- 人手不足の中でも診療体制を維持する必要があった
- 書類作成・転記などの定型業務に多くの時間を要していた
- 多職種連携に伴う情報確認・共有の負担が大きかった
- 書類作成を400時間/月→10時間/月へ削減
- 多職種連携ツールの情報確認を4名×1時間/日→1名×5分/日へ削減
- 患者対応の時間を確保しながら、診療品質・安全性を向上
API連携が難しい環境でも、RPAで業務自動化を実現
ー まず、つながるクリニックについて教えてください。
八森様: 当院は横浜市港南区にあるクリニックで、在宅医療を中心に外来診療も行っています。現在、約350名の在宅患者様を診療しており、在宅と施設の割合は6対4程度です。
この地域には大規模団地があり、半径1km圏内に6万人以上が暮らしています。患者様が近いエリアに集中しているため、効率的に訪問診療を行える環境です。一方で、多くの患者様を支えるため、書類作成や多職種との情報共有など、日々の事務作業は非常に多くなっています。
ー AUTORO導入前には、どういった課題がありましたか?
八森様:当院では、訪問診療に伴う書類作成やカルテ準備、多職種連携ツールの情報確認など、さまざまな業務に多くの時間がかかっていました。
さらに、訪問部門のスタッフが6名から3名へと半減することが決まり、限られた人数でこれまでと同じ診療体制を維持しなければならない状況になりました。このままでは、現場の負担が大きくなり、診療の質を維持することが難しくなるという危機感がありました。
特に電子カルテに関しては、API連携ができれば便利な部分もありますが、医療現場ではセキュリティの観点から、あえてAPI連携をしていないシステムも少なくありません。当院で利用しているセコムの電子カルテ「OWEL」も、必要な情報をすべてAPIで自由に取得できる環境ではありませんでした。
当初はその点に難しさを感じていましたが、逆にその制約があったからこそ、RPAの活用に可能性を感じました。RPAは、人がブラウザ上で行う定型的な操作を自動化できる仕組みです。AUTOROを使うことで、電子カルテや各種ツールを横断しながら必要な情報を取得し、AIと連携して書類作成やカルテ準備などを自動化できるようになりました。
API連携が難しい環境でも、RPAであれば人が行っていた操作をもとに業務を自動化できるため、結果的に柔軟な拡張が可能になったと感じています。
ー AUTOROを導入して、大きく変わったのはどういった点でしょうか?
佐藤様:AUTOROを使うことで、業務フローにAIを取り入れられるようになったことですね。当院の活用例だと、AUTOROが電子カルテや各種ツールから必要な情報を取得し、その情報をAIに渡します。AIが内容を整理・生成し、その結果をAUTOROが所定の場所に反映することで、書類作成やカルテ準備などを自動化しています。
API連携が難しい環境でも、画面上の操作を自動化できるため、現場の業務に合わせて柔軟に活用できる点が大きいと思います。
書類作成を「400時間 / 月→10時間 / 月」に変えた自動化の仕組み
ー 手間取っていたという書類作成ですが、現在は自動化できていると伺っています。どのような運用をされているのでしょうか?
八森様:訪問診療を行う当院では、訪問看護指示書、在宅療養計画書、居宅療養管理指導書などの書類を定期的に発行しています。
以前は、これらの書類を看護師と医師の双方で確認しながら作成していました。しかし、人手不足も重なり、書類作成に膨大な時間がかかっていました。
現在は、AUTOROのロボットが日々のカルテ内容を確認し、必要な情報をAIに渡します。そのうえで、私が作成したプロンプトに従ってAIが各書類に必要な文章を作成し、AUTOROがその内容を所定の場所に貼り付けます。さらに、PDF保存や印刷まで自動で行う流れになっています。
その結果、書類作成にかかる工数は月約400時間から約10時間まで削減できました。AUTOROが書類作成の大部分を担うことで、人は最終確認に集中できるようになり、患者さんと向き合う時間を確保しやすくなりました。
ー 実際のフローを簡単にご紹介いただくことは可能でしょうか。
佐藤様:まず、対象者のリストを読み込み、カルテにログインして対象ページを開きます。その後、カルテの記載内容をデータとして取得し、前回の記載内容と合わせてAIが新しい指示内容を作成します。
作成された内容は、AUTOROがカルテの所定の場所に記載します。さらにPDFとして保管し、自動で印刷するところまで行います。

佐藤様:AUTOROでは、コードを書くのではなく、画面上で「アクション」と呼ばれる操作を選び、並べていくことでロボットを構築できます。専門的なプログラミング知識がなくても、業務の流れに合わせて自動化を組み立てられる点は、とても使いやすいと感じています。
八森様:普段はクラウド上で動いているため、実際にロボットの画面を見ることは多くありません。ただ、仕組みとしては、人が行っていた操作をロボットが順番に実行してくれているイメージです。コードを書かずに操作を選んで並べていける点は、現場にとってもわかりやすいと思います。
音声入力ツールとAUTOROを組み合わせ、カルテ作成を効率化
ー 今注目されている音声入力についても、AUTOROを活用していると伺いました。どのように組み合わせているのでしょうか。
八森様:当院では、「medimo」という音声入力ツールを使っています。患者さんとの自然なやり取りを録音し、その内容をもとにSOAP形式でカルテを作成する仕組みです。
ただ、訪問診療では、前回から引き継いでいる問題や慢性的な課題が多くあります。そのため、当日の会話内容だけでなく、前回のカルテ情報をどのように反映するかが非常に重要です。
そこで、AUTOROのロボットが、診察前日のうちに前回カルテの内容をmedimoの「診療メモ」に自動で貼り付ける仕組みを作りました。
診察が始まると、私が話した内容が記録され、それをもとにカルテが作成されます。その際、独自に作成したプロンプトを組み合わせることで、前回の評価や計画のうち変わりがないものはそのまま引き継ぎ、変更があった部分だけを更新できるようにしています。
例えば、会話の中で「今日○○をしました。次は△日です」と話すと、その部分が反映されていきます。前回のカルテ内容が事前に入っているからこそ、音声入力ツールをより有効に活用できています。

ー 単に音声入力を導入するだけでなく、事前準備の部分をAUTOROが担っているということですね。
佐藤様:そうです。AUTOROが、次の予定でどの医師がどの患者さんを診るのかを把握し、必要な前回情報を事前に貼り付けます。
音声入力ツールだけでもカルテ作成の効率化はできますが、訪問診療では前回情報の引き継ぎが重要です。AUTOROがその準備を担うことで、音声入力で作成されるカルテの精度や使いやすさが高まっていると感じています。
八森様:RPAが活躍することで、単に音声入力の仕組みを使うだけでなく、診療の質や安全性にもつながる形で活用できています。
4名×1時間 / 日 → 1名×5分 / 日
多職種連携ツールの情報確認を自動化し、重要情報の見逃しを防ぐ
ー 訪問診療では多職種連携も重要です。他事業所からの情報確認にもAUTOROを活用されているのでしょうか。
八森様:当院では、多職種連携ツールとして「バイタルリンク」を利用しています。訪問看護ステーションやケアマネジャーさん、薬剤師さんなどからの情報が、バイタルリンクを通じて入ってきます。
これまでは、バイタルリンク上に届く多くの情報を複数人で確認していたため、非常に時間がかかっていました。そこで、この確認作業や転記作業をAUTOROに任せることにしました。
現在は、AUTOROがバイタルリンクの情報を定期的に確認し、必要な情報をカルテへ転記する仕組みを構築しています。その結果、これまで4名で毎日約1時間かけて行っていた情報確認は、現在では1名が約5分最終確認するだけで済むようになりました。これにより、手作業で行っていたコピー&ペースト作業が削減され、確認にかかる負担も大幅に軽減されました。

ー 情報を自動で扱ううえで、重要な情報を見逃さないための工夫はありますか。
八森様:バイタルリンクの情報を自動でカルテに貼り付けるにあたり、最も懸念していたのは重要な情報の見逃しです。
そこで、AIにスクリーニングを行わせる仕組みを作りました。バイタルリンクに届いた情報をAIが確認し、緊急度に応じてA・B・Cの3つに分類します。
Aランクは、今日中に対応が必要な緊急度の高い情報。Bランクは、明日までに対応した方がよい情報。Cランクは、次回訪問時までに確認すればよい情報です。
緊急性が高い情報は、当院で日常的に使用しているTrelloに表示されるようにしています。AUTOROがバイタルリンクの内容を巡回し、AIに判断させたうえで、必要な情報をTrelloに表示する流れです。
人間がすべての情報を確認し続けるには限界があります。AUTOROとAIを組み合わせることで、緊急性の高い情報を見逃しにくくなり、診療の質や安全性の向上にもつながっていると感じています。
佐藤様:情報を確認してコピー&ペーストする作業は、どうしても手間がかかります。AUTOROに任せることで、単純作業を減らしながら、必要な情報を適切に拾い上げる仕組みを作れたことは大きいと思います。
既存ツールを活かしながら、現場の動きを変えずにDXを推進
ー AUTORO導入後、業務環境はどのように構築されているのでしょうか。
佐藤様:AUTOROを中心に、電子カルテ、スプレッドシート、AI、Trelloなど、複数のシステムを組み合わせて業務環境を構築しています。
重要視したのは、すでに現場に浸透しているツールや業務の流れを大きく変えないことです。Trelloやkintoneなど、現場で使い慣れたツールをそのまま活用しながら、AUTOROが各システムをつなぎ、必要なデータを整理・活用できるようにしています。
書類作成や情報のトリアージにはAIも活用しています。個人情報を多く扱うため、セキュリティ面を考慮し、Google Cloudで利用できるVertex AI、つまりGeminiを使用しています。データの取り扱いにも配慮しながら、安全に活用できる環境を整えています。
それぞれのシステムには、得意なことや、すでに蓄積されているデータがあります。それらをAUTOROがつなぎ合わせることで、必要な情報を作り出せるようになりました。現場の動きを大きく変えずにDXを進められる点が大きいと感じています。
ー 費用面については、どのように捉えていますか。
八森様:現在は、月20万円ちょっとくらいで運用しています。20万円と聞くと高いと感じる方もいるかもしれません。
ただ、これだけの業務を担ってくれることに加え、労務管理が不要で、夜間も働いてくれることを考えると、またアイデア次第でできることがまだまだ広がることを考えると、経営者としては決して高くないと感じています。
専門知識がなくても、現場主導で業務改善を進められる
ー 構築のハードルはいかがでしょうか?
佐藤様:私はSEやIT系の経験があるわけではありませんが、AUTOROを使って業務自動化の構築に取り組むことができました。
導入時にはオンボーディングを活用し、ミーティングで画面共有をしながら、操作方法やロボットの作り方を学びました。AUTOROの操作画面は日本語で表記されており、難しいコードを読み書きしなくてもロボットを構築できます。
また、チャットサポートもあり、質問するとスクリーンショット付きで具体的なアドバイスを受けられます。そのため、専門知識がなくても、現場の業務を理解している人が主体となって自動化を進めやすいと感じています。

ー 現場主導で業務改善を進められる点も、メリットとして捉えていただけているのですね。
八森様:そうですね。現場で何が必要なのかをみんなで考え、それを形にしていけることが、AUTOROとAIを活用する大きなメリットだと感じています。
業務改善に取り組む過程そのものが、チームビルディングにもつながっているように思います。
変化の大きい医療現場で、柔軟に課題を解決していく
ー 今後もAUTOROの活用の幅は広がりそうでしょうか。
八森様:まだまだたくさんのことができそうだと考えています。医療現場を取り巻く環境は、今後も変化していくと思います。そうした変化にいち早く対応するためには、現場の課題に合わせて柔軟に業務を見直していくことが重要です。
「変えたい」と思うことを先取りして実行した方が、経営的にもメリットが大きく、現場の課題も早く解決できます。
AUTOROとAIを活用することで、変化に柔軟に対応し、早く、しかも楽に課題を解決できる。そこが大きな効果の1つだと思っています。
ー 最後に、AUTOROの導入を検討している医療機関に向けて、メッセージをお願いします。
八森様:医療現場では、診療そのもの以外にも多くの業務があります。書類作成やカルテ準備、情報確認などに追われる時間を減らすことができれば、患者さんと向き合う時間を確保しやすくなります。
AUTOROとAIを組み合わせることで、単なる業務効率化にとどまらず、診療の質や安全性を高める取り組みにもつなげられると感じています。現場で必要なことを考えながら、柔軟に仕組みを作っていける点が、非常に大きな魅力だと思います。
佐藤様:専門的なIT知識がなくても、現場の業務を理解していれば、自動化できることはたくさんあると感じています。AUTOROは、今あるツールや業務の流れを活かしながら改善を進められるので、現場に無理なく取り入れやすいと思います。
ー ありがとうございました。

つながるクリニックは、患者さんやご家族がより満足でき、自分らしい人生を送るためのお手伝いができる医療を提供しています。
高度で機能的なチームを作り、日本の在宅医療の可能性を広げるために「つながる、つくる、つきあう」を大切にし、新たな地域医療をここから発信していきたいと思っています。
そのためにも、地域の方が、医療や介護、福祉に関係することを何でも“相談できる”クリニックにしていきます。
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