新しいBingに搭載されたチャットAIについて、始め方から使い方、2023年7月に発表された、セキュリティ強化版の「Bing Chat Enterprise」、2023年11月1日から提供開始された、AI搭載のアシスタント機能「Microsoft 365 Copilot」についても解説しています。
さらに、対話型AI「ChatGPT」との機能比較表もご用意していますのでぜひ最後までご覧ください。
◎ 2023年11月14日、「Microsoft 365 Copilot」の最新情報を追加しました。
Bing AIとは?
Bing AI(BingのAIチャット)は、マイクロソフトが開発した「Bing」に搭載されているテキスト生成AIです。GPT-4*の技術を採用しており、人間のような自然な対話が可能な上に、ウェブ上の検索結果から抽出した最新情報を用いて、情報元のリンクとともに回答できるのが特徴的です。
ちなみに、ChatGPTでGPT-4を使おうとすると利用料金が発生しますが、Bing AIでは無料で利用できます。
*GPT-4とは、OpenAIによって開発された最新の大規模言語モデルで、現在は有償で提供されています。GPT-4の利用料金等は下記関連記事をご参照ください。
Bing AIのよくある質問
何ができる?
主に以下のような使い方ができます。
- 会話する
- 質問に答える
- 物語や詩、旅行プラン、プレゼン構成案などのテキストコンテンツ制作
- AI画像を生成する
これらは活用例の一部です。入力次第で様々な使い方ができます。
誰でも使える?
現在は順番待ちをする必要もなくなり、Microsoftアカウントを持っていれば誰でも利用できます。アカウント登録がまだの方は、こちらからアカウント登録(無料)を行ってください。
Bing AIの「順番待ち」
Bing AIは2023年5月4日にOpen Previewとして一般ユーザーに公開され、当時そのプレビュー版にアクセスするために順番待ちのリストに登録する必要がありましたが、現在はすぐに利用開始できます。
どうやって使う?
現時点では以下の使い方が確認されています。
- Microsoft Edgeブラウザ(Windows、Mac)
- Chromeブラウザ(Windows、Mac)
- スマホアプリ(iOS、Android)
2023年6月時点で一部ユーザーのみ、ChromeなどEdge以外のブラウザからBing AIが利用できるようになっているようです。Chromeから拡張機能を使って、Bingにアクセスする方法もあります。
ChromeでBingにアクセスできる拡張機能はこちら。
参考: GPT-4搭載のBing AIチャット、ChromeなどEdge以外のブラウザで利用可能に(要約)
無料で使える?
無料で使えます。
日本語に対応してる?
日本語に対応しており、自然な対話が可能です。
スマホで使える?
スマートフォンからもアクセスできます。iOSとAndroidで専用のスマホアプリが提供されています。
ChatGPTとの違いは?
Bing AIは、最新情報をもとに回答するため、検索エンジンの利用もできるのに対し、ChatGPTのデータモデルは2021年までしか対応していません。このように機能面で異なる部分が様々ありますので、詳しくはこの後の説明・比較表をご参照ください。
Bing Chat Enterpriseとは企業向けのセキュリティ強化版
引用:Introducing Bing Chat Enterprise
Bing Chat Enterpriseとは、Microsoftが2023年7月18日に発表したビジネス向けのBing AI チャットで、従来のものと比較してセキュリティが強化されているのが特徴です。
Bing Chat Enterpriseでは、ユーザーとビジネスデータは暗号化され、外部に流出することはなく、入力及び出力された情報は厳重に守られます。さらに、チャットデータは保存されず、Microsoftはそれを一切監視しません。そして、ユーザーのデータはモデルのトレーニングには一切使用されません。
つまりBing Chat Enterpriseは、AIの普及に伴って常に警戒されてきた、情報漏洩やデータ利用のリスクを解消し、「企業が安心して使えるチャットAI」の先駆けとも言える画期的なツールなのです!
プレビュー版は2023年7月18日から提供を開始しており、一般のユーザーの利用料金は1ユーザーあたり月額5ドルを予定しているとのこと。ChatGPT Plus(GPT-4)が月額20ドルであることと比較するとリーズナブルな価格設定です。
Bing Chat Enterpriseが使える「Microsoft 365 Copilot」とは?
Microsoft 365 Copilotとは、2023年3月16日に発表され、2023年11月1日から提供開始された、AIを使用して、さまざまなタスクやアクティビティに対してユーザーにパーソナライズされた支援を提供するデジタルアシスタントです。
Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Teamsなどの一般的なMicrosoft 365アプリと連携して、ユーザーの創造性、生産性、スキル向上を支援します。発表時のCopilotの利用料金は1ユーザーあたり月額30ドルでしたが、提供開始後もこちらに変化はないようです。
Microsoft 365 Copilotは以下のようにしてMicrosoft 365アプリと連携します。
- Wordで、新規や既存のドキュメントの下書き生成
- PowerPointで、プレゼンテーションの下書き作成
- Outlookでのメールの要約作成や返信の下書きを提案
- Teamsで、チャットの内容要約、会議の議事録作成
- Excelでデータ分析結果の視覚化
またMicrosoft 365 Copilotは以下のように業務をサポートできると考えられます。
- メールの優先順位付けや自動返信の作成を支援して、メール処理を効率化する。
- 会議の議事録や要約を生成して、欠席者の共有や会議の生産性を高める。
- データの分析結果を提示して、報告書作成やプレゼン資料作成を支援する。
- 関連ドキュメントを引用して、業務文書の作成を支援する。
- 社内データベースと連携して、営業活動で必要な情報を提供する。
- スケジュールやToDoリストを管理して、タスクの優先順位付けを支援する。
- ビジネス戦略立案のために市場調査データを分析し、意思決定を支援する。
さらに、プラグインを使用すると、Copilot はサードパーティのデータ、アプリ、およびサービスと直接接続され機能を拡大でき、これにより、
- 製品発売時の最新ニュースカバレッジなど、リアルタイムの情報を取得
- Figma でチームのデザイン ファイルなど、知識ベースの情報を取得
- ユーザーに代わってアクションを実行(RPA的な自動化)
などが可能になります。
また、Microsoft 365 Copilotは、言語理解力と、Microsoft 365が持つ膨大な業務データ、アプリケーションとの統合性に優れているため、今後のアップデート次第では、さらに高度なデータ分析・可視化や、業務自動化、チャット機能と連動させた顧客対応機能などが期待できそうです。
参考:Official Microsoft blog、Microsoft 365 Copilot の概要
Bing AIの始め方
以下の2種類の始め方を解説します。
- Microsoft Edgeブラウザ(Windows、Mac)
- スマホアプリ(iOS、Android)
Microsoft Edgeブラウザで使う場合
1. Download Microsoft Edgeにアクセスし、Microsoft Edgeをダウンロードする
2. Microsoft Edgeを開く
3. 右上のアイコンをクリックしてチャット開始、または、Bing AI にアクセスしてチャット開始
または、Edgeブラウザで何か検索した後に[チャット]を選択することで使用開始できます。
スマホアプリで使う場合
1. 【iOS】または【Android】でアプリをダウンロードする
2. 位置情報の許可などの設定をしてチャット開始
Bing AIの使い方
使い方は、入力フォームに質問や、実行したいタスク、漠然とした悩みなど、なんでも入力して送信するだけです。Bing AIが文脈を読み取り、的確な回答を生成してくれます。入力フォームの左のほうきマークを押して、新しくチャットを開始します。
また「箇条書きで」「300字程度でまとめて」など、細かい条件指定も可能です。このように、効果的な文章(プロンプト)を入力するコツは下記記事を参考にしてみてください。
Bing AIの特徴的な機能6つ
Bing AIの特徴的な機能をご紹介します。
- 回答のスタイルを選ぶ
- 回答の情報ソースとなるリンクを提示する
- 画像とテキストを同時に入力(マルチモーダル)
- Webサイトの要約
- 音声入力
- チャット上で画像生成
全てスマホアプリでも利用可能です。一つずつ見ていきましょう。
回答のスタイルを選ぶ
チャットの開始前に、「創造的に/バランスよく/厳密に」の3種類からスタイルを選択できます。
回答の情報ソースとなるリンクを提示する
回答に情報源となるリンクを表示します。脚注の番号と、「詳細情報」から該当するページが開きます。
画像とテキストを同時に入力(マルチモーダル)
ChatGPTは、テキストのみの入力にしか対応していませんが、Bing AIは画像+テキストで入力できます。画像認識技術が高く、例えば、商品の写真を追加すれば、その詳細情報や購入方法を簡単に検索できます。
このように「テキストと画像」といった複数の情報を同時に処理することを「マルチモーダル」と言います。2023年7月にGoogleの対話型AI『Bard』もマルチモーダルになったことで話題になりました。
画像入力の手順
1. ①画像URL貼り付け、②アップロード、③その場で撮影から選択し、画像を追加する
2. テキスト(「この画像について説明して」「この画像の計算をして」など)を入力して送信
画像を読み取って回答します。続けて画像に関する質問を続けることができます。
Webサイトの要約
入力フォームに、「要約してください。」というテキストと、任意のサイトのURLを送信するだけでサイトの要約が可能です。また、要約のほか、そのサイトに関する質問の回答も可能です。
音声入力
マイクをクリックして録音開始で、音声入力が可能です。文字を打つ必要がなくなります。
チャット上で画像生成
チャット上で画像生成ができます。使い方は、「[任意のイメージを入力する]の画像を作成してください。」と入力し送信するだけです。
例えば、「絵画のような」「写実的な」「コミック風の」などと、具体的なイメージを書き足すことで理想の画像に近づけられます。
先ほどの画像を「3Dアニメ風」に書き換えてもらいました。
Bing AI上の画像生成の技術には「DALL・E 2(ダリ・ツー)」が採用されています。DALL・E・2やそのほかの画像生成AIについては、下記記事で詳しく解説していますのでそちらをご参照ください。
Bing AIとChatGPT比較表
Bing AIとChatGPTはともに優れた対話型AIですが、その仕様や機能に違いがあります。例えば、ChatGPTはブラウザを問わずアクセス可能であることに対し、Bing AIは基本的にEdgeブラウザからしか利用できないという利用の手軽さ、さらに、インターネット接続の有無や、音声入力、画像入力の機能など、様々な違いがあります。これらをわかりやすく比較表にしていますので、ぜひ比較時の参考にしてください。
Bing AI | ChatGPT(無料会) | |
言語モデル | GPT-4 | GPT-3.5 |
使用可能な プラットフォーム | Microsoft Edgeなどで利用可能 | Webブラウザ、Slackなどで 利用可能 |
アクセス方法 | アカウント登録をしMicrosoft Edgeで利用可能 | アカウント登録をしWebブラウザや 他プラットフォームで利用可能 |
価格 | 無料 | ChatGPT Plusの有料プランあり |
特徴 | 検索の最適化、事実に基づいた回答、画像の生成・提示 | 汎用的なタスク実行、 より抽象的な質問に対応 |
回答の情報源 | 検索エンジンの検索結果 | 過去の学習データ |
情報ソースの提示 | 情報源のリンクを提示する | 情報源を提示できない |
生成 | 画像も生成可能 | テキスト生成のみ |
利用期限 | 1日150回の会話制限、 1回の会話内での制限あり | 1回の会話内の文字数制限あり、 会話回数制限なし |
Web検索のリアルタイムインデックス | Webに接続し、最新情報を取得可能 | モデルの訓練データからのみ回答可能 |
活用例 | 検索、具体的な製品についての質問、サイトの要約など | テキストベースのコンテンツ作成や要約、コード生成など |
回答速度 | 遅い | 速い |
音声入力 | ◯ | × |
画像生成 | ◯ | × |
URL読み取り | ◯ | × |
Bing AIを使うときの注意点
ChatGPTなどと同様に、AIを活用する際には以下の点に注意しなければいけません。
プライバシーとセキュリティの保護
Bing AIを利用する際には、個人情報や機密情報の取り扱いに注意が必要です。プライバシーポリシーを確認し、必要以上の個人情報を提供しないようにしましょう。
コンテンツの信頼性を確認
Bing AIが提供する情報は、一般的な検索結果やコンテンツの解析に基づいていますが、必ずしも正確な情報であるとは限りません。特に重要な情報や専門的な内容に関しては、複数の信頼性のあるソースで確認することが望ましいです。
モデルのバイアス
Bing AIは学習や検索結果に基づき回答しますが、そのトレーニングデータにはバイアスが含まれる可能性があります。回答の結果を常に批判的な目で情報を確認しましょう。
まとめ
新しいBingのBing AIについて、始め方と使い方、特徴をご紹介しました。PCに加え、スマホアプリでも同様の機能を手軽に利用できます。検索を代替する存在にもなり得るBing AI、この機会に一度使ってみてはいかがでしょうか。
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