RPAでできることを基礎から解説します。具体的に何ができるのか?どこまで業務を自動化できるのか?、業界、職種・部門別にみていきましょう!
ただし、RPAでできる業務はアイデア次第で無数に考えられます。そのため全てを網羅しているわけではなく、今回ご紹介するものは一例であるということをご承知のうえ、ぜひ最後までご覧ください。
そもそもRPAとは…?と少し自信のない方は、こっそり下記記事を覗いてみてくださいね。
RPAでできること
RPA(Robotic Process Automation/ロボティック プロセス オートメーション)とは、コンピューター上のソフトウェアロボットを使用して人間の手作業を自動化する技術のこと。RPAによって、日々のルーティンワークや単純作業を効率化し、生産性を向上させることができます。
RPAが得意とする業務は、①繰り返しのタスク、②ルールベースのタスクです。これらに当てはまるものであれば基本的にどんな業務でも自動化できると考えて良いと思われます。
例えば、特定のイベントが発生した場合にタスクを割り当てる、タスクの進捗状況を監視してリマインダーを送信する、などある程度複雑な条件下でも機能します。
実際の導入事例は下記記事をご参照ください。
まずは、RPAでできる基本的なことを見ていきましょう。
- ルールベースの意思決定
事前に定義されたルールと論理を使用して意思決定を行い、一貫性とエラーのない結果を出します。
- データ入力と取得
大量のデータを、さまざまなシステムに入力し、抽出することができます。例えば請求書のデータをExcelからERPシステムへ入力するなどが可能です。
- ワークフローの自動化
順次実行されるタスクを自動化することで、複雑なワークフローを効率的にし、作業時間を短縮します。
- レポートの作成
異なるソースからデータを収集し、指定されたフォーマットに基づいてレポートを自動的に作成・配信できます。
- Webスクレイピング
Webページからデータを抽出し、他のシステムで使用するためのスクレイピングができます。これにより情報収集やデータ更新を自動化できます。
- データの検証・連携
システム全体で情報を対比し、データの正確性を確認します。具体的には、データの重複をチェックしたり、欠落しているデータを特定したりすることができます。また、データの連携にも優れており、例えばオンプレミスのシステムとクラウドベースのアプリケーションとのデータ同期なども可能です。
- タスクのスケジューリング
特定の時間にタスクを実行するようプログラムでき、人間の介入なしに定期的なタスクを実行できます。
- レガシーシステムの統合
古いシステムからデータを抽出し、新しいシステムに入力します。システムの間のギャップを埋め、シームレスなデータ移行・交換が可能になります。
【職種別】RPAの活用例
ここからは、RPAが活用できる業務を職種別でご紹介します。先ほどよりも具体的に、どんな業務をどのように自動化できるのかに注目してみてください。
- 人事部門
- 営業・マーケティング部門
- カスタマーサービス部門
- 管理部門
- サプライチェーン管理部門
それでは順番に見ていきましょう!
人事部門
採用プロセスの自動化
- 履歴書のテキストを解析し、必要な情報を取り出してデータベースに格納する
- 面接日程を候補者と調整し、面接を予約、カレンダーシステムに自動的に予定を追加する
給与計算の自動化
- 異なるデータソースから給与情報を抽出し、集約する
- 計算された給与データをもとに、給与明細書を作成する
勤怠管理の自動化
- 従業員の出勤・退勤・休暇など、勤怠情報を電子フォームから収集し、データベースに自動的に入力?ですかね?する
- 規則に基づいて勤怠を計算し、関連するプロセスを実行する
営業・マーケティング部門
顧客データの整理と分析、報告
- 異なるデータソースから顧客情報を抽出し、一元化する
- 指定された規則に基づいてデータを分析し、報告書を作成する
- 特定の時点でのデータを収集し、規定の形式で報告書を自動生成・送信する
営業プロセスの最適化
- メルマガ配信、メールキャンペーンの実行、自動返信、SNSの投稿スケジューリングなどを自動的に処理する
- 広告予算やキャンペーンの進捗を監視し、必要に応じて調整する
調査プロセスの自動化
- 特定のウェブサイトのデータを抽出し、競合他社の情報や市場動向などを定期的に収集する
- 特定のキーワードやハッシュタグに基づいて、複数のSNS上での発言やレビューを収集する
- 複数のデータソースから情報を集約し、市場調査レポートのためのデータベースを構築する
- 価格調査や新製品情報の追跡など、特定の情報を自動的にトラッキングし、競合他社の動向を調査する
情報更新と通知
- 特定の情報や指標の変化を監視し、定期的な更新を行う
- 重要な変更があった場合や特定の情報を発見した場合、自動的に通知を送る
カスタマーサービス部門
顧客対応の自動化
- 定型的な質問に対する回答を自動生成し、FAQを自動化する
- RPA
はのお問い合わせフォームを介して顧客への対応、オンラインでの注文確認、返品処理などを自動化する
メールとクレームの処理
- 受信したメールを適切なカテゴリに分類し、担当部署に転送する
- クレームを自動的に処理し、解決に向けた手順を実行する
管理部門
データ入力の自動化
- 電子フォームから情報を取得し、関連するデータベースやシステムに自動的に入力する
- データの妥当性を検証し、エラーがあれば適切な手順を踏む
書類管理の効率化
- 文書を特定の基準に基づいて整理し、検索可能な状態で管理する
- 請求書処理、報告書の作成、法律文書、契約書などの定型的な文書の作成や更新を自動的に行う
タスク管理
- プロジェクトの進捗や優先順位に基づいて、タスクを自動的に割り当てる
- タスクのスケジュールを自動的に最適化し、作業の遅れやリソースの過剰使用を防ぐ
プロジェクトのスケジュール管理
- プロジェクトの進捗に応じてスケジュールを自動的に更新し、遅延や変更に対応する
- 依存関係を自動的に認識し、変更があった場合に関連するタスクやプロジェクトスケジュールに影響を通知する
サプライチェーン管理部門
在庫管理の自動化
- 在庫を監視し、必要に応じて自動的に注文プロセスの開始や支払いをする
- 異なるシステムから在庫データを抽出し、在庫データの一貫性を保つ
注文処理の自動化
- 注文情報を受信し、注文受付システムに自動的に入力する
- 注文に基づいて請求書を生成し、関連する部門に自動で送信する
【業界別】RPAの活用例
今回は以下の16種類の業界ごとのRPA活用例を、箇条書きでサクッとご紹介します。
- 製造業(メーカー)
- 医療業界
- 金融業界
- 小売業
- 教育業界
- 保険業界
- 不動産業
- エネルギー業界
- 航空・旅行業
- スポーツ・エンタメ業界
- ホスピタリティ業
- 自動車業界
- テクノロジー・ソフトウェア開発業界
- 農業業界
- 通信業界
- 自治体
それでは見ていきましょう。
1. 製造業
- 生産計画の自動化と最適化
- サプライチェーン管理の自動化
- 品質管理の効率化
- 在庫管理と入出庫の自動化
2. 医療業界
- 患者情報の管理と更新
- レセプト請求処理の自動化
- 予約管理および受付プロセスの自動化
- 医療データの入力と分析の自動化
3. 金融業界
- 顧客データの管理と更新
- 請求書処理と支払いの自動化
- 取引監視と不正取引の検出
- 顧客オンボーディングプロセスの自動化
4. 小売業
- 在庫管理と補充の自動化
- 注文処理と発注の自動化
- 価格設定の監視と調整
- 顧客サービスの自動応答と問い合わせ対応
5. 教育業界
- 学生の成績管理とレポートの自動生成
- オンボーディングプロセスの自動化
- 講義スケジュールの最適化
- 教材の配布と管理の自動化
6. 保険業界
- 保険契約書の作成と管理
- 賠償請求の自動化
- 保険料の計算と請求の自動化
- 保険証券の更新と通知の自動化
7. 不動産業
- 賃貸契約書の作成と管理
- 不動産取引のデータ入力の自動化
- 顧客の物件検索と案内の自動化
- 資産の価値評価の自動化
8. エネルギー業界
- エネルギー使用のモニタリングと最適化
- 請求書処理の自動化
- エネルギー供給チェーンの自動化
- 維持管理と予防保全のプロセスの自動化
9. 航空・旅行業
- 予約管理と受付プロセスの自動化
- チケットの発券と予約変更の自動化
- 顧客サポートおよびフィードバック処理の自動化
- 航空機メンテナンススケジュールの最適化
10. スポーツ・エンタメ業界
- チケット販売とイベント管理の自動化
- 選手契約と給与処理の自動化
- スポーツデータ分析とレポートの自動化
- デジタル広告キャンペーンの自動化
11. ホスピタリティ業界
- 予約管理とフロントデスク業務の自動化
- 顧客満足度調査とフィードバック処理の自動化
- 料理レシピ・マニュアルの管理と注文処理の自動化
- 従業員シフト管理の自動化
12. 自動車産業
- 製造プロセスの監視とデータ収集の自動化
- 車両テストと検査の自動化
- サプライチェーンと部品調達の自動化
- 顧客サービスと車体保全・管理の自動化
13. テクノロジー・ソフトウェア開発業界
- ソフトウェアテストスクリプトの作成・実行の自動化
- バグトラッキングと問題解決の自動化
- バージョン管理とコードリリースの自動化
- ドキュメンテーションと報告の自動化
14. 農業業界
- 農産物の生産計画とスケジュールの最適化
- 収穫および生産ラインの監視の自動化
- 在庫管理と流通の自動化
- 天候データと農業センサーデータの分析の自動化
15. 通信業界
- 顧客情報管理とサービスプランの自動化
- 請求書処理と料金徴収の自動化
- カスタマーサポートとフィードバック処理の自動化
- ネットワーク監視とトラフィック管理の自動化
16. 自治体
- 住民登録や住民票の情報収集・更新の自動化
- 公共施設の予約管理と利用料金請求プロセスの自動化
- 税金の課税・徴収と納付通知や申告書の作成の自動化
- 福祉施設での入居者情報管理とスケジュールの調整の効率化
RPAでできないこととは?
RPAは、業務の自動化に非常に効果的で、職種や業界に関わらず、さまざまな業務で活用されています。しかし、RPAで自動化できる業務には限界があり、当然できないこともあります。
特に、以下のような業務はRPA化が難しいと言われています。
- 判断を伴う業務
- 創造性や発想力を必要とする業務
- 柔軟な対応が求められる業務
それぞれ具体例とともに確認していきましょう。
判断を伴う業務
判断を伴う業務はRPAにとって大きな課題といえます。人間の柔軟な判断や、状況への適応力は、機械学習やプログラムには難解な部分なので、このような複雑な業務は自動化が難しいといえるでしょう。
例えば、信用審査や法的判断が挙げられます。
信用審査では、複数の要因やデータを総合的に判断して、顧客に対する融資の可否を決定する必要があります。これにはある程度の経験や専門的な判断力が必要であり、単純な手順には置き換えるのが難しい業務です。
法的な問題や契約書の解釈に関する判断は、法律の知識だけでなく、事例や文脈を考慮した深い判断が必要です。また個々のケースによって異なるため、RPAによる自動化は難しいといえます。
ただし、これらはAIとの組み合わせで解決できる可能性もあります。気になる方は下記記事をご参照ください。
創造性や発想力を必要とする業務
創造性や発想力を必要とする業務もRPAの苦手分野です。例えば、商品の企画・開発や新規事業の立ち上げなど、独自のアイディアや創造性が必要な業務においては、RPAによる代替は難しいと考えられます。
こちらもAIとのコラボレーションによって対応可能になるかもしれません。
柔軟な対応が求められる業務
柔軟な対応が求められる業務もRPAが苦手な分野です。顧客からのクレーム対応など、状況に応じて臨機応変に対処する必要がある業務は、あらかじめプログラムによって定義するのが難しく、自動化が難しいとされています。
RPA導入のメリット・デメリット
RPA導入のメリット、デメリットは以下の通りです。
RPA導入のメリット | RPA導入のデメリット |
・手作業を削減・業務の効率化 ・生産性の向上 ・人件費の削減 ・業務の正確性向上 ・ミスの防止、エラーのリスクを低減 | ・導入コスト、社員の雇用や教育コストなど ・ブラックボックス化の恐れ ・RPA周辺業務の属人化のリスク ・システム障害、ネットワーク障害などのエラー、業務停止の危険性 |
また、RPAの導入は、業務の流れやシステムの操作方法などを正確に理解した上で、シナリオを作成し、その上で十分な効果が得られるものです。そのため、業務の理解やシナリオ作成を行わずに導入する場合は、RPA化のメリットが思うように得られない可能性がある、ということも把握しておきましょう。
まとめ:RPAでできることはアイデア次第!
RPAの活用可能性は非常に大きく、アイデア次第で様々な業務を効率化できます。特に、繰り返しのタスクやルールベースのタスクを自動化するのに非常に適しており、データの入力や取得、レポート作成、スクレイピングなど、多岐にわたる業務を効率化できます。
ただし、判断を要する業務や創造性が必要な業務、柔軟な対応が求められる業務などには限界があります。業務内容をよく把握し、適切な業務を選択すること、さらに、メリット・デメリットの両面を見極めながら、RPA導入を検討していきましょう。
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