コンプライアンスの重要性が高まる中、企業にとって「反社チェック」「コンプライアンスチェック」は欠かせないものとなっています。本記事では、反社チェックを気軽に行いたい方へ、Google検索を活用した方法を詳しく解説します。また、Google検索以外の他の方法やおすすめの反社チェックツールも合わせてご紹介します。
目次
反社チェックとは?
反社チェックとは、企業や個人が取引先や関係者が反社会的勢力に関与していないかを確認するための調査手法です。具体的には、取引先や関係者の背景を調査し、反社会的勢力との関わりがないかを確認します。
「反社会的勢力」(反社)とは、暴力や威力(※)、詐欺的な手法を駆使して経済的利益を追求する集団または個人の総称で、主に以下のような犯罪組織を広範囲に指します。
- 半グレ集団・詐欺集団
- 総会屋、社会運動標ぼうゴロ、政治活動標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団等
- 暴力団・暴力団関係者
- 条例上の規制対象者(密接交際者)
- フロント企業(企業舎弟)の役員や従業員等
「反社会的勢力」(反社)はこのように形態が多様であり、また、その時々の社会情勢に応じて変化する流動的な存在であることから、明確な基準をもって定義することは困難であると言われています。
もっとよく知りたい方は下記記事をご参照ください。「反社会的勢力」(反社)とは何か、その定義や範囲、見分け方などについて、弁護士監修のもと詳しく解説しています。
※威力:恐喝や脅迫などの精神的な圧力や、政治的なつながりや腐敗を悪用して行う賄賂などの不正行為による権力の乱用、資金洗浄(マネーロンダリング)などを含む不正な経済活動などの手法。
反社チェックが必要な理由
反社会的勢力との関係が発覚した場合、「知らなかった」では済まされません。政府の指針(2007年『企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針』)や各都道府県条例に基づく措置によって、反社会的勢力への資金力への遮断が各企業に求められており、企業は取引先や関係者の背景を十分に調査し、反社会的勢力との関わりがないことを確認する責任があります。
万が一、反社会的勢力との関係が明るみに出た場合、企業は罰則や行政指導など法的な制裁を受ける可能性があります。さらに、報道などを通じて企業のブランドイメージが大きく損なわれることになるため、取引先や顧客からの信用が失墜し、売上の減少や取引停止などの多大な経済的損失が発生する恐れがあります。
そのため反社チェックは、企業価値を守るために非常に重要であるといえます。反社チェックを徹底することで、企業価値を維持し、健全な経営を存続させることができます。
Google検索で反社チェックを行う手順
Google検索を利用して反社チェックを行う際の基本的な手順は以下の通りです。
- 調査対象範囲(どこまで調べるのか)の決定
- Google検索から「検索設定」を変更する
- 「語順も含め完全一致」に対象の社名や個人名などを入力する
- 「いずれかのキーワードを含む」に反社関連のキーワードを入力する
- 一番下の「詳細検索」をクリックする
続いて、以上の手順を順番に詳しく見ていきましょう。
1. 調査対象範囲(どこまで調べるのか)の決定
反社チェックでは、Googleで検索対象となる情報を入力し、検索します。ここでの検索対象は、社名のみならず、代表者名や社内外の取締役名などの個人名も含まれます。
また、対象の企業や関係する個人の他、対象企業と関係の深い企業、株主名まで範囲を広げてチェックする場合もあります。
反社チェックで検索すべき対象や調査する検索数は、企業によって様々考えられますので、自社がとれるリスクの範囲と工数に基づいてルール化しましょう。
どこまで調べれば良いのか迷う場合、詳しくは下記記事をご参照ください。
個人を対象にした反社チェックについては下記記事で詳しく解説しています。
2. Google検索から「検索設定」を変更する
Googleアカウントにログインしていることを確認し、https://www.google.com/ にアクセスします。画像に示しているように、右下の「設定」から検索設定を行うことができます。(Chromeのホーム画面には出てきませんので、上記URLよりGoogleの検索画面を開いているか確認してください。)
このうちの「検索オプション」を開きます。
以上のような画面になるので、ここから「語順も含め完全一致」と「いずれかのキーワードを含む」の設定をしていきます。
3. 「語順も含め完全一致」に対象の社名や個人名などを入力する
最初に選定した調査対象について、社名や、代表者名、取締役名などの個人名は「完全一致」で検索する必要があります。ただ単語を記入して検索するだけでは「単語の一部が使われた、似たような検索語での検索結果」も表示され、検索結果の精度が下がってしまいます。
このため調査対象の社名や個人名などは、検索設定の「語順も含め完全一致」の欄に1単語を入力しましょう。
4. 「いずれかのキーワードを含む」に反社関連のキーワードを入力する
検索語句は検索対象だけでなく、コンプライアンス違反を強く疑わせるような言葉と掛け合わせて検索することが、調査の質をあげるコツになります。掛け合わせる言葉も業界によって違いがありますので、掛け合わせ語のリストも作っておくと良いでしょう。
検索設定の画面で、「いずれかのキーワードを含む」の欄にキーワードを羅列していきます。Google検索では、何も記号を付けずに二つの単語を並べると「アンド検索(二つの言葉が含まれる検索結果を探す)」になります。二つの単語の間にORと書くことで、これを「オア検索(二つの言葉のどちらかが含まれる検索結果を探す)」に変え、条件を広げて検索結果を出すことができます。
以下はキーワードの例です。
5. 一番下の「詳細検索」をクリックする
検索設定の一番下にある「詳細検索」のボタンから実際に検索をして完了です。
Google検索で反社チェックを行うメリット・デメリット
Google検索で反社チェックを行うメリット・デメリットをご紹介します。
メリット
最新情報を取得できる
Google検索では、インターネット上に公開されている最新のニュースや情報を取得することができます。つい先ほどおこったような出来事もキャッチできるため、反社チェックの方法として非常に効果的であるといえます。
無料で手軽に実施可能
Google検索は無料で利用できるため、コストをかけずに反社チェックを行うことができます。また、インターネットに接続できる環境さえあれば、誰でも手軽に実施可能です。
迅速に情報を取得できる
Google検索を利用することで、短時間で多くの情報を取得することができます。特に急ぎの調査が必要な場合には、迅速に対応できる点が大きなメリットです。
デメリット
情報量が少なく信頼性に欠ける
Google検索で得られる情報は、必ずしも信頼性が高いとは限りません。特に、反社会的勢力に関する情報は公開されていないことが多く情報量が限られています。また、個人名の場合、同姓同名の人物の情報も含まれるため、得られた結果が調査対象かどうかも見極めも非常に困難です。
そのため得られた情報の信頼性は慎重に確認する必要があります。
手作業で行うには工数がかかる
反社チェックで検索すべき対象や調査する検索数は企業によって様々ですが、一例として、ある企業では上場準備期間に主幹事証券から「社名と代表者名を検索結果の10ページ目まで」と指示されたそうです。1ページに約10件のサイトが表示されるため、この場合は約100件のサイトを人の目で確認していかなければならないということになります。
これを手作業で行うのは膨大な工数を要します。また調査するのはたった1社ではなく、新たな取引を行うたびに何社分も、それぞれ100個のサイトをチェックしなければなりません。
さらに、反社チェックは1回だけ行えば良いというものではなく、契約更新時や、年一回などのタイミングで定期的に再チェックをしなければなりません。その間に新たに反社との関わりが行われている可能性も有り得なくないためです。
加えて、反社チェックをして内容に問題がなかったとしても、調査の結果(検索結果)はPDF等で保存・保管しておかなければいけません。自社がどのような調査を行ったかを示すため、またその時点で対象の企業や人物に問題がなかったことを示すため、証跡として残しておく必要があるのです。これについても手作業で行う必要があるという点も頭に入れておかなければなりません。
以上により、調査対象が増えてきたり、詳細な調査を行う必要があったりする場合には、Google検索以外の方法での反社チェックを検討する方が、現実的と言えるかもしれません。
Google検索以外で反社チェックを行う方法
反社チェックを行う際には、Google検索以外にも多くの方法があります。これらの方法を組み合わせることで、より確実な情報収集が可能です。
ホームページやブログの活用
企業や個人のホームページやブログを確認することで、反社会的な活動や関与の有無を調べることができます。特に、過去の活動や発言に注目すると良いでしょう。
SNS(X・Instagram・Facebook)の利用
SNSは個人や企業の活動をリアルタイムで把握するのに有効です。X(旧Twitter)、Instagram、Facebookなどでの投稿内容やフォロワーとのやり取りを確認することで、反社との関係性を見つけることができます。
新聞記事の検索データベースの利用
新聞記事の検索データベースを利用することで、過去の報道記事を調べることができます。これにより、反社との関与が報じられていないか確認することができます。
官報情報検索サービス(国立印刷局)の活用
官報情報検索サービスを利用することで、企業や個人に関する法的な情報を確認することができます。特に、破産や会社更生法の適用などの情報が掲載されています。
行政処分情報の確認サイトの利用
各省庁が提供する行政処分情報の確認サイトを利用することで、企業や個人が過去に受けた行政処分の履歴を確認することができます。
不動産登記情報の調査サイトの利用
不動産登記情報を調査することで、企業や個人が所有する不動産の情報を確認することができます。これにより、反社との関与が疑われる不動産取引がないか調べることができます。
国税庁の法人番号公表サイトの利用
国税庁の法人番号公表サイトを利用することで、企業の基本情報を確認することができます。これにより、反社との関与が疑われる企業の情報を調べることができます。
現地訪問による確認
最も確実な方法の一つとして、現地訪問があります。企業や個人の活動拠点を直接訪問することで、反社との関与を確認することができます。
反社チェックツールの活用
反社チェックを効率化・自動化する、反社チェックツールを活用するのも一つの手です。ツール導入後に必要となる作業は、調査など全ての工程が終了した後の、目視による最終確認のみになります。人為的なミスや情報の漏れ防止、取引先の増加への対応も可能になります。
下記記事で紹介しているツールを一度無料で試してみるのもおすすめです。
反社会的勢力の可能性が高いと判断した場合の対応
反社会的勢力の可能性が高いと判断した場合、企業は迅速かつ適切な対応を取る必要があります。以下に、具体的な対応策を示します。
専門調査機関への依頼
反社会的勢力の可能性が高いと判断した場合、専門の調査機関に依頼するのが効果的です。調査機関は、より詳細な情報を収集し、反社会的勢力との関係を明確にするための専門知識と技術を持っています。これにより確実な情報を基に適切な対応を取ることができます。
警察や暴追センターへの相談
反社会的勢力との関係が疑われる場合、警察や暴力団追放センター(暴追センター)に相談することも重要です。これらの機関は、反社会的勢力に関する情報を持っており、適切なアドバイスや支援を提供してくれます。特に、法的な対応が必要な場合には、警察や暴追センターの協力が不可欠といえます。
理由を伝えずに取引を中止する
反社会的勢力との関係が疑われる場合、理由を伝えずに取引を中止することも一つの方法です。企業は、取引先や関係者に対して具体的な理由を伝えることなく、契約を解除する権利を持っています。これにより、反社会的勢力との関係を断ち切り、企業のリスクを最小限に抑えることができます。
反社チェックはGoogle検索でもできる
この記事では、反社チェックの重要性や具体的な手順、Google検索を利用した方法、その他のチェック方法、そして反社会的勢力の可能性が高いと判断した場合の対応策について詳しく解説しました。
反社チェックを行うことで、企業は反社会的勢力との関係を未然に防ぎ、社会的信用を維持することができます。複数の方法を組み合わせて反社チェックを行い、リスク管理を徹底しましょう。
反社チェックの自動化なら「AUTORO」
反社チェックは企業のコンプライアンスにおいて非常に重要ではありますが、膨大な時間と労力がかかります。専任の従業員の追加や、外部業者への委託などにコストをかける前に、まずはツールでの自動化を検討してみてください。
資料から反社の自動化ができるRPAツール「AUTORO」の詳細をご確認いただけます。
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