「業務の質の向上」であることを明確に伝えることが重要です。また、従業員参加型でRPA化する業務を選定したり、RPAによって創出された時間の新たな活用方法を一緒に考えるなど、従業員の理解と協力を得るための取り組みが効果的でしょう。

未来を見据えたRPA活用

RPAは、中小企業の業務効率化に留まらず、未来を見据えた経営戦略の一つとして考えられます。

デジタルトランスフォーメーション(DX)とRPAの関係性

RPAは、企業全体のデジタル化を推進するDXの重要な要素の一つです。RPAの導入を足がかりに、業務プロセス全体の見直しや、データ活用の高度化などにつなげていくことで、より大きな変革を実現できます。RPAで業務の自動化・効率化を進めながら、DXの全体像を描いていくことが求められるでしょう。

中小企業の競争力強化におけるRPAの役割

RPAは、中小企業が大企業に劣らない業務効率と品質を実現するための強力なツールです。人的リソースの制約を克服し、本来注力するべき業務(コア業務)に集中することで、中小企業ならではの機動力と専門性を最大限に発揮できるようになります。RPAを活用し、他社との差別化を図ることが、中小企業の競争力強化につながるといえます。

RPA×AI連携によるさらなる可能性

RPAの未来は、AI(人工知能)との連携にあります。RPAにAI技術を組み合わせることで、より高度な業務の自動化が可能になります。

例えば、画像認識技術と組み合わせて帳票のデータ入力を自動化したり、自然言語処理技術を活用して顧客問い合わせの自動仕分けを行うなど、RPAの活用範囲は今後さらに広がっていくでしょう。

また、RPAで収集したデータをAIで分析することで、業務プロセスの改善点を見出したり、顧客ニーズを予測したりすることも可能になります。RPAとAIの組み合わせは、中小企業の業務効率化と付加価値創出に大きく貢献すると考えられます。

まとめ:中小企業の成長戦略としてのRPA

本記事では、中小企業におけるRPAの導入メリット、活用事例、導入ステップ、懸念事項への対応、そして未来の可能性について詳しく解説してきました。

RPAは、単なる業務の自動化ツールではありません。中小企業が限られたリソースの中で、生産性を飛躍的に向上させ、競争力を高めるための戦略的な選択肢なのです。

RPAを導入することで、中小企業は大企業に負けない業務効率と品質を実現できます。浮いた時間とリソースを、より付加価値の高い業務や新たな事業創出に振り向けることで、中小企業ならではの強みを最大限に発揮できるでしょう。

RPAは、もはや大企業だけのものではありません。むしろ、リソースに制約のある中小企業こそ、RPAを戦略的に活用することで大きな変革を実現できるのです。本記事を参考に、ぜひ自社のRPA導入を検討してみてください。

中小企業のためのRPA導入に向けたアクションプラン

  1. 自社の業務を棚卸しし、RPA化に適した業務を洗い出す
  2. 小規模なパイロットプロジェクトを計画し、実行する
  3. 効果を測定し、社内で成功事例を共有する
  4. 段階的に適用範囲を拡大し、全社的な業務改革につなげる

Web Auto Robotの「AUTORO」で業務自動化

AUTOROの製品紹介資料を無料でダウンロードいただけます。
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この記事を書いた人

Ayuka Fujii
Ayuka Fujii

2023年3月〜オートロに従事し、現在は主にAI系の記事制作と公式X(@autoro_io)の運用を担当。初心者目線で親しみやすい記事作りを心がけています。趣味は日本全国のグルメマップを作ることで、行ってみたいお店の数が全国3000を突破しました。新潟生まれ新潟育ち。