生成 AI 搭載のGoogle検索「SGE」とは?日本語版の使い方解説

生成AIを用いた、Googleの新たな検索体験「SGE」の試用運転が日本で開始されました。
そこで今回は、SGEの概要やメリット・デメリット、始め方、使い方をご紹介します。
また、Bing AIチャット、Google Bardとの違いも紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事を読んでわかること
  • SGEの概要、始め方、使い方
  • SGEとBing、Bardの違い
  • SGEのメリットとデメリット

SGEとは?

SGE(Search Generative Experience)は、Google検索と生成AIを融合させた、新しい検索体験を提供する機能です。

ユーザーがテキストを検索すると、AIはその文脈を理解し、複数のウェブサイトから情報を引用し、要約を自動生成して検索結果の最上位に表示します。これには、目的に合致した関連性の高い情報を、迅速に入手できるという利点があります。

SGEは日本で使える?

米国では5月から提供が開始されていましたが、2023年8月30日に、日本でもSGEの日本語版の試験運用が開始されました。一定の条件を満たしているユーザーは誰でも利用できます。

SGEの始め方

SGEを使い始めるには以下の用意が必要です。

  • Google Chromeブラウザ(PC)またはGoogleアプリ(iOS、Androidスマホ)
  • 「個人の」Googleアカウント(注:Google Workspace アカウントは使用不可)
  • 18歳以上であること

ここからはSGEを始める手順を、

  1. スマートフォン
  2. PC

の順で説明していきます。

 

スマートフォンから始める

まずはじめにストアで「Google」アプリをインストールする必要があります。

 ▶️ iOSはこちら→「Google アプリ」をApp Storeで
 ▶️ Androidはこちら→Google Play のアプリ


※画像左の「Chrome」ではSGEを利用できません。


ログインしていることを確認し、左上の「Seach Labs」を開きます。(表示されない場合は利用不可)


SGEを有効にします。


「例を見る」からSGEが反映された検索結果を確認できたら完了です。

PCから始める

  1. Google Chromeを開く(シークレットモードになっていないことを確認する)
  2. Googleの個人アカウントにログインしてあることを確認する
  3. ブラウザの上部にある「新しいタブ+」をクリックして新しいタブを開く
  4. 右上のSeach Labs」をクリックする(表示されない場合は利用不可)

  5. SGEを有効にする

  6. 利用規約に同意する

  7. 「例を見る」からSGEが反映された検索結果を確認できたら完了

SGEの使い方

SGEを使う流れは以下の通りです。

  1. 「Search Labs」{https://labs.google.com/search/experiments?source=ntp }からSGEが有効になっていることを確認する
  2. 任意のキーワードや質問を入力し、検索する
  3. 検索結果にSGEの回答が表示される

  4. 続ける場合は「追加で聞く」をクリックする

  5. チャット画面に移行し、気になることを質問したり、条件を提示して回答の範囲を狭める

  6. 必要であればそのままチャットを続ける

「やり直す」をクリックすると、以下のような画面になります。

どれかを選択しクリックするか、「質問をする」からテキストを入力して、新たに検索・チャットが始められます。

SGEとBing AIチャットとの違いは?

GoogleのSGEは、Edgeブラウザで利用できるBing AIと非常に類似しています。共通していることとして、完全に無料で使えるということ、スマホアプリでPCと同様の機能が使えること、そして、ユーザーが入力した検索キーワードや質問に対し、明確に引用元のサイトを示して、回答を生成できることなどが挙げられます。

【最新】Bing AIチャットの始め方・使い方とChatGPTの違い、生成のコツを解説【Bing Chat Enterprise】

GoogleのSGEの圧倒的な違いとしては、回答速度の違いが挙げられます。Bing AIは回答が終わるまで数秒〜1分ほどかかりますが、SGEは数秒で回答が表示されます。

また、Bing AIでは回答のスタイルを「創造的に/バランスよく/厳密に」の3種類から選べることに対し、SGEではそのような設定はありません。

さらに、Bing AIはAIツールとして独立しており、検索結果の画面からでなくても、新たなチャットを開始できます。SGEと比べると、より会話形式に近い生成AIといえます。このため両者は適している使用用途も異なります。

Bing AIチャットはコンテンツ生成に優れており、コードやメール、物語などのテキストベースのコンテンツ、そしてDALL-E2を元にした画像生成もチャット上で可能です。現時点でSGEにそのような機能は見られず、あくまでもこちらは検索体験を中心とした機能であるといえます。

DALL・E 2の使い方ガイド|始め方から料金、商用利用について解説

SGEとBardとの違いは?

同じくGoogleが提供している、対話型AI「Bard」は、検索エンジンではなく「創造的なパートナー」という位置付けをされています。SGEとBardでは、使用する用途や目的が異なるため、例えば特定の話題や商品などについて調べる時には「SGE」、対話を通じて何かコンテンツを作りたい、あるいはアイデアを形にしたいという時には「Bard」という使い分けができるかと思います。

また、両方ともチャット形式で利用できますが、SGEはチャットの履歴が残せない(検索履歴や訪問サイトの履歴のみ残る)のに対し、Bardはチャットの履歴を保存でき、複数のチャットを同時進行で進めることができる点も大きな違いとして挙げられます。

Google Bard(グーグルバード)の使い方|日本語版でできること【現Gemini】

ChatGPTとGoogle Bardの違いとは?わかりやすく解説|対話型AIを徹底比較

SGEのメリット

SGEを使用するメリットは以下の通りです。

  • 検索スキルが不要
  • 検索の時間を節約
  • 会話をするように詳細に検索
  • 出典元に簡単にアクセス

それぞれ詳しく確認していきます。

検索スキルが不要

SGEを利用すると、情報を調べる際に検索スキルが必要なくなります。

通常、求めている情報に迅速かつ確実に辿り着くためには、検索のテクニックに工夫が必要です。幼少期からインターネットに慣れ親しんでいる世代にはピンとこないかもしれませんが、上手く検索できるかは人によって異なります。初心者やインターネットに不慣れな人は、最適な検索の仕方がわからず、必要な情報にたどり着くまでに時間がかかることがあります。

しかしSGEを使えば、ユーザーは自然な話し言葉で質問を投げかけるだけで、SGEが関連性の高い情報を抽出し、回答してくれます。そのため検索スキルが要らず、誰でも簡単に求めている情報を簡単に獲得できます。

検索の時間を節約

SGEを利用すれば、情報を検索してから目的を達成するまでの時間が大幅に短縮されます。

例えば、あるユーザーが「美味しいコーヒーを淹れる方法」について知りたい場合を考えてみましょう。

通常、ユーザーはまず「美味しいコーヒーの淹れ方」というキーワードで検索し、検索結果で出てきた記事を開いて、求めている情報を見つけるまでそれを読み進めます。また、複数の記事を比較検討したり、検索キーワードを「コーヒー 淹れ方 コツ」と変えて再度検索を試みたりするかもしれません。

しかし、SGEを使用すると、最初に「美味しいコーヒーの淹れ方」というキーワードで検索するだけで、AIが生成した最適な回答が最上位に表示されます。つまり、複数のサイトを一つ一つ開いたりせずに、必要な情報に最速でアクセスできるため、検索にかかる時間が大幅に短縮されるのです。

また、会話形式で新たな条件を追加しながら検索を続けられるので、何度も検索し直す必要もなくなります。「美味しいコーヒーの淹れ方」の例でいえば、「コーヒーを淹れる時の温度と味の関係」や、「美味しいコーヒーを淹れるために必要な道具」など、様々な質問を追加できます。

もちろん、必要であれば検索結果の記事もそのまま確認できます。

会話するように詳細に検索

SGEでは、人と会話するように、曖昧で、尚且つ詳細な文章で検索できるようになります。

具体的には、Google公式のSGE紹介動画での例文を引用すると、

 “dress for an outdoor wedding in miami in a trending color with 2-day delivery”

といったような、長い文章での検索が可能です。日本語で訳すと

 「2日で届くマイアミでの屋外ウェディング用のトレンドカラーのドレス」

になります。これに関して、おそらく従来であれば、SGEで行った時と同じ検索結果が得られるまで、

 「屋外ウェディング ドレス」

 「ウェディングドレス トレンドカラー」

 「2日で届く ドレス」

などと、何度も別のキーワードで検索する必要があったかと思います。

このように、従来の検索エンジンでは、欲しい情報に最短で辿り着くために、簡潔で的確なキーワードをいくつも考える必要があったものが、SGEでは話しかけるように長い文章を1回入力するだけで、効果的な検索ができるようになります。

現在、日本語版ではまだ、SGEの稼働条件が不安定ですが、精度が向上すれば以下の例文のような入力での検索がスタンダードになるかもしれません。

  • 最寄りの駅から徒歩10分以内で、2LDKのアパート、家賃20万円以下の物件
  • 新宿駅周辺で、夜遅くまで開いている、安価で、料理が美味しい、綺麗な内装のレストラン
  • 10歳の誕生日パーティーで6人でできる面白いゲーム
  • 8月に行くアジア旅行での安全でリーズナブルな観光名所と行き方
  • 最新のスマートフォンモデルの中で、高性能カメラを持つものは?
  • 30代男性が体重を5kg減らすために、週に何回の運動が適切で、どんな種類の運動が良いのか?

ChatGPTなどの対話型AIの入力に慣れている方にとっては、このような検索の仕方は親しみやすいものに感じるのではないでしょうか?

出典元に簡単にアクセス

画像の赤枠部分に、SGEの回答の出典元となるサイトが4つほど表示されます。ここから該当のページに移動して、詳細を確認することができます。

また、上記画像の矢印で示している部分をクリックすると、SGEの画面が拡大され、以下のような画面になります。

これにより、どの部分が、どのサイトからの出典なのかが明確になります。

ただし、文章のうちどこが完全な引用で、どこがAIが作成した文章なのかは明記されていないため、必要な場合は自分でサイトを開いて確認する必要があります。

SGEのデメリット

続いて、SGEのデメリットは以下の通りです。

  • 情報の信頼性の問題
  • 創造性の欠如
  • 限定的な対応言語
  • SEOへの悪影響

SGEを適切に活用するためにも、丁寧に確認していきましょう。

情報の信頼性の問題

SGEはインターネット上の情報を活用するため、情報の信頼性に関する問題があります。

誤った情報が含まれていたり、AIによって作成された虚偽の情報が表示されたりする可能性もあり、またそれを正確に判断するのは難しいかもしれません。得た情報の真偽をすぐに鵜呑みにせず、必要に応じて自分で確認することが重要です。

創造性の欠如

SGEは検索結果の情報を生成することに特化していますが、創造性や独自性に優れたツールとは言えません。SGEでオリジナルのコンテンツやアイデアを生み出すのは難しく、クリエイティブな活動には向かないと考えられます。また他の生成AIでは定番の、ソースコードの生成も難しいようです。

検索結果としてコードを表示することには問題なさそうです。

限定的な対応言語

SGEは現在、米国、日本、インドでのみ提供されています。そのため、対応言語が限定されており、他の言語では上手く反応しない事例があるようです。今後のアップデート次第で改善されると思われますが、現時点で対応言語の少なさはデメリットの一つと言えるかもしれません。

SEOへの悪影響

SEOへの影響は、一般のユーザーには無関係かもしれませんが、サイトを運営していたり、Webマーケティングに関わっている人にとっては、極めて深刻な問題です。

SGEの登場によって、ユーザーは簡単に必要な情報にアクセスできるようになり、わざわざ検索結果に出た記事を開いて読む必要がなくなります。つまり、サイトのトラフィック減少やコンテンツ価値の低下、広告収益の減少などの悪影響をもたらす可能性があります。詳しくは下記記事で解説していますので、こちらをご参照ください。

生成 AI 搭載のGoogle検索「SGE」とは?日本語版の使い方解説

まとめ

今回はGoogleの強力なAI新機能SGEについてご紹介しました。まだ試用運転中なので精度はいまひとつですが、今後はさらに進歩した検索体験が可能になるかもしれません。まずは、実際にこの新たな検索体験を試してみることをお勧めします。

生成AIについての詳しい資料はこちら

生成AIについて独自にまとめた資料を無料でダウンロードいただけます。
2023年の生成AIトレンドから2024年のAI動向予想まで、活用例を含めてご紹介しています。

参考サイト:
Google Japan Blog: 生成 AI による検索体験 (SGE) のご紹介
Google 検索で AI が生成する概要を確認し、追加で聞く – Android
Supercharging Search with generative AI

この記事を書いた人

Ayuka Fujii
Ayuka Fujii

2023年3月〜オートロに従事し、現在は主にAI系の記事制作と公式X(@autoro_io)の運用を担当。初心者目線で親しみやすい記事作りを心がけています。趣味は日本全国のグルメマップを作ることで、行ってみたいお店の数が全国3000を突破しました。新潟生まれ新潟育ち。