企業の中で法律に関連した業務を行う法務職。
法務部で仕事をしたい!法務部に異動になってしまった!
法務担当者といえば、法学部出身でないといけないのかな?
自分は法学部出身でもないし今まで法律なんて一度も触れたことないよ!
法学部は卒業したけど司法試験を目指していたわけじゃないから専門資格はもっていない・・・
などいろんな境遇の方がいるかと思います。
また、現在、法務担当者で転職を考えているけど、転職先でも法務担当をしたい!資格を取ってキャリアアップをしたいという方もいるかもしれません。
法務担当者が持っていると有利な資格、その資格を持っているとどんな業務に役立つのかをご紹介していきます。
法務に資格は必須?
法務で働く上で、弁護士や司法書士の資格は必要なのでしょうか。
結論から言うと、必須ではありません。
もちろん、弁護士、司法書士などの国家資格を持っているに越したことはありませんが、必ずしも求められるわけではありません。
ただ、法学部を卒業している、法科大学院を修了していることなどの経歴が大きなプラス要素になり、採用されやすい傾向にあります。
また、後ほど紹介しますが、持っていると役立つ、評価される資格もあります。
法務担当者に求められるスキル
資格を紹介する前に法務には必要なスキルについて紹介します。
契約交渉や取引における柔軟な対応力
各取引企業によって契約・取引内容は異なります。
異なる契約内容をしっかりと把握し、その内容は正当なのか、また正当でないとしたら、そのような案を先方に伝えるのかなどが腕の見せ所です。
知的財産に関連する知識
知的財産権とは、誰かが生み出したアイディアや創造物は、生み出した本人に権利や価値があることを指します。
著作権、意匠権、特許権、商標権などが知的財産権に含まれます。
取引の上で、「〇〇は、どこに権利があるのか」を理解しておくことはビジネスを行う上で、とても重要です。
ビジネス感覚
これは、法務に限らず、どの職種においても必要なスキルです。
法務は、法律に基づいて、書類のチェックをするだけではなく、ときには自社の営業や先方の方とのやり取りも発生します。
その際に、ビジネス感覚を持って接することで契約や取引も上手く進むケースが多いです。
コンプライアンスに関する感覚と知識
コンプラとよく訳されることの多いコンプライアンス(社会的規範)。
現代社会は、コンプラにかなり厳しくなってきた印象を受けます。
よくありがちなのが、SNSで、コンプラ違反だと思われる事案が世間に発信されてしまうケースです。
その際に、「違反だ!」と叩かれるシーンをよく見ます。
何がコンプラ違反かを理解しておかないと、取り返しにつかないことに発展してしまうこともあります。
法務担当者におすすめの資格
ここからは法務担当者におすすめの資格について紹介します。
ビジネス実務法務検定
東京商工会議所から出されている検定です。
あらゆる職種で必要とされる法律知識が習得できます。
この検定で、身につけた正しい法律知識は、業務上のリスクを回避し、自社の不利益などを未然に防ぐことが可能です。
法務の方以外の職種でも法律理解のために受講するケースも多く、人気の検定です。
ビジネスコンプライアンス検定
コンプライアンス検定委員会が主催する検定です。
その名の通り、コンプライアンス理解に特化しています。
先ほども少し触れましたが、1回のコンプライアンス違反で個人・企業のブランドイメージを大きく損なう可能性があるので、知識を身につけてべきでしょう。
個人情報保護士
全日本情報学習振興協会が主催する検定です。
個人情報保護法やマイナンバー法、情報セキュリティに特化した問題が出題されます。
WEBの発達が進んでいる現代において、個人情報の保護に緩みや隙間が出やすくなっているので、知識を身につけるのに良いでしょう。
知的財産管理技能検定
知的財産教育協会が主催する知的財産管理という職種に関する国家試験です。
技術、コンテンツ、ブランドなどの知的財産をいかにマネジメントするかがビジネスの鍵となってきます。
知的財産の管理が大きなビジネスに発展する可能性も秘めているので勉強しておいて損はないでしょう。
公認不正検査士
日本公認不正検査士協会が主催する資格・検定です。
CFE(公認不正検査士)と略されることが多く、アメリカ発祥の資格になります。
そのため、あまり日本では浸透しておらず、知名度のない資格かもしれません。
組織内外で発生する不正から組織を守るための知識を身につけ、不正の未然防止や体制づくりを目的とします。
行政書士
弁護士や司法書士と並んで、難関国家資格の1つになります。
合格率は弁護士や司法書士よりは少し高い10%程度になっています。
主な業務は、官公署に提出する書類作成、その相談や官公署に提出する手続きについて代理です。
持っていれば、法律のプロとして認知され、企業の法務で働くことはもちろん、自身で開業する道を開くこともできます。
弁護士
言わずとしれた国家資格です。
トラブルが起きた際、依頼者の代理人として、相手方と交渉をしたり、調停や裁判を行ったりできます。
弁護士になるのは難しいと言われていますが、本当にその道のりは険しいです。
予備試験合格または、法科大学院終了し、その後、司法試験を受け、司法修習し、司法修習生考試を受け、法曹資格取得し、弁護士登録する。
上記が一連の流れです。
取得できれば、権威も年収も跳ね上がりますが、取得するには相当の勉強量が必要です。
司法書士
こちらも難関国家資格の1つです。
主な業務は不動産の登記や供託になります。
合格率5%以下の司法書士試験を突破し、司法書士名簿に登録、その後司法書士として働くことができます。
弁護士同様、取得できれば、権威も年収も跳ね上がりますが、取得するには相当の勉強量が必要です。
【補足】法務におすすめの資格
基本的なところは既に理解していて、履歴書に書くことが出来て実務にも通用する資格が欲しい!という人には、ビジネス実務法務検定3級の上級となる2級にチャレンジするのが良いでしょう。
2級を持っていると、法務担当者として求められる企業法務全般の知識を持っている、法務担当者として独り立ちできる資格となり、法務担当としてアピールする必須アイテムです。
会社によっては製造業やエンタメ、ITなど、法務と合わせて知的財産に関する業務を求められる場合には、知的財産管理技能士も合わせて持っておくといいでしょう。
また今日では、企業の個人情報の取扱いが厳しくなっており、その専門資格として個人情報保護士といった資格も注目を浴びています。
これらの資格は、合格率35~50%と少し難易度は高くなっていますが、隙間時間や休日を利用して勉強をすることができれば確実に合格を狙えるものです。
法律を一度しっかり勉強をしたことがある、経営企画や内部統制の経験がある、法務担当者としてキャリアアップをしたい、転職先でも法務担当としてアピールしたい人は、行政書士・公認不正検査士を取るといいでしょう。
行政書士は、許認可関係や契約書、遺言書などの公文書を作成することができ、独立もできる国家資格です。
会社が認めれば名刺にも書くことができ、法務担当の中でも法律のプロフェッショナルとして活躍ができます。
公認不正検査士は、会社のリスクマネジメントを担当した経験がある人におすすめの資格です。
こちらは試験を受けるほかに、一定期間の実務経験が取得条件となります。
これらは合格率が10~30%と一気に難易度が高くなりますが、合格できると会社としての評価ともなり、信頼にも繋がります。
最後に誰もが知っている、再難関資格の弁護士、司法書士については、士業の人は法律事務所、司法書士事務所などで活躍するのがよく知られていますが、近年では会社に所属する従業員として企業内弁護士、企業内司法書士をいう活躍の仕方も多くなっています。
取引先との紛争や登記申請について外部の専門家を使わずとも自分自身で行うことができます。
会社として専門家を持つこともメリットも多く重宝されます。
合格率は3~10%を下回り、弁護士であれば法科大学院に進学する、何年もかけて勉強を継続し続けなくてはならない、など負担がかなり大きいですが、それだけ給与面や待遇も変わるので本気で目指したい方は受験してみてもいいかと思います。
また、おすすめ資格には記載しませんでしたが、海外と取引があり、英文での契約書などの読み取りが必要になる場合は、語学系としてTOEICや英検を受験するとよりいいでしょう。
目安としては、内容を把握できる、英語でドラフティングをする、コメントを英語で述べることができることが求められるため、600点以上が望ましいです。
まとめ:法務におすすめの資格取得で業務の幅を広げましょう
ここまで法務についておすすめの資格を紹介しました。
企業法務というのは資格だけで生き抜いていける業種ではありません。
経験や感覚も重要視されるため、自分のなりたい法務担当者像を想像して自分にあった必要な資格をとり、やりがいのある仕事をしていっていただきたいです。