「”ECサイト”という言葉自体はよく聞くものの、意味は何となくでしか理解していない…」「”EC”って何の略だろう?」「WebサイトやHP(ホームページ)との違いって?」このような疑問をお持ちではありませんか?今回は、何かとわかりにくい”ECサイト”について、簡単に説明していきます!
ECサイトとは?
ECサイトとは、簡単に言えば「ネットショッピングができるサイト」です。
あなたが、通販で何か買おうとするときにアクセスするサイトを思い浮かべるとわかりやすいのではないでしょうか?具体例で考えてみましょう。
- 通販で新しいクッションを買おうとしている。
- 検索エンジンで「クッション 通販」と検索する。
- 検索結果のサイトを開き、商品を選ぶ。
- 購入する。
このときサイトを開き、購入まで行えるのがECサイトです。
厳密に言えばそれ以外のサイトも含むのですが、一般的に認知されている意味では”ネットショッピングサイト”と言って問題ないでしょう。厳密な定義については、この記事の後半で詳しく解説します。
ECサイトざっくり2種類
ECサイトは”ネットショッピングサイトである”と簡単に定義しました。その中でも、いくつか種類があることにお気づきでしょうか?
先ほどの例はそのまま、通販でクッションを買おうとしているとします。
「クッション 通販」と検索し、購入まで行うサイトは大抵の場合、以下の2種類に分かれています。
- 特定のショップの独自サイト
- 多数のショップが集約しているサイト
前者は、ニトリの公式サイト、無印良品の公式サイト、IKEAの公式サイト…というような、ブランド独自で運用している独立したサイトのこと。ブランドイメージを反映させたデザインが施されていることが多く、他のブランドとの差別化も見てとれます。
ニトリのクッションは、ニトリの通販サイトに載っていますよね。当然ですが、他のブランドの商品は載っていません。
このような、自社独自で自由度の高いECサイトを「自社ECサイト」といいます。
一方で後者は、Amazonや楽天、Qoo10やSHEINなど、多数のショップを含む大型ネットショッピングサイトのうちの、一つのページというイメージです。同じサイトの中で、さまざまなショップが出店しており、それぞれの商品が載っています。またサイトの形式や決済ページなどは全て統一されていることがほとんどです。
このようなECサイトのことを「ショッピングモール型ECサイト」といいます。
ここまでの復習
- 自社ECサイト:自社独自運用のECサイト
- ショッピングモール型ECサイト:多数のショップが出店しているECサイト
WebサイトやHPとの違いは?
ECサイトがネットショッピングの際に使っている、身近な存在であることがおわかりいただけたかと思います。
それでは、よく耳にして、意味が混同する「Webサイト」「HP(ホームページ)」とは何が違うのでしょうか?それぞれの定義を見て確認していきましょう。
ECサイトの定義は?何の略?
ECサイトは、「Electronic Commerce(エレクトロニックコマース=電子商取引)」の略で、「Eコマース」と呼ばれることもあります。簡単に言えばネットショッピング、つまり商品やサービスをインターネット上で売買できるウェブサイトのことを指します。
ちなみに、ECには有料動画配信サイトなどのように、商品やサービスを販売していないサイトも含まれます。ただし一般的には、ネットショップ、オンラインショップ、インターネット通販サイトといったような、“商品を販売しているサイト”を指すことが多いので、”ネットショップ”と認識して問題ありません。
Webサイトとは?ECサイトの違い
Webサイトとは、複数の”Webページ”の集合体であり、メディア全体を指します。
例えば企業のWebサイトは、トップページや企業情報のページ、問い合わせのページなど、複数の”ページ”から構成されています。
対してECサイトは、Webサイトのうちの1つです。「Webサイト」はメディア全体、「ECサイト」はWebサイトの種類の中の1つで、商品やサービスの売買を目的としたものであると覚えておくと良いでしょう。
ついでに知る!Webサイト7種類
- ランディングページ(LP):特定の商品やサービスについて、1ページにまとめたWebページのこと。商品・サービスの説明と申込、お問合せなどのリンクにユーザーを誘導する、シンプルな設計が特徴的。
- オウンドメディア:企業が情報発信をするメディアのこと。上位表示させる施策が重要。
- ブランドサイト(ブランディングサイト):企業の魅力やコンセプトなどのブランドイメージを反映させた、特定のブランドや商品の紹介サイト。
- サービスサイト:特定の商品・サービス1つについての紹介サイト。多数の商品や多面的な事業がある場合、それぞれ適切に紹介できる。
- ECサイト:一般的にはネットショップのこと。商品・サービスの売買に特化したもの。
- 採用サイト(リクルートサイト):採用活動に特化したサイト。企業サイトから「採用情報」に飛んだサイトや、新卒向けの特設サイトなど。
- コーポレートサイト:別名企業サイト。企業について調べたユーザーがまず初めにたどり着くもの。
HP(ホームページ)とは?Webページとの違い
HP(ホームページ)とは、Webサイトのトップページのことを指します。一般的にはWebサイトとほとんど同じ意味で使われており、意味も通じますが厳密には異なります。
また「Webページ」はWebサイト内の特定のページを指しますが、「HP(ホームページ)」はサイトの拠点となる最初のページのみを指している点で異なります。
ちなみに、サイトの入口となるページを「トップページ」と呼んだり、別のページからそこに戻るための「Topに戻る」というボタンが用意されていたりするのを見たことがあるのではないでしょうか。
これは実は日本特有のもの。海外では日本で言う「トップ」を、「ホームページ」「home」と呼ぶのが一般的です。海外で「top」と言うと、ページの一番上部のことを意味するので、”入り口のページ”とは限らないという点に注意が必要です。
ここまでの復習
- ECサイト=Webサイトのうち商品・サービスの売買に特化したもの
- Webサイト=メディア全体(複数のWebページの集合体)
- HP(ホームページ)=Webサイトの入り口となる最初のページ
- Webページ=Webサイトの特定のページ
ECサイトのビジネスモデル
ECサイトは、取引を行う人々の組み合わせによって、BtoB(企業間取引)やBtoC(企業・消費者の取引)など、ビジネスモデルによって分類されます。
最近ユーザー数が激増しているフリマアプリやネットオークションなどはCtoC(消費者間取引)に該当し、こちらもECサイトの一部です。
それぞれについて説明していきます。
BtoC(企業・消費者間取引)
BtoC(Business to Consumer)は、消費者が企業の商品を購入する、つまり一般的な買い物のことを指します。中でもECサイトを利用するものは、「BtoC-EC」といいます。総合通販サイト、動画・音楽配信サイトなどが該当します。
またBtoCでは、企業と消費者の間を、卸売・小売が仲介しているのが特徴的。直接企業から商品を購入する「DtoC(Direct to Consumer)」とは異なります。
例えば音楽配信では、アーティストが音楽を音楽配信サイトにアップし、消費者がそれを購入します。このとき、音楽配信サイト(の運営企業)が仲介しているということになり、アーティストから直接購入しているわけではありません。
BtoB(企業間取引)
BtoB(Business to Business)は企業同士の取引のことを指します。「企業向け」「法人向け」の商品やサービス、システムなどを売買します。
一般消費者向けのBtoC-ECに比べ数は少ないものの、比較的単価が高いのが特徴的です。
CtoC(消費者間取引)
CtoC(Consumer toConsumer)は、近年定着したフリマアプリやネットオークションなどの、消費者個人間の取引を指します。
出品も購入も手軽で、多くの一般消費者ユーザーが利用しています。
DtoC(直接的な企業・消費者間取引)
卸売・小売が仲介するBtoC(企業・消費者間取引)と違い、DtoC(Direct to Consumer)は企業が直接消費者へ商品やサービスを販売することを指します。
企業と消費者間でコミュニケーションを図れるのが特徴的。それを通じて、消費者データを自社で直接集めることができるのもポイントです。直接、消費者から評価やリアクションを得てデータを集め、活用するには最適なビジネスモデルといえます。
ECサイトを「作る」とは?
ここまで、ECサイトとは何か説明していきました。次はECサイトを「作る」とはどういうことなのか考えていきましょう。
ECサイトを作るのが重要な理由とは?
2010年から現在までのスマートフォンの普及により、ネットショッピング、ECサイト業界は常に盛り上がりを見せています。
さらに、2020年の新型コロナウイルス蔓延による外出自粛。外に出なくても買い物ができるので、通販の需要がさらに高まりました。これを受け、ECサイト業界の市場規模も急速に拡大しています。

引用:https://www.meti.go.jp/press/2022/08/20220812005/20220812005.html
経済産業省(2022/8/12)による、電子商取引(EC)の市場調査結果が出ています。グラフはBtoC(企業・消費者間取引)の物販、サービス、デジタル分野です。
コロナが登場した2020年から、2021年にかけての市場拡大が見てとれます。
外出ができるようになってもなお増加傾向にあるので、人々にとって通販・ECは以前と比べ、日常的な存在として定着しているのではないかと考えられます。
企業側にとっては、SNSマーケティングや広告出稿などの技術向上により、自社商品を必要としているユーザーにアピールしやすくなり、より売上が期待できるようになりました。ECを導入すればそのような効果が見込めるというのも、EC市場拡大の理由の一つといえます。
しかし、市場が拡大しているということは、競争も多くなっているということ。いまからECサイトを作り、数多あるECサイトの中で埋もれないようにするためには、独自の戦略が必須です。
作るならどれ?ECサイト6種類
ECサイトはざっくり分類すると、「自社型」と「ショッピングモール型」があると先に説明しました。実はあと4つ代表的なものがあります。使い分けを知って、よりECサイトについての理解を深めましょう。それぞれ紹介していきます。
①自社ECサイト
自社ECサイトは、自社で運営する、自由度の高いECサイトのことです。開発から運営、決済システムの設置など全てを自社で行う必要があります。その分、システムやデザインなどの自由度が高く、洗練されたECサイトを作成することができます。他社との差別化、自社ブランディングに効果的です。
②ショッピングモール型ECサイト
ショッピングモール型ECサイトとは、1つのサイトの中で複数のショップが出店・出品する形態のECサイトです。自社ECサイトの逆、と覚えておくと良いでしょう。具体的にはAmazonや楽天、Qoo10やSHEINなどが該当します。
注文手続きや決済などシステムは統一されていることがほとんどです。そのため、気軽に出店・出品できるうえに、多くのユーザーにリーチできます。
ただし、出店等に手数料がかかるのが欠点です。
③ダウンロード販売のECサイト
音楽や電子書籍、動画、写真、ゲームなどを購入し、ダウンロードするECサイトのことです。
具体的なサービスとしては以下のようなものが挙げられます。
- 音楽配信サービス(Apple music、Spotifyなど)
- 電子書籍サービス(Kindleなど)
- 動画配信サービス(Netflixなど)
- 写真や画像の素材(iStockなど)
- ゲーム(マイニンテンドーストアなど)
形ある商品ではないため、Web上で売買が完結します。決済は商品ごとに、クレジットカードやコンビニ支払いを利用するか、定期購入(サブスクリプション)が一般的です。
④単品ECサイト
1種類の商品・サービスのみを販売するECサイトのことです。その商品・サービスの紹介、販売に特化したシンプルな構造が特徴的。商品の詳細な魅力が重要な、健康食品やサプリメント、化粧品などのサイトが多い傾向にあります。
また、単品ECサイトには、LP(ランディングページ)が効果的だと言われています。LPとは、1ページのみで商品の概要、問い合わせ、購入などが完結するWebページのこと。上から下にスクロールしていくと、一番下に購入ボタンがあるような、縦長のサイトを一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?あれはECサイトを1ページに完結させた、LP(ランディングページ)を採用したものです。
⑤オムニチャネル型ECサイト
オムニチャネル型とは、実店舗、自社ECサイト、ショッピングモール型ECサイト、SNSなど複数の販売経路を確保し、商品やサービスを販売するもの。
消費者との接点を多く得られる一方で、商品の管理やそれぞれのサイトの運営を並行して行う非常に複雑な方法です。多くのサイトやSNSを使用するなら、情報を一括管理し、システムを連携させる必要があります。
⑥グローバルECサイト
グローバルECサイトは、海外向けに販売するサイトのことです。日本でしか買えない物を、海外から購入したいというニーズに応え、国内外問わずにアプローチできるようになります。多くの人が利用できるよう、多言語対応、決済方法、関税や送料などを考える必要があります。
初心者向け!ECサイトの構築の方法
ECサイトを構築するためには以下の方法が考えられます。
- ショッピングモール型ECサイトに出品/出店する
- ASP
- クラウドサービス
- パッケージ
- オープンソース
- フルスクラッチ
それぞれ簡単に説明していきます。
ASP
ASP(Application Service Provider)は、ネットワークを通じてアプリケーションを提供するサービスのこと。
ECサイト向けASPでは、初期費用が安く済み、顧客情報を自社に残すことができるなどのメリットがあります。ただし、自社に合わせた個別のカスタマイズはできないため、追加カスタマイズの面でデメリットがあります。また、ASPと自社の基幹システムや物流システムを連携させることは難しい場合が多く、事前にサポート体制の有無を確認する必要があります。
クラウドサービス
クラウド型ECサービスは、クラウド環境でECサイトを構築し、運用することができるサービスのこと。
サービス提供会社がシステム開発や保守を行うため、自社でシステムを所有する必要がなく、自由なカスタマイズ性や安定したシステム環境が得られます。また、繁忙期やアクセス急増にも対応可能。一方、保守管理の面やランニングコストが高いというデメリットがあるため、初めての出店には適してません。売上金額が一定以上あり、カート機能に不満がある段階での導入が適しています。
パッケージ
クラウド型の中には、導入時にシステムがある程度パッケージ化されたものを指す「パッケージ型」があります。ECパッケージは中・大規模サイトにとってバランスのいいサービスで、カスタマイズの自由度が高いため、後に紹介するフルスクラッチほど時間や労力をかけずに希望通りのサイトを作ることができます。
ただし、初期費用が高く、システムが陳腐化しやすいため、中長期的にはコストが高くなることに注意が必要です。
オープンソース
オープンソースは、ライセンス費用が掛からずにデザインやカスタマイズの自由度が高いのが特徴的です。しかし、かなりの専門的知識や技術力が必要であるため、中小企業向きではないといえます。
豊富なプラグインが揃っており、低コストでカスタマイズができることがメリットである一方、社内負担の重さやセキュリティの弱さがデメリットであることです。特にセキュリティは注意が必要であり、外部から攻撃されるリスクが高く、適切な対策が必要です。
フルスクラッチ
フルスクラッチとは、ECサイトをゼロから作る方法であり、内容を自由にカスタマイズできます。しかし、開発費用・期間は他の手法に比べて高く、高い知識や技術力が必要。理想のECサイトを作ることができますが、陳腐化による定期的なメンテナンスが必須となります。構築にも運営にも、十分な人材や費用がない場合、立ち上げは困難でしょう。
ECサイトを「運営する」とは?
ECサイトを「運営する」とはオンライン上で商品やサービスを販売するために必要な、サイトの構築・管理・運営・マーケティング・顧客対応などの全ての業務を指します。
また運営業務は、商品企画やマーケティングなどを担当する「フロント業務」、商品の管理や発送を担当する「バックオフィス」の2種類に分けられます。
フロント業務
フロント業務は、ECサイトへの集客を目的とした運営業務です。主に以下のような業務を行います。
- 商品企画
- 仕入れ・製造
- ECサイト制作・更新管理
- webマーケティング(広告運用)
ユーザーの需要や市場を分析して企画し、適切な広告運用を行うことが重要です。
バックエンド業務
バックエンド業務は、商品の販売から受注処理、在庫管理、出荷手続き等などを指します。主な業務は以下の通りです。
- 受注処理
- 入金確認
- 在庫管理
- 商品梱包・出荷
- 配送(配送メール)
- アフターサービス
おわかりいただけるように、商品の購入〜お届け後の全ての業務がバックエンド業務です。購入者へのメールなど、直接のやりとりや、クレームやお問い合わせ対応などのアフターサービスも含まれる点を確認しておきましょう。
ECサイト運営に必要なスキル
ECサイト運営に必要なスキルは以下の通りです。
- WEBマーケティングスキル
- クリエイティブのスキル
- 商品企画スキル
- カスタマーサポートのスキル
それぞれ専門性の高いスキルといえます。自社でECサイトを運営する際は、専門的なスキルを持つスタッフがいるかどうかよく確認しておく必要があります。
WEBマーケティングスキル
例えば、SEOや広告運用、SNSなど、主に顧客を呼び込むスキルが必要です。特にECサイトを初めて運営する場合、広告運用のスキルは初期の顧客獲得に大きく関わります。見栄えの良いサイトデザインや魅力的な商品を扱っていたとしても、顧客を集めることができなければ売上は上がりません。集客のスタート地点としてWEBマーケティングスキルは必須のスキルです。
クリエイティブのスキル
ECサイトを制作するためには、商品の写真撮影、画像加工、バナー制作、販促ページの作成などの多岐にわたるクリエイティブスキルが必要となります。最近はYouTubeなどの動画で販促を行う企業も増えているため、動画制作のスキルも重要になってきます。
商品企画スキル
商品企画は、「売れる商品」を企画することが必要です。市場やトレンドの調査・分析やターゲット顧客が求める商品の開発から販売計画、予算管理まで、全てを一括して行います。商品企画は、企業の利益に直結する非常に重要なポジションです。
商品企画から開発、販売価格の設定までを一貫して担当できるスキルが必要です。
カスタマーサポートのスキル
お客様とのコミュニケーション能力が必要不可欠なカスタマーサポートスキルが必要です。主に商品の受注前後に関する問い合わせやクレーム対応を行い、対面での対応ができない分、より丁寧で迅速な対応が求められます。また、ユーザーの気持ちに共感し、的確に対応することが求められる重要なポジションとなっています。
ECサイトについて理解してうまく活用しよう!
ECサイトについて簡単に説明していきました。ECサイトとは何か、作る・運営するとはどういうことか、ざっくり理解して、これから本格的に活用してみてはいかがでしょうか?
Web Auto Robotの「AUTORO」で業務自動化
AUTOROの製品紹介資料を無料でダウンロードいただけます。
製品の特徴や導入のメリット、ご活用事例などをご紹介しています。