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MAツールとは?マーケティングオートメーションの基本と失敗しない選び方

マーケティングオートメーション(MA)ツールの基本から、導入失敗を避けるための重要なポイント、効果的な選定方法までを網羅的に解説していきます。この記事を読んで、MAツールを活用して、マーケティング効率を最大化する方法を一緒に考えてみましょう。

MAツールとは?

マーケティングについて会議している様子

MAツールは”Marketing Automation Tool”(マーケティングオートメーションツール)の略称で、マーケティング活動を自動化するためのツールです。

単に企業のホームページ訪問者をフォローする機能だけでなく、Web上の顧客行動を分析し、最適なタイミングで自動でアプローチするなど、きめ細かい顧客育成を可能にします。

近年では、AIを活用したパーソナライズ機能が進化しており、個々の顧客に合わせたより細かな施策を展開できるようになっています。

MAツールの必要性と普及の背景

デジタルマーケティングの複雑化と競争の激化

21世紀の幕開けとともに、インターネットは人々の生活に不可欠な存在となり、その結果デジタルマーケティングは企業戦略の中心に躍り出ました。

企業は、WebサイトのSEO対策から、Facebook、Twitter、Instagramといったソーシャルメディア、さらにはメールマーケティングやインフルエンサーマーケティングに至るまで、あらゆるチャネルを駆使して顧客との接点を増やしています。

このような環境下では、ただ単に情報を発信するだけではなく、どのようにしてその情報を顧客に届け、関与させるかが重要となり、マーケティングの複雑化と競争の激化が進んでいます。

顧客体験の重要性の増大

現在、顧客はただ商品やサービスを提供するだけではなく、自分自身の好みや興味に合わせた、カスタマイズされた体験を期待していると考えられます。このような背景から、MAツールは重要な役割を担っています。

例えば、顧客が過去にどのような商品を閲覧したか、どのメールに反応したかといったデータを分析し、その顧客に最適なメッセージやオファーを自動的に送信します。これにより、顧客一人ひとりに合わせたパーソナライズされた体験を提供し、顧客満足度の向上と長期的な関係構築を実現できるようになります。

MAツールの導入メリット

MAツールの導入によって得られるメリットとして以下が挙げられます。

営業・マーケティング業務の工数削減

MAツールを導入することで、例えば顧客の行動データに基づいた自動化されたメールキャンペーンを実施できます。

これにより、従来は人の手で行っていた顧客セグメンテーションやメール配信スケジュールの設定などが自動化され、大幅な時間削減が可能になります。

また、顧客の行動に応じて自動で最適なコンテンツを提供することで、リードの質を向上させ、営業チームがより効果的に商談を進められることが期待できます。

人的ミスの減少

MAツールの導入により、メールキャンペーンの配信ミスや、顧客情報の入力ミスなど、手作業によるミスを大幅に減らすことができます。

自動化されたプロセスは一貫性があるため、ミスの可能性を低減するのみならず、ブランドイメージの保持や顧客満足度の向上にも寄与すると考えられます。

高度な分析が容易にできる

MAツールを利用することで、顧客の行動パターンやキャンペーンの効果など、膨大なデータをリアルタイムで分析し、可視化することが可能になります。

例えば、A/Bテストを自動で実行し、より高いコンバージョンを生み出すメールテンプレートを特定することなども容易になります。

質の高い商談の実現

MAツールを活用することで、見込み客との良好な関係構築が可能になります。

顧客の興味やニーズに合わせてパーソナライズされたコンテンツを提供することで、顧客の関心を引きつけ、営業チームがより質の高い商談を進めることができます。

また、営業とマーケティング部門が同じデータを共有し、見込み客を一元的に管理することで、受注率や案件化率の向上が期待できます。

見込み顧客管理の効率化

MAツールでは、顧客が取った様々なアクションを数値データとして抽出し、精度の高い分析を行うことができます。見込み顧客の購買意欲や関心の高さを正確に把握し、より効率的な顧客管理を実施できます。

例えば顧客のWebサイト訪問履歴やダウンロード履歴を分析し、顧客のニーズに合わせたフォローアップを自動で行うことができます。

MAツールの主な機能

MAツールの主な機能は以下の通りです。

リード管理機能

リード情報を画面に映し出している様子のイラスト

リード管理機能によって、見込み顧客のデータを収集し、分析するだけでなく、それらの情報を使ってターゲットに合わせたアクションを実行することができます。たとえば顧客の関心や購買履歴に基づいて個別のメッセージを送信することで、効果的なフォローアップを実現します。

スコアリング機能

スコアリング機能のイメージイラスト

スコアリング機能は、見込み顧客の行動や属性に基づいて、彼らの興味や優先度を数値化する機能です。この数値化されたスコアは、営業やマーケティングチームがリードを適切に優先順位付けし、より効果的なアプローチを行うのに役立ちます。

シナリオ作成機能

マーケティングのシナリオ作成のイメージイラスト

シナリオ作成機能は、見込み顧客の行動に応じて自動的に特定のアクションをトリガーする機能です。

たとえば、顧客が特定のリンクをクリックした場合には、自動的に関連する情報を提供するメールを送信するなど、迅速でパーソナライズされた対応を可能にします。

メール文の作成・配信機能

メールマーケティングのイメージイラスト

メール文の作成・配信機能は、ターゲットに合わせたメールコンテンツを作成し、自動で配信する機能です。顧客により適切なメッセージを送信し、パーソナライズされたコミュニケーションを実現できます。

ランディングページやフォームの作成機能

LPやHP、フォームを作成している様子のイラスト

ランディングページやフォームの作成機能は、見込み顧客が情報を提供するためのページやフォームを簡単に作成する機能です。これにより、効果的なリード獲得戦略を実行し、顧客の関心を引きつけることができます。

レポーティング機能

マーケティングのレポート機能のイメージイラスト

レポーティング機能は、マーケティング活動の成果を定量的に分析し、ビジネスの意思決定をサポートする機能です。この機能を使えば、キャンペーンの効果やROI(投資収益率)などの重要な指標を把握し、戦略の改善に活用できます。

BtoBにおけるMAツールの活用

リードジェネレーションとナーチャリング​​

BtoBマーケティングでは、高品質なリードの獲得と育成が重要です。MAツールは、Webサイト訪問者の行動を追跡し、潜在顧客として識別します。

その後、業界や企業規模などに基づいたパーソナライズされたコンテンツを提供し、リードを育成します。

リードジェネレーションとナーチャリングとは?

リードジェネレーションは「見込み客を集めること」、ナーチャリングは「集めた見込み客と良好な関係を築き、彼らを顧客に変えること」です。
リードジェネレーション​は、見込み客を集めるプロセスのことで、潜在的な顧客の興味やニーズを引き出し、彼らの連絡先情報を収集することを目的としています。例えば、Webサイトで無料のパンフレットを提供し、ダウンロードするためにはメールアドレスの登録が必要とすることで、見込み客の情報を集めることができます。

ナーチャリング​は、リードジェネレーションで集めた見込み客に対して、彼らの興味やニーズに合わせた情報を提供し続けるプロセスです。これにより見込み客との関係を深め、最終的には商品やサービスの購入に繋げることを目指します。メールマーケティングを通じて、彼らの関心事に関連する情報を定期的に送ることなどがナーチャリングの一例です。

長期的なセールスサイクルの管理​​

BtoB取引では、決定までのプロセスが長期にわたることが一般的です。

MAツールは、この長期的なセールスサイクルを通じて、リードとの関係を維持し、適切なタイミングで情報提供を行います。

アカウントベースのマーケティング(ABM)​

特定の企業や組織をターゲットにしたマーケティング活動を自動化します。

MAツールは、ターゲットアカウントに合わせたカスタマイズされたマーケティングキャンペーンを実行し、効率的なアプローチを可能にします。

ABMとは?

ABM(アカウントベースドマーケティング)は、企業が特定の顧客や潜在顧客に焦点を当て、個別化されたマーケティング戦略を実施する手法です。

一般的なマーケティングが広範な市場を対象に一律の戦略を展開するのとは異なり、ABMでは選定された企業や組織に特化したマーケティング活動を行います。

ABMの目標は、企業が顧客との関係を深め、そのニーズに合わせた最適なサービスを提供することで、長期的な連携や利益の増大を図ることにあります。特に、BtoB(企業間取引)の領域では、特定の顧客への直接的なアプローチが効果を発揮しやすく、ABMの採用が進んでいます。

BtoCにおけるMAツールの活用

顧客体験のパーソナライズ​​

BtoCマーケティングでは、顧客一人ひとりに合わせたパーソナライズされた体験の提供が特に重要になります。MAツールを利用することで、顧客の購買履歴や行動データを分析し、個々の顧客に最適なメッセージやオファーを自動的に提供します。

​​顧客ライフサイクルの管理​​

顧客のライフサイクルに沿ったマーケティング活動を自動化します。

MAツールは、新規顧客の獲得からリピーターの育成、ロイヤルカスタマー(※)への昇格まで、各ステージに合わせたコミュニケーションを提供します。

※ロイヤルカスタマー:企業にとって長期的な価値を持ち、ブランドの忠実な支持者である顧客のこと。単に多くの商品を購入するだけでなく、ブランドの強力な支持者としても機能する。

ソーシャルメディアとの連携​​

BtoCマーケティングでは、ソーシャルメディア(SNS)を活用したプロモーションが効果的です。MAツールは、ソーシャルメディア上でのキャンペーンの自動化や、顧客とのコミュニケーションを効率化します。

MAツール導入の失敗事例

MAツールの導入は、企業のマーケティング効率を飛躍的に向上させる可能性を持っていますが、一方で、失敗に終わるケースも少なくありません。以下は、MAツール導入時によく見られる失敗パターンです。

目的・目標が明確でない​

MAツール導入の目的や目標が不明確であることが失敗の一因となることがあります。目的が明確でないと、どのような機能を活用すべきか、どのように運用していくべきかが決まらず、結果的にツールを有効活用できない場合があります。

​リードが少ない​

MAツールを導入しても、十分なリードがないとその効果を発揮できません。リードが少ない状態でツールを導入すると、期待した成果が得られずに失敗に終わることがあります。

機能がうまく使えない​

導入したMAツールの機能を十分に理解していない、または適切に活用できていないことが、失敗の原因となることがあります。ツールの機能を最大限に活用するためには、事前のトレーニングや継続的な学習が必要です。

コンテンツの量が足りず、運用ができない​

MAツールを導入しても、運用に必要なコンテンツが不足していると、効果的なマーケティング活動を行うことができません。コンテンツの量と質を確保することが、成功に向けた重要なポイントとなります。

MAツール導入で失敗しないための対策

MAツールの導入は表面的な準備だけでは成功しません。MAツール導入で失敗しないための対策は以下の通りです。

解決したい問題と課題を整理する​

MAツール導入の目的を明確にし、どのような問題を解決したいのか、どのような課題があるのかを整理します。

例えば、リードの獲得数を増やしたい、顧客とのコミュニケーションを自動化したいなど、具体的な目標を設定しましょう。

導入前に自社のWebサイトを整備する​

MAツールを導入する前に、自社のWebサイトが適切に機能しているかを確認し、必要な場合は整備を行います。具体的にはLP(ランディングページ)の最適化や、フォームの設置などが挙げられます。

十分な人的リソースを確保する​

MAツールの運用には専門知識が必要な場合が多いため、適切な人的リソースを確保することが重要です。社内に専門スキルを持つ人材がいない場合は、外部の専門家の協力が必要になるかもしれません。

設計をしっかり行う​

ツールを導入する前に、どのように活用するかの設計を入念に行います。目的に合わせた運用計画を立て、どのようなキャンペーンを行うか、どのようなコンテンツを配信するかなどを計画しましょう。

​コンテンツを拡充する

メールマーケティングなどによってリードをWebサイトに誘導するためには、魅力的なコンテンツを用意することがポイントです。ブログ記事や動画など、様々な形式のコンテンツを用意して充実させましょう。

MAツールの選び方のポイント

MAツールを選ぶ際に必ず確認しておきたい点は以下の通りです。

ツールの適合性を確認する​

まず自社がBtoB市場をターゲットにしているのか、BtoC市場をターゲットにしているのかを明確にしましょう。それぞれの市場に最適化されたMAツールを選択することで、マーケティング活動の効率化と効果の最大化を図ることができます。

解決したい課題を明確化

自社が直面しているマーケティングの課題を明確にし、それを解決できる機能を持つMAツールを選ぶことが重要です。リード獲得、顧客育成、コミュニケーションの自動化など、具体的な課題に対してどのツールが最適かを検討しましょう。

業界内の導入実績を参考にする​

同業他社がどのMAツールを導入しているか、その結果どのような成果を上げているかを調査します。成功事例や失敗事例を知ることで、自社にとって最適なツール選びに役立ちます。

機能と運用のバランスを考慮する​

必要以上に高度な機能を持つツールを選んでも、運用が難しい場合はその価値を十分に引き出せません。自社で扱える機能かどうかを検討し、運用のしやすさも重視しましょう。

サポート体制の充実度を確認する​

ツールの導入や運用にあたって、サポート体制が整っているかどうかも重要なポイントです。特にMAツールの導入が初めての場合、充実したサポート体制はスムーズな導入と効果的な運用に直結します。

統合性と拡張性を確認する​

他のシステムやツールとの統合がスムーズに行えるか、将来的にビジネスが拡大した際にツールが対応できる拡張性を持っているかも重要なポイントです。

ユーザーインターフェースの使いやすさを確認する​

使いやすさはツールの活用度に直結するため、ユーザーインターフェースが直感的で使いやすいかどうかも選定の際に考慮すべきポイントです。無料トライアルやデモを事前に利用できるツールを選ぶことも一つの手かもしれません。

MAとSFA、CRMの違いとは?

MAの他にも、SFA、CRMなど似たような用語を目にすることがあるかと思います。ここからはこれらの違いについて解説していきます。

MA(Marketing Automation)、SFA(Sales Force Automation)、CRM(Customer Relationship Management)は、それぞれビジネスにおける異なる分野で使用される重要なツールやプロセスのことを指しますが、どのような効果を持つのか見ていきましょう。

MA(Marketing Automation:マーケティング自動化)

MAは、マーケティング活動を自動化し、顧客や見込み客との関係を強化するためのソフトウェアやプロセスを指します。

主な目的は、マーケティングプロセスの自動化と効率化、リードの生成と管理、ターゲットとなる顧客層への効果的なコミュニケーションの実現です。

MAの機能には、メールマーケティング、SNSマーケティング、Webサイトのトラッキングと分析、リードスコアリング、自動化されたタスクの設定などが含まれます。

SFA(Sales Force Automation:営業支援システム)

SFAは、営業プロセスを効率化し、営業チームの生産性を向上させるためのツールやプロセスです。

主な目的は、営業プロセスの追跡と管理、顧客情報の集約と活用、売上の予測と分析、営業活動の最適化です。

SFAの機能には、顧客情報の管理、営業活動の追跡、見積書や注文の作成、タスクやイベントのスケジューリング、売上予測などがあります。

CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)

CRMは、顧客との関係を強化し、顧客満足度を向上させるための戦略やプロセス、ツールを指します。

主な目的は、顧客との関係構築と維持、顧客情報の中央集約と活用、顧客に合わせたサービスや製品の提供、顧客ロイヤルティの向上です。

CRMでは、顧客情報の管理、顧客の購買履歴の追跡、営業チームとの連携、カスタマーサポートの管理、顧客へのターゲット化されたコミュニケーションの実行などが可能です。

MAツールを活用しよう

MAツールは、企業のマーケティング活動を大きく変える、今やどの企業でも欠かせない強力なツールです。

顧客行動の分析と自動アプローチにより、効率的なキャンペーンの実行や顧客の育成が可能になります。しかし、導入に際しては、データ連携やオペレーション体制の整備、運用ノウハウの蓄積など、様々な準備が必要不可欠です。

 MAツールの導入効果を最大限に引き出すためには、自社の実情に合ったツールを見極め、組織全体で取り組む姿勢が重要だと言えるでしょう。

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この記事を書いた人

Ayuka
Ayuka

2023年3月〜オートロに従事し、現在は主にAI系の記事制作と公式X(@autoro_io)の運用を担当。初心者目線で親しみやすい記事作りを心がけています。趣味は日本全国のグルメマップを作ることで、行ってみたいお店の数が全国3000を突破しました。新潟生まれ新潟育ち。