営業は売り上げを作り出す経営の要(かなめ)です。一方、コミュニケーションや移動、事務作業など付随する業務も多く、業務量が肥大化しやすいのも営業部門の難点。営業部門の生産効率を高め、より売り上げや利益率を高めたいとお考えの企業は少なくありません。
属人化しがちな営業にも、実は効率化できるポイントはいくつもあります。この記事では営業部門の業務効率化のポイントと事例をご紹介します。
営業の業務効率化とは
業務効率化とは、無駄な業務を削り、コア業務に集中できるようにすることで、成果を最大化することです。営業部門であっても、業務効率化の趣旨や目的は他の部門と大きくは変わりません。
営業部門が他の部門と異なる点は、直接売り上げを生む部門であること、そして完全なルーティン化が難しい業務が発生しやすいことです。書類作成や移動、メール、データ管理など、直接売り上げを生まない業務も少なくありませんが、これらを単純に削減しようとすると営業力の低下にもつながりかねません。
つまり営業部門の業務効率化は、どの業務に時間を割くことが営業部門の売り上げに最も効果が高いか、どの業務は時間短縮を図っても売り上げに大きく影響しないか、を慎重に見極めながら進めていかなければいけません。
「営業業務は効率化できない」は思い込み
「そもそも営業部門は、業務の削減や効率化なんてしたら売り上げが下がってしまう」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。しかしそれは間違いです。下記のような点を意識すると、営業部門で業務効率を高めるポイントが見えてきます。
1. まずは意識改革
「本当にこの業務には意味があるだろうか?」という疑問を持つことが、業務効率化の第一歩です。様々な業務の目的やゴールを明確にすると、目的にそぐわない業務を減らすことができます。例えば会議の目的を意識させることで、会議の生産性が高まったり不要な会議がなくなるかもしれません。あるいは商談準備でも「実は時間をこんなにかけなくても、営業成果は変わらないのでは?」と気が付くことで、商談前の資料作成の時間が短縮できることがあります。
2. コストパフォーマンスを計測する
経路別の売り上げを見える化や、各受注にかかっている工数の見える化にも取り組んでみてください。「実は見込みの薄い顧客に時間をかけていた」「実は新規受注を追いかけるより既存顧客を育成するほうが売り上げにつながる」といった、今までにない気づきがあるかもしれません。その分析に基づき営業リソースを適切に分配し、売り上げにつながらないことに時間をかけすぎないことで、業務の効率化が進むことがあります。
3. ルール化・フォーマット化する
何かと属人化しがちな営業部門ですが、業務が属人化してしまうとアウトプットの質にばらつきが出たり、業務効率化がなかなか進まない原因になったりします。営業に使う提案資料をフォーマット化する、特定の条件を満たさない顧客には訪問営業をしない、などルール化やマニュアル化を進めるだけでも効率化は実現できます。現時点で属人的になってしまっている業務を洗い出し、いかにそれらをルール化・マニュアル化できるかを考えてみましょう。
3. ツールを活用する
近年、ITツールの進化には目覚ましいものがあります。営業向けのITツールだけでも、顧客の情報をデジタルに管理できるSFA/CRM、訪問することなく商談ができるオンライン商談システム、契約に関する承認・捺印・管理業務をデジタル化できる電子契約、定型業務や事務作業を自動化できるRPAなど、自社の課題によっては導入するだけで業務効率化が見込めるツールもあることでしょう。業務効率化にあたり何がボトルネックになっているのかがわかったら、こういったツールによる解決が可能化も併せて検討することをお勧めします。
営業部門の業務効率化の進め方
営業部門で本格的に業務効率化を始めたいと思ったら、どんな手順で取り組むべきでしょうか?実は基本となる進め方は、営業部門でもそのほかの部門でも大きく変わりません。
1. 求める成果を決める
今部門内で改善しなければいけない指標は何でしょうか?売上げ、利益率の改善、残業時間の削減…ひとくちに業務効率化といっても、自社の状況によって目標とすべき成果は異なります。まずは自社で何を目的に業務効率化を進めるのかを検討しましょう。
2. 現状を把握する
求める成果が決まったら、その成果に関連する要素が今どのような状態なのかを把握しましょう。例えば売り上げ向上が目的であれば、実際の売り上げデータを見てどの時期にどんな商材が売れているかを分析したり、売り上げに関係する各部署がどのような活動でどのような成果を上げているかを分析したりします。あるいはデータの分析だけでなく、実際に現場を観察して、売り上げを上げるために日々どんな業務にどれくらいの時間をとっているのかを知るという方法もあります。データと現場の両面から、現状把握をしてみてください。
3. 仮説を立てる
現状を踏まえ、「このような業務が売り上げを高める邪魔になっているのではないか」「このような取り組みをしたら売り上げが上がるのに、そこに人や時間が足りないのではないか」といった仮説を立てます。仮説は1つだけでなく、複数の仮説を立てることをお勧めします。
4. 取り組み方を複数検討する
例えば営業の移動時間が多いことが一日の商談件数のボトルネックになっており、売り上げが伸びなくなってしまう原因になっているとしましょう。その場合、「オンライン商談を取り入れる」「ターゲットによっては訪問NGにし、資料のみ送付する」など様々な解決方法があります。また、オンライン商談を取り入れるにしても、「初回商談だけはオンラインにする」「全体をオンラインにする」「大規模プロジェクト以外の提案はオンラインにする」など、進め方は複数あります。それぞれの進め方について、メリット・デメリットを十分に検討してください。
5. KPIを定め実際に取り組む
改善に取り組む前に、いつまでにどんな成果が出れば成功か、指標を用意し計測できる状態にしてからスタートします。改善の実施後には振り返りを実施し、実際に狙っていた成果が出たか?出なかったのはなぜか?成果が出ていたら、次はどう展開できるか?などの観点から、次のアクションにつなげていきます。
営業の業務効率化事例
ここからは実際に営業の効率化を成功させた事例について、特に「業務自動化」の観点からご紹介します。
1. お問い合わせ対応を自動でタスク化
顧客からの問い合わせや新規の申し込みをメールで受け付けている場合、内容も重要度も様々なメールが届いてしまって本当に大事なお問い合わせに対応できない場合があります。RPAを使って重要なメールだけを自動で抜き出してタスク登録することで、対応の抜け漏れをなくすことができます。
2. アタックリストの自動生成
BtoB企業であれば、営業に欠かせないのがアタックリスト。しかしアタックリストを内製しようとすると手間がかかり、コピペ作業だけで一日がつぶれてしまうこともあります。この事例ではアタックリスト作成業務を自動化することで、人手も費用も気にせずに自由にリストを作れるようになりました。
3. 反社チェックや与信業務の自動化
同じくBtoBであれば、いざ契約というタイミングで反社チェックや与信調査などが必要になります。これもRPAで自動化することで業務効率を向上させることができます。
4. 保険審査の通過状況を自動通知
BtoBだけではありません。ある保険総合代理店では、お客様との契約に必要な審査の通過有無を、今までは営業自身が各保険会社に確認に行かなくてはいけませんでした。この審査状況を自動で通知される仕組みをRPAによって作ったりあげた事例を、こちらの記事で紹介しています。
終わりに
営業部門にも、実は業務を効率化する方法がたくさんあります。自社の営業プロセスで自動化できる部分はないか、自社と似た課題感で業務効率化に成功した事例がないかなど、気になることがあれば専門家に聞いてみることをお勧めします。
弊社でも、RPAによる自動化を中心に多数の事例をご紹介可能です。是非お気軽にお問い合わせ下さい。
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