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「ChatGPT Enterprise」とは?料金や始め方、企業向けの新機能

現在ChatGPTの需要は急増しており、発表以来フォーチュン500の企業の80%以上がすでに業務で活用しているという結果も出ているほどです。そこでOpenAIが「企業向け」に発表したのが、「ChatGPT Enterprise」。今回は、ChatGPT Enterpriseとはいったい何か、特徴的な機能や利用料金について確認していきましょう。

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ChatGPT Enterpriseとは?

ChatGPT Enterprise(チャットジーピーティーエンタープライズ)とは、OpenAIが2023年8月に発表した、GPT-4搭載の企業向け生成AIサービスです。従来のChatGPTで設けられてきた一定の制限が撤廃され、より向上した機能性・セキュリティとプライバシーの安全性が注目されています。最大2倍の速さで応答でき、さらにはより長い文章や資料への対応、高度なデータ分析機能、カスタマイズオプションなども無制限で利用可能です。

GPT-4とは?

GPT-4とは、2023年3月14日に公開されたOpenAI開発の大規模言語モデルの一種で、ChatGPT上では有料版の「ChatGPT Plus」から使用できます。無料版と比較すると、より自然な対話が可能で、コンテンツ生成の精度も大幅に向上しています。

ChatGPT Plus以外でも、GPT-4は、BingのAIチャットに搭載されており、さらにAIチャットサービスPoe上でも、一部制限はありますが無料で利用可能です。ちなみに、Bingは「Bing Chat Enterprise」という法人向けのAIチャットツールも提供しています。

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ChatGPT Plus(有料版)とは?

ChatGPT Plusは、GPT-4を搭載したChatGPTの有料版で、月額20ドル(日本円で約2900円前後)で利用できます。GPT-3.5モデルの無料版と比較すると、より自然な対話ができ、回答の精度、速度ともに向上しています。さらに、以下のような特徴も無料版と異なります。

  • 混雑時に優先的にアクセスできる
  • 24時間サポートが利用できる
  • 新機能の先行利用ができる
  • ストアから500以上の無料プラグイン(機能拡張)を利用できる
  • インターネットに接続され、最新情報に基づいた回答ができる(ブラウジング機能)

無料版は2021年後半までのデータを学習しており、基本的にはインターネット上の最新情報に対応できません。それに対して、有料版ではブラウジング機能により、インターネット上の情報に基づいた正確性の高い回答が可能です。またプラグインや優先アクセス、サポートや先行利用など、本格的にAIを活用したい方にとって非常に価値ある機能が備わっています。

ChatGPT Enterpriseの特徴3つ

一般のChatGPTとは異なる、ChatGPT Enterpriseの特徴は以下の通りです。

  • 企業向けで性能が高い
  • GPT-4を無制限で利用できる
  • データ学習に使用されない

一つずつ確認していきます。

企業向けで性能が高い

ChatGPT Enterpriseはビジネスに特化したサービスであり、一般向けのChatGPTとは異なり企業向けに設計されています。新しく専用の管理コンソールが追加されたことで、企業はアカウントを個別に作成したり、支払い情報を再入力したりする必要がなくなり、ユーザーの追加や削除を容易に行えます。分析ダッシュボードを利用すれば、サービスの利用状況が確認できます。

加えて、従業員が共通のワークフローを簡単に構築できる、チャットテンプレートの共有機能や、機能をカスタマイズするためのOpenAI APIの無料クレジットも提供されるなど、機能性が非常に充実しています。

また、Code Interpreterといわれる高度なデータ分析も無制限に利用でき、これを活用すると、技術的なチームだけでなく、非技術的なチームも情報を瞬時に分析できます。例えば、金融研究者が市場データを解析し、マーケターが調査結果を分析し、データサイエンティストがETLスクリプト(データの抽出、変換、読み込みを自動化するスクリプト)をデバッグする際に有用な機能です。

Code Interpreter(コードインタープリター)

ChatGPTの機能の一つで、プログラミングコードの生成、実行、評価を行うことが可能。具体的にはデータ分析、データ処理、レポート作成、プログラミングのサポート、コーディングのアドバイス・修正などで優れた効果を発揮する。現在、有料版のChatGPT Plusユーザーはこれを利用可能。

GPT-4を無制限で利用できる

ChatGPT Enterpriseは無制限で、かつ、より高速なGPT-4が利用でき、長文の入力にも対応します。そのため、より複雑なタスクや大規模なプロジェクトにおいて、優れた効果を発揮すると考えられます。

入力できる文章の長さは、最大で32,000トークン(テキストを構成する最小単位)に対応し、従来のChatGPTの約4倍の長さともいわれます。またトークン数に対応した文字数の目安は以下の表の通りです。

ChatGPTChatGPT Enterprise
最大トークン数409632,000
文字数(※英語15,000〜2万字(4000単語)程度まで16万字(7000単語)程度まで
日本語2000字程度まで15,000字程度まで

ChatGPTをはじめとするAIモデルは、文字数とは異なる「トークン」といわれる最小単位でテキストを処理します。英語では基本的には1単語(アルファベット4〜5文字)=1トークンで、日本語の場合は1文字=2〜3トークンを消費します。ここでの「文字数」が英語と日本語では異なっているのはそのためで、一般的には英語で入力する方がより長い文章に対応できます

ChatGPTの「トークン」について詳細は、以下の関連記事をご参照ください。

ChatGPTのトークンとは?【完全初心者向け】

データ学習に使用されない

ChatGPT Enterpriseでは、ユーザーが入力したプロンプト(AIに対して入力する指示や質問のテキスト、メッセージ)やデータはモデルのトレーニングには使用されません。会話が学習されないため、企業の機密情報なども安全に扱えるようになります。

また、セキュリティはSOC 2に準拠しており、すべての会話データを転送中・保存中ともに暗号化することにより、ユーザーのデータの機密性とプライバシーが確保され、セキュリティ保護レベルを向上させています。

さらに、新しい管理コンソールではチームメンバーの管理を単純化できます。ドメイン検証、シングルサインオン(SSO)、利用状況に関する詳細な情報が得られ、企業内での大規模な導入もスムーズに実現します。

データの取り扱いについて詳細は、プライバシーページおよびトラストポータルを参照してください。

SOC 2(Service Organization Control Type 2)

米国公認会計士協会(AICPA)によって開発された、国際的なサイバーセキュリティ・コンプライアンス・フレームワーク(CSF)のこと。企業や組織がサービスプロバイダを選定する際、SOC 2の認証があることは、そのサービスプロバイダが高水準のセキュリティ対策と信頼性を確保していることを示す。

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ChatGPT Enterpriseの利用料金は?

ChatGPT Enterpriseの利用料金は公表されておらず、公式サイトでは「要問い合わせ」とされています。おそらく、OpenAIのChatGPT Enterpriseチームは大量のリクエストを処理中のため、問い合わせ後すぐに利用開始することは難しいと考えられます。

ちなみに、ChatGPT Plusの利用料金は月額20ドルで即座に利用開始できます。

ChatGPT Enterpriseの始め方

現在、ChatGPT Enterpriseの利用を開始するには問い合わせを行う必要があります。手順は以下の通りです。


  1. https://openai.com/contact-sales にアクセスする

  2. 下にスクロールして、必要事項(※)を入力する
  3. 「submit」から送信後、ChatGPT Enterpriseチームからメールが届くので確認する
  4. OpenAIからのコンタクトを待つ

※入力(選択)事項:名 、姓 、ビジネスメール 、会社名 、役職名 、会社ウェブサイト 、会社規模 、業界 、本社所在地 (国)、「当社のどの製品またはサービスに興味がありますか?  」

ChatGPT Enterpriseと無料版・有料版との違いは?

ChatGPTは現在、無料版・Plus・Enterpriseの3つのプランが提供されています。それぞれ利用料金や、使用できるモデルや機能性、セキュリティレベルなどが異なり、Enterpriseが最も高性能です。

以下は3つのプランの比較表です。

ChatGPT(無料版)ChatGPT Plus(有料版)ChatGPT Enterprise
用途個人向け個人向け企業向け
利用料金無料20ドル/月要問い合わせ
モデルGPT-3.5GPT-4GPT-4
回数制限無制限50回/3時間無制限
機能基本のチャット・高度なデータ分析
・ブラウジング機能
・プラグイン・
混雑時の優先接続
・24時間サポート
・ベータ版機能への早期アクセス
など
・ChatGPT Plusの全機能(無制限)
・最大2倍の速さ
・セキュリティ強化
・最大トークン拡大
・データのトレーニング使用なし

ChatGPT Enterpriseはどんな企業に向いてる?

ChatGPT Enterpriseは未だ詳細が明かされていない部分が多いため、ここまで見てきた機能から推測すると、ある程度従業員規模の大きい企業にとって、より有用なツールになるのではないかと考えられます。提供される価格にもよりますが、ユーザー数が少数の小規模企業では、機能を持て余す可能性があります。

今後、企業で利用するならChatGPT Plusか、それともEnterpriseか、どちらがより効果的なのかについては意見が分かれるかもしれません。

まとめ

ChatGPT Enterpriseの特徴や始め方、利用料金、無料版や有料版との違い、そしてどのような企業に向いているかについても紹介していきました。

ChatGPT Enterpriseは、企業向けに設計された高性能なテキスト生成AIで、ビジネスに特化した新たな機能も多数追加されています。ビジネスにおけるAIの活用を徹底したい方は、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。

ChatGPT Enterpriseの公式サイトはこちら

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参考サイト:

ChatGPT — Release Notes | OpenAI Help Center
Introducing ChatGPT Enterprise
ChatGPT Enterprise
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