世界各国から届く問い合わせ対応を自動化。1日1〜2時間を削減し、AIとの共存を見据える

製造工程で発生する「バリ」を取り除くツールを、国内外へ展開する株式会社ジーベックテクノロジー。同社ではAUTOROを活用し、問い合わせ受付から代理店への紹介、フォローアップまでを自動化し、1日1〜2時間の工数削減を実現しています。

今回は、カスタマーサクセス部門のマネージャーであるアントン様に、導入の背景や具体的な活用方法、AI時代を見据えた今後の自動化について伺いました。

課題
  • 担当代理店の確認やメール作成、資料共有などを手作業で行っていた
  • 情報が十分に整理されておらず、問い合わせ対応を効率化するためのデータ基盤が整っていなかった
  • 複数システムをまたぐ定型作業にも工数がかかっていた
効果
  • kintoneなどと連携し、問い合わせ受付から代理店への紹介、フォローまでを自動化
  • 1日あたり1〜2時間の工数を削減に成功
  • 基幹システムからのデータ抽出も自動化。売上・在庫データを日々の分析に活用できる仕組みを構築

製品の品質と安全性を支える「バリ取り」を自動化

ー まず、ジーベックテクノロジー様の事業内容について教えてください。

アントン様:当社では、製造工程で発生する「バリ」を取り除くためのツールを開発・提供しています。

バリとは、部品を機械で加工した際に、切断面やエッジに発生する突起のことです。バリが残っていると、部品を正しく組み立てられなかったり、作業者が部品を扱う際にけがをしたりする可能性があります。製品の外観にも影響するため、小さな部分に見えて、実は製品の品質を大きく左右する工程です。

現在も手作業でバリ取りを行っている製造現場は少なくありません。当社のツールを工作機械などに組み込むことで、部品の加工後、そのまま機械でバリ取りまで行えるようになります。

最初は日本国内が中心でしたが、現在は海外でも多くのお客様に製品を使用していただいています。世界各地から、バリ取りに関する質問や相談が寄せられるようになりました。

基本的にはツールの提供が中心ですが、場合によっては、工作機械の中でツールを動かすためのプログラムコードなども提供しています。

世界各国からの問い合わせに、限られた人数で対応

ー 海外にも事業を展開する中で、カスタマーサクセス部門ではどのような業務を担当されているのでしょうか。

アントン様:当社のツールは多くの国で使用されているため、Webサイトを通じて、さまざまな国のお客様から問い合わせが届きます。

技術的な問い合わせについては、当社が直接対応する場合もあります。ただ、最初のステップとしては、お客様の地域を担当する代理店へ紹介することが多いです。

ー 代理店への紹介業務について、AUTORO導入前はどのような課題があったのでしょうか。

アントン様:私が入社した時点では、どの国にどの代理店があるのかといったデータが、十分に整理されていませんでした。

問い合わせが届くたびに、その国や地域を担当する代理店を調べて、メールを一から作成していました。お客様から写真や図面などが送られてきた場合には、それらの添付ファイルも代理店へ個別に共有する必要がありました。

当社は世界各国のお客様に対応していますが、社内は比較的小さなチームです。こうした作業を毎回手作業で行うことが、大きな負担になっていました。

業務を完全に自動化するためには、代理店の情報や対応ルールが整理されている必要があります。

そこで、まずは代理店に関するデータを整備しました。それまでExcelなどに分散していた情報も整理し、データを蓄積するための基盤としてkintoneを導入しました。

現場の担当者が自分で使えることが、AUTORO導入の決め手

ー業務の自動化にあたり、AUTORO以外の製品も検討されましたか。

アントン様:はい。複数のRPA製品を比較しました。高機能で優秀な製品もありましたが、インターフェースが複雑で、機能も非常に多いと感じました。

私たちには、「シンプルな業務であれば、実際にその業務を担当している社員が自分で自動化できるようにしたい」という考えがありました。

専門的な知識を持つ人だけが使えるものではなく、日常業務を担当する社員が使えることを重視していました。

ー その中で、AUTOROを選ばれた決め手を教えてください。

アントン様:AUTOROは、他の製品と比べると利用できる機能が絞られている部分もありますが、その分、操作が分かりやすいと感じました。

ワークフローで利用するアクションが画面の左側に一覧で表示されているため、どの機能を使えばよいのか迷いにくかったです。

また、ブラウザ上の要素を指定するCSSセレクターの設定がしやすいことや、kintoneとの相性、導入時のサポートなども決め手になりました。

シンプルな業務を、現場の担当者自身が自動化するという目的には、AUTOROが総合的に適していると判断しました。

問い合わせの受付から、代理店紹介とフォローまでを自動化

ー 現在、自動化されている問い合わせ対応の流れについて教えてください。

アントン様:お客様には、当社のWebサイトにある問い合わせフォームから情報を入力していただきます。問い合わせの内容に加えて、図面や製品の写真などを添付していただく場合もあります。

フォームに入力された情報は、フォームブリッジを通じてkintoneへ登録されます。その後、AUTOROがkintoneの一覧を確認して、対応が必要な問い合わせを抽出します。

ー AUTOROは、問い合わせを抽出した後、どのような処理を行うのでしょうか。

アントン様:まず、問い合わせに添付されている写真や図面などの資料を取得します。

その後、担当する代理店への紹介メールを作成します。メールには、宛先やCC、問い合わせ内容、添付資料などを設定し、担当する代理店へ送信します。

メール本文は基本的にテンプレートを使用しています。「このような問い合わせがありました」「添付されている資料はこちらです」といった内容を代理店へ伝えます。

同時に、お客様にも、現地の代理店から連絡が入ることを案内します。急ぎの場合には電話で連絡していただくような案内も入れています。

ー 代理店を紹介した後のフォローも自動化されているのでしょうか。

アントン様:はい。代理店を紹介してから約3週間後に、お客様へフォローメールを送るように設定しています。

「代理店と連絡が取れましたか」「対応は順調ですか」「まだ質問が残っていませんか」といった内容です。

AUTOROがメール配信サービスの予約機能を操作し、代理店への紹介メールを送るのと同じタイミングで、3週間後のフォローメールも予約しています。

以前は担当者が一件ずつ行っていた作業ですが、現在はkintoneやメール配信サービス、AUTOROなど、複数のシステムを組み合わせて自動化しています。

1日1〜2時間の工数を削減

ーAUTOROの導入によって、どの程度の効果がありましたか。

アントン様:すべての作業時間を正確に計測するのは難しいのですが、私の感覚では、問い合わせ対応をはじめとした複数の業務を自動化することで、1日あたり1〜2時間ほどの工数を削減できています。

問い合わせ対応では、問い合わせを確認し、代理店を選び、メールを作成して、資料を添付し、その後のフォローを予約するという作業を、一件ずつ行う必要がなくなりました。

お客様からフィードバックが届いた場合にも、内容のパターンを判定し、それに応じて処理する仕組みを作っています。

こうした複数の自動化によって、日々の定型的な作業にかかる時間を削減できています。

基幹システムのデータを、売上や在庫の分析に活用

ー 問い合わせ対応以外では、どのような業務を自動化されていますか。

アントン様:基幹システムから、受発注や売上、在庫に関するデータを抽出する業務にも利用しています。

当社の基幹システムは、kintoneなどと直接連携できる仕組みがなく、インターフェースも比較的古いものです。そのため、AUTORO Desktopの画像認識を使い、画面を操作してデータを取得しています。

取得したデータはSharePointなどに保存し、Power BIで売上のダッシュボードを作成したり、在庫を確認したりするために利用しています。

デスクトップ上の操作については、最初は苦労しました。どこをクリックするのか、画面が切り替わるまで何秒待つのかといった細かな調整が必要なためです。

ただ、一度安定してしまえば、非常に有効です。現在は毎日決まった時間にデータを抽出し、指定した場所へ保存してくれます。

朝になれば、Power BIで売上や在庫のデータを確認できます。担当者が毎回システムへアクセスして、データを探して取得する必要がなくなりました。

複雑な業務は、一つの大きなフローにしない

ー AUTOROを活用する中で、難しいと感じた業務はありましたか。

アントン様:条件や例外のパターンが非常に多い業務です。

パターンが多すぎると、最初にワークフローを作成するだけでも大変ですし、完成した後のメンテナンスも難しくなります。

最初は、多くの処理を一つの自動化に入れようとしていました。その結果、ワークフローが非常に長くなり、途中で調整が難しくなってしまったこともあります。

ー その経験を踏まえて、現在はどのようにワークフローを作成されていますか。

アントン様:まずは、シンプルな業務にRPAを使うことを意識しています。

複雑な業務を一つの大きなワークフローにするのではなく、シンプルなフローに分けて組み立てるようにしています。そうすることで、問題が起きた際にも、どの部分を確認すればよいのか分かりやすくなります。

ー クラウド版とデスクトップ版も、業務によって使い分けているのでしょうか。

アントン様:はい。kintoneやメール配信サービスなど、ブラウザで操作できるシステムはクラウド版のAUTOROを使用しています。ブラウザ上の要素を認識できるため、非常に安定しています。

一方、古い基幹システムのように、画像認識が必要な処理だけAUTORO Desktopを使用しています。

デスクトップ操作は、ネットワークや画面表示の状況によって処理が止まる可能性があります。待機時間を長くすれば対応できますが、長くしすぎると全体の処理時間も増えてしまいます。

そのため、画像認識が本当に必要な業務と、ブラウザ上で安定して処理できる業務を分けることが大切だと考えています。

自動化を作る時間がないことも、現場の課題

ー 現在は、何名ほどの方がAUTOROでワークフローを作成していますか。

アントン様:業務部門やカスタマーサクセス部門、人事部門など、合わせて5〜6名ほどが取り組んでいます。

ー 活用する担当者を増やす上で、課題に感じていることはありますか。

アントン様:一番の課題は、自動化を作る時間を確保することです。

日常業務を行いながら自動化に取り組むのは、非常に難しいと感じます。自動化に使える時間が10分しかないこともあります。

その時間でワークフローを作ろうとして、うまくいかなかった場合にはサポートへ質問します。ただ、すぐに解決できなければ、別の業務に戻らなければなりません。

数日後に作業を再開した時には、何をしていたのか分からなくなってしまうこともあります。そもそも時間がないから自動化を始めているので、自動化自体を簡単に作れることが非常に重要だと思います。

株式会社ジーベックテクノロジー アントン様

スクリプト作成やサポート面には、さらなる改善を期待

ー AUTOROの機能について、今後改善してほしい点はありますか。

アントン様:CSSセレクターは簡単に設定できて使いやすいのですが、実行したい処理に対応する専用アクションがない場合があります。

その場合は自分でスクリプトを書く必要がありますが、AUTORO独自の書き方やルールがあるため、簡単には作成できません。

今後は、AUTOROの中でAIに質問すると、必要なスクリプトを生成し、そのままワークフローへ組み込めるようになるとよいと思います。

AIと相談しながらコードを作れるようになれば、専用アクションが用意されていない処理にも、担当者自身で対応しやすくなります。

ー サポートについてはいかがでしたか。

アントン様:オンボーディング期間中の支援は素晴らしかったです。ワークフローについても丁寧にフィードバックしていただきました。

一方、オンボーディング終了後のチャットサポートでは、問題解決までに時間がかかるケースがありました。

サポートする側と利用者側で見えている情報が異なるため、最初に一つ確認し、その回答を受けて次の確認をするというやり取りになりがちです。担当者個人の問題というより、情報の見える化や、質問をする仕組みに改善の余地があると思います。

日常業務の合間に自動化へ取り組んでいるため、困った際に、より早く問題を解決できる仕組みがあると助かります。

AIとRPA、それぞれが適した業務で使い分ける

ー 今後の自動化について、社内ではどのような方針を検討されていますか。

アントン様:AUTOROの契約更新前に、AIとRPAを今後どのように活用していくのか、社内で話し合いました。

AIは非常に優秀になっており、今後、使わなければならない業務は増えていくと思います。ただし、すべての業務にAIが適しているわけではありません。決められた手順を繰り返す処理など、RPAの方が適している業務もあります。

そのため、AIかRPAのどちらか一方を選ぶのではなく、両方を組み合わせて使うことがよいという結論になりました。

ー AIだけですべての業務を自動化することには、どのような課題があると考えていますか。

アントン様:AIエージェントはさまざまなことができますが、処理をするたびにクレジットを消費します。すべての処理をAIエージェントに任せると、コストが大きくなる可能性があります。

AIに判断してもらう部分と、AUTOROで決められた処理を実行する部分を整理し、使い分けることが重要です。

AIの判断を、AUTOROで実際の業務につなげる

ー AIとAUTOROを組み合わせることで、今後どのような業務を自動化できそうでしょうか。

アントン様:受発注業務などで活用できる可能性があると思います。

現在は、FAXやメールの添付ファイルなど、さまざまな形式で注文が届きます。お客様や代理店によって、記載されている製品コードや書式も統一されていません。

PDFやスキャンデータから必要な情報を取り出し、正しい製品コードと結び付ける処理は、RPAだけでは難しい部分があります。

そこをAIが読み取り、必要な項目を分類した後、AUTOROが基幹システムへの入力や後続の処理を行うという使い方が考えられます。

ー AIの利用が広がることで、AUTOROの役割も変わっていくのでしょうか。

アントン様:AIを使い始めると、AIに情報を入力するのは人、AIが作った内容を別のシステムへコピーするのも人、という状態になる可能性があります。

そうなると、今度は情報を取り出す部分や、AIの結果をシステムへ入力する部分も自動化したいというニーズが出てきます。

AIが判断や生成を担当し、その前後の処理をAUTOROが実行する形がよいと思います。

ー 最後に、今後AUTOROに期待することを教えてください。

アントン様:今後、AUTOROが単なるRPAではなく、AIを業務で動かすための実行基盤になっていくのであれば、その考え方を当社の新しい担当者にも説明していただきたいです。

AIを使う部分とAUTOROを使う部分を整理し、全体のワークフローとして設計することが重要だと考えています。

これからも、自動化のパートナーとして一緒に取り組んでいきたいです。

ー ありがとうございました。

導入企業紹介

工業用の研磨・面取り・バリ取り用工具の開発・製造・販売を手がけています。独自のセラミック素材を活用した工具をはじめ、製造現場のバリ取り・研磨工程の自動化や効率化を支援しています。

創業以来「バリ取りの常識を変える」を掲げ、既成概念にとらわれない技術・サービスの開発を通じて、仕上げ工程の付加価値向上と、人がより創造的な仕事に力を発揮できる環境づくりを目指しています。

株式会社ジーベックテクノロジー

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