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業務属人化とは?リスクと解消によるメリット、具体的な解消方法をご紹介

「前任者が退職するが、業務の引継がうまくいかず今後の業務がうまく回るか不安だ。」「担当者が長期不在の場合、顧客からの問い合わせに対してすぐに対応できるものがいない。」といった困りごとが発生したことがある企業も少なくないのではないでしょうか。このような問題は、すべて「業務の属人化」が原因だと考えられます。昨今ではテレワークやリモートワークが進んだことにより、業務の見える化や業務の標準化等の業務属人化解消に向けての取り組みが改めて着目されるようになりました。そこで今回は、業務属人化とは何か、その原因やリスク、解消のメリット・解消する具体的な方法についてご紹介します。

業務属人化とは

業務属人化とは、ある業務に関する知識や経験が特定の従業員にしかなく、その担当者が業務遂行が困難になった場合、他の従業員が業務の詳細や手順を把握できなくなる状況を指します。

担当者が急な休暇や休職、退職で不在となると、業務がわからなくなり支障を引き起こすことから、通常はネガティブな意味で使用されます。

業務属人化を招く原因

企業にとって好ましくないといわれる「業務属人化」はなぜ発生するのでしょうか。

ここでは、業務が属人化してしまう原因5つについて説明していきたいと思います。

業務マニュアルが整っていない

まず1つ目に職場内で業務マニュアルが整備されていないという環境的な要因があります。

マニュアルがあっても活用されていなかったり、最新の内容に更新されていなかったりするパターンもここに含まれます。

マニュアルは業務内容の共有にとても大切な役割を担っています。

マニュアルが作成されていない状況では、口頭で業務を引継ぐこととなり、引き継がれた人のみが手順やノウハウを知っている状態のため、担当者が変わっても業務属人化はそのままになってしまいます。

マニュアルが整備されていれば、それに従い業務を行うことが基本ルールとなるため、属人化が発生しにくくなります。

業務の専門性の高さ

2つ目に業務の専門性の高さが属人化の原因となるケースもあります。

高度なスキルや専門知識が求められる業務は、知識や経験・技術が不足している従業員では対応しにくく、特定の担当者が業務にあたることが多くなるため、業務の属人化が起こりやすくなります。

また、専門性の高い担当者は高度のスキルや知識を要する担当業務に忙しく、ほかの従業員に教えたり、マニュアルを作成したりという業務に割く余裕を時間的にも体力的にも持ちにくいということも属人化を促進する要因といえるでしょう。

個人の評価に直結しにくい

3つ目に属人化の解消が個人の業績や評価に直接つながりにくいといったことがあげられます。

業務の属人化を解消するためには、標準化・マニュアル化が必要です。

そのためには、業務マニュアルの作成や社内での共有といった作業が発生しますが、その重要性はわかっていても、この作業が個人の評価に直結することは少ないでしょう。

業務がただでさえ多忙な場合、属人化解消のために時間を割くことは後回しにされがちです。

テレワークによるコミュニケーション不足

4つ目に昨今増加しているテレワーク環境も業務属人化を招く要因の1つといえるでしょう。

テレワークでは、従業員がオフィス以外の地理的に離れた場所で仕事をしているため、コミュニケーション頻度が落ちやすく、コミュニケーション不足になりやすいという課題があります。

オンラインでのコミュニケーションは、気軽な雑談が発生しにくく、相手の状況が見えないことにより、業務上必要だと思う連絡のみになりやすいので、チームメンバーの業務進捗が把握しにくく、業務属人化が起こりやすいと考えられます。

社内での地位を守ろうとする

5つ目に従業員が社内での地位を守るために自ら望んで業務を属人化しているという人的な要因もあります。

業務を属人化すれば自分の代わりは不在となるため、社内でのポジションが安定する、優位な立場に立てるといったメリットを得たい人も一定数いると考えらえます。

また、属人化は、業務のブラックボックス化を引き起こしやすいため、他の人が自分の業務に対して口を出せない、ミスが発見されにくいといった部分にメリットを感じ、属人化解消に対して積極的になりにくいケースもあるでしょう。

業務属人化によるリスク

業務属人化は、さまざまな原因で発生する可能性があるのですが、企業にとってどんなリスクがあるのでしょうか。

ここでは具体的にどんなリスクがあるのかを詳しく見ていきたいと思います。

業務改善のしにくさ

業務属人化が当然となっている職場環境だと、担当者以外が業務内容を知ることは困難で、業務の内容や手順・進捗状況は周囲の人間が把握しにくくなります。

そのため、業務の仕方に無駄があったり、業務量が処理しきれない量だとしても誰も気づかず、業務フロー改善や効率化の機会が失われます。

生産性を高めたり、業務を効率化したりするためには、ワークフローや業務内容が成果物に対して適切なのかを定期的に見直すべきといえるでしょう。

サービス品質のばらつき

業務の属人化により、サービスの品質が担当者によって異なることも企業にとっては大きなリスクです。

いつもの担当者しか業務について把握していないという状況だと、周りの従業員や直属の上司は、提供しているサービスの質が良いかどうかを判断するのは難しくなります。

もし万が一、いつも担当している者以外が対応した場合、業務内容や顧客情報を共有できていないことでいつも通りのサービスと同等、同質のサービスを提供できない可能性も出てくるでしょう。最悪の場合、作業のやり直しやクレームの発生を引き起こすため、会社の信用問題にも関わるリスクとなってきます。

再現性の低下

業務属人化では特定の人は成果を上げるが、それ以外の人が同様に業務をすることができず、優秀な人とそうでない人の差が広がるといったことが起こる可能性があります。

また、新しい人を育てる際にマニュアルなどがないことで、業務手順の引継ぎを難しくし、次の世代を育成することがスムーズにできないといったリスクがあります。

ナレッジやノウハウの損失

企業にとって従業員のそれまでに培ってきた知識や技術・顧客からの名刺といった顧客情報は有益な知的財産だと考えられます。

業務属人化が当たり前となることにより、これらの知識やスキル、顧客の情報を担当者しか知らないという状況に陥りやすく、その担当者が休職や退職となったときにヒトというリソースを失うだけでなく、その人のナレッジやノウハウといった知的財産も一緒に失うことになることはリスクと考えられます。

トラブル・ミスの対応遅れ

業務属人化が蔓延していると、業務がブラックボックスとなりやすく、トラブルやミスの発生に気づきにくいということもリスクです。

もし、トラブルやミスが起きた場合、担当者自身がすぐに気づき、トラブルの対処ができればいいですが、第三者のチェックがないことにより発見が遅れたり、気づいたとしても隠ぺいしたりする可能性も考えられるでしょう。

また、ミスが起きる状況は、担当者の注意力が散漫となっているコトが多いため、迅速な対処が難しいことも想定されます。

労働環境の悪化

担当者しか業務ができないとなると、担当している従業員に業務が集中するようになります。

そうなると担当者は大量の業務をこなすために長時間労働をする必要が出てくるでしょう。

また、長時間働くことによる疲労の蓄積は、業務効率を下げることにつながったり、心身の健康を損ねたり、会社への不満を抱えたりすることによる休職や退職といったリスクも考えられるでしょう。

このように、業務属人化が平常化することは、業務のさまざまな面にリスクがあると考えられます。

業務属人化解消のメリット

業務の属人化は、一般的に「業務標準化」=マニュアル化をすることで解消できます。

では、業務属人化の解消でどんなメリットがあるのでしょうか。ここでは、業務属人化解消のメリット5つについて説明していきます。

業務やサービスの品質維持・向上

業務を誰でも対応できる状況にすることは、新人もベテランも関係なく、共通の業務フローで変わらない品質レベルの成果物を上げることが可能になります。

業務やサービスの品質を一定に保つことができるため、会社全体での業務や商品・サービスの品質が保証されることにつながることがメリットです。

また、業務のマニュアル化を進める中で、従来の流れや手順を見直し、改善できれば、品質を維持するだけでなく品質の向上や業務効率の改善まで叶えることができます。

働きやすい労働環境づくり

属人化を解消することで、従業員の働きやすい職場環境を作ることができます。

業務標準化により、業務マニュアルやFAQ(よくある質問)などの仕組みがつくられていれば、急な担当者不在となった場合でも他のメンバーが代わりに対応できるようになります。

そういった誰でも業務ができる環境を整えることは、特定の従業員に業務が偏るといった不公平感やこの業務があるために休暇を取りにくいといった閉塞感をなくせるため、従業員の働きやすさにつながります。

ナレッジの社内蓄積と共有

従業員がこれまでに培ってきた知識や技術・情報といった知的財産が蓄積されていくことは、業務属人化の解消により得られる大きなメリットです。

業務の属人化が当たり前となっていれば、担当者が退職した場合、社内にノウハウやナレッジは残りません。しかし、属人化の解消ができれば、個人のナレッジを会社組織として共有・蓄積することができるため、新しく業務に携わるメンバーの早期戦力化や部門全体のレベル底上げにつながり、会社全体の利益へとつながるでしょう。

テレワーク時の業務マネジメント

ここ数年で多くの会社が在宅勤務などのテレワークを導入しているかと思いますが、テレワークへの業務移行という面でも、属人化を解消することはメリットです。

テレワークでは、オフィスでの勤務と比べて個人の業務実態を把握しにくく、進捗状況の確認も難しいことが多いでしょう。

そのため、業務標準化や見える化を進め、業務内容を社内全体で把握できるようにしておくことで、テレワーク時の業務マネジメントもしやすくなります。

人材の入れ替わりへの対応

もともと日本の企業では、新卒一括採用に代表されるメンバーシップ型雇用が主流で、世界的に人材の流動性が低いとされていました。

しかし近年は、終身雇用を求める人が少なくなっており、ジョブ型雇用の活発化や働き方改革による多様な働き方の促進もあり、人材の流動性は高まっています。

業務属人化が蔓延していると、人材の入れ替わりに対応するのは難しくなります。

これからますます人材の流動性が高まることに備え、業務属人化を解消しておくことはメリットになるといえるでしょう。

業務属人化を解消するための具体策

業務属人化が企業にとって良い方向に働く場合もゼロではありませんが、起こるリスクや解消によるメリットを考えるとなるべく早く解消した方が良さそうだと思う方も多いのではないでしょうか。

ここでは、業務が属人化している状況を解消するには、どうしたらよいかを見ていきたいと思います。

業務責任の分散化

業務の権限や責任が特定の従業員に集中することは、属人化を引き起こしやすいと言えるため、権限や責任を分散化することで業務属人化を解消できます。

業務についての権限・責任をもつ従業員が複数いることで、特定の担当者が不在となってもスムーズに業務が遂行できる体制を築けます。

しかし、これは全社的な業務改善の一環であり、業務属人化を解消する必要性を経営陣が理解し、社内の体質改善に向けた方向性を提示することも求められるでしょう。

業務の棚卸しと見える化

業務属人化の解消には、まず担当者がどんな業務をしているのか業務の流れや社内ルールなどを棚卸しすることからはじめていきましょう。

いつ、どこで、だれが、どのように遂行しているのか、手順や業務内容をしっかりと見える化し、最適な手順となっているか見直しをすることで業務効率の改善や最適化も期待できます。

業務内容を棚卸しし、明確にしておくことがこの先に紹介する解消法にもつながってくるため、属人化解消に向けて最初に取り組むべきタスクといえるでしょう。

業務マニュアルを作成・共有する

業務属人化の解消には、業務を標準化・マニュアル化することが必須であり、そのための最も基本的な対応として、マニュアルの作成や共有があげられます。

属人化している業務のマニュアルを作成することでほかの従業員も業務内容や流れを理解し、担当者が変わっても一定の品質を担保できる状態にすることが理想的です。

また、マニュアルを作成することに加えて、全従業員がいつでも閲覧・確認できる状態にしておくこと、つまり情報の透明性も重要となってきます。

ナレッジマネジメントを進める

ナレッジマネジメントとは、企業や従業員が持つ知識やノウハウを全員で共有し、企業活動に活かしていく経営管理手法のことをいいます。

名刺情報や営業進捗情報などをデータ化し、一元管理することで担当者の休職・退職などによる情報損出を防げます。従業員が持つノウハウや情報の属人化を解消するためには、これらのナレッジを個人ベースではなく企業ベースで管理する体制が必要です。

業務属人化解消におすすめのツール

属人化の解消に効果的なツールには、さまざまな種類があります。ここでは種類別に3つのおすすめツールを紹介しますが、自社の状況に合わせて最適なツールを選んでいきましょう。

マニュアル作成・共有システム Teachme Biz

https://biz.teachme.jp/

業務属人化を解消する際に必須なのがマニュアル作成です。

そのマニュアルを簡単に作成・閲覧・管理できるクラウド型のマニュアル作成ツールが「Teachme Biz」で、画像・動画ベースのわかりやすいマニュアルを簡単に作成できる点が魅力です。また、キーワード検索が利用できるため、作成したものを共有する際にも簡単に共有することができます。

社内wikiiツール NotePM 

https://notepm.jp/

社内版ウィキペディアで、社員が自由に情報を書き込み、知識を蓄積できます。蓄えた情報は検索したり閲覧したりすることができ、社内のことで知りたい情報を素早く入手できるシステムです。

「NotePM」は、高機能エディタとテンプレートでパソコンに疎い人でも簡単に文書を作成できる、Word・Excel・PDFなど、ファイルの中身も全文検索できるといった特徴があるため、使いやすさ重視で選びたい場合におすすめのツールです。

社内向けAIチャットボット HiTTO

https://hitto.jp/)

チャットボットとは、チャット上でボットと会話するプログラムのこと。

チャット上でわからないことを質問すると、ボットが回答を提示してくれるため、従業員は目当ての情報を簡単に得られます。

「HiTTO」の共通AIは日本中の企業でよくある問い合わせを事前に学習させているため、最初から簡単に使いやすい状況が整っています。初期費用0円と導入しやすい料金設定なのも魅力的な点です。

業務属人化の解消にAUTOROが役立つ

Web Auto Robot「AUTORO」は、安価・手軽に導入可能なクラウド型のRPA(Robotic Process Automation)です。

高度な専門スキルが求められる部署ほど、能力の高い担当者は専門的なスキルや知識を要する業務に忙殺され、マニュアルを作成したり共有したりするという余裕はなくなるでしょう。

そんなとき、日々のルーティンを自動化してくれるロボットを活用することで、業務の属人化解消に向けた作業へ取り組む時間を生み出してくれます。

AUTORO導入事例

技術系インターネット広告代理店株式会社フルスピード様では、レポート作成・集計業務といった日々の些細な作業を自動化することでその時間を他の業務へとあてられるようになりました。

そのほか、AUTOROを活用することで

  • 採用業務での採用スカウト
  • 経理業務の領収書や請求書の処理
  • 営業部門のアタックリスト作成
  • 労務管理の打刻チェック

といったことを自動化し、業務属人化の解消へと空いた時間を有効活用することができるでしょう。

業務属人化を解消することで組織の生産性を高めよう

本記事では、業務属人化によるリスクや起きる原因、解消することのメリットやその解消方法について解説しました。

業務属人化を解消することは、業務の効率化はもちろん、労働環境の是正にもつながってきます。

自社の属人化について現状把握をした上で、属人化解消に向けた動きを進めていく際の参考にしていただけたらと思います。

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この記事を書いた人

Mori
Mori

2023年1月にオートロ入社。 主にイベントやセミナーの運営、web広告の運用を担当しながらマーケティングを勉強中。 趣味は映画鑑賞でたまに怖い映画を見るのが好きです。 東京育ちでお気に入りスポットは上野。