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デジタライゼーションとは?DXとの違いや活用事例も含めて解説

最近、「2025年の崖」という言葉と共に「デジタライゼーション」や「DX」という言葉を頻繁に目にするようになりました。DXというキーワードについては以前から知っていたものの、デジタライゼーションとはなんだろう? と思われている方も多いと思います。今回は言葉の定義をしっかりと整理して、それぞれの違いを確認しましょう。そのうえで、自社の状況に合わせた取り組みができるようデジタライゼーション進め方や活用事例などを紹介していきます。

デジタライゼーションの定義

デジタライゼーションとはなにかを確認していく前に、デジタイゼーション・DXとの違いを整理しておきましょう。ただし、このような違いは明確に定義されているわけではありません。打ち合わせ資料や計画立案などで使う際には、部署や担当者によって認識が異なるかもしれないという前提のうえ、定義を確認することをおすすめします。

デジタイゼーションとは

デジタイゼーション(digitization)は、アナログ情報やアナログ的な作業をデジタル化することとして使われることが多いです。「アナログからデジタルへ移行すること」のみを指すこともありますが、ビジネスではアナログな業務をデジタル化することで、一部業務の効率化やコスト削減の実現を指すことが多いです。

デジタライゼーションとは

デジタイゼーションと同じようにデジタル化の意味で使われることもあります。しかし、ビジネスの現場では単なるデジタル化ではなく、デジタル技術を使った業務・プロセスの効率化や価値向上を指します。例えばRPAによる繰り返し業務の自動化により業務効率を上げたり、問い合わせ対応において深夜や祝日でも対応できるチャットボットを導入してサービスの価値を高めたりします。

デジタライゼーションとDXの違い

デジタライゼーションの発展型として、DX(デジタルトランスフォーメーション)を使う場合もありますが、デジタル技術の活用は目的のための手段です。DXの実現は組織や企業の変革をもたらします。つまりデジタル技術の活用によって業務プロセスや組織、企業文化などを変革したうえで、競争上の優位性を確立するのがDXです。

なぜ今デジタライゼーションやDXが注目されているのか

昨今、デジタライゼーションやDXが注目されていることにはいくつかの要因がありますが、なかでもインパクトが大きかったのは、経済産業省の発表した「2025年の崖」という内容を含むレポートでした。

2025年の崖

経済産業省は2018年に『DXレポート~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~』(デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会)を発表しました。この中ではまず、日本では少子高齢化が進み、2025年には人口の年齢別比率が変化、超高齢化社会になり労働力不足となることが懸念点として挙げられています。この影響はIT業界にもおよび、労働力不足に加えて既存ITシステムの複雑化、老朽化、ブラックボックス化が進むことや、2025年までにDX化が進まない場合、「セキュリティ課題」「サポート終了によって起こる事業への支障」「IT人材不足」などが深刻化すると予測されています。

結果的に、日本の経済界では最大で年間12兆円の経済損失が生じると推定されており、これが「2025年の崖」です。2025年の崖を乗り越えるためには、業務のデジタル化や企業のDX化が必須であるとしてデジタライゼーションやDXが注目されているのです。

デジタライゼーションをどのように推進するか

ではDX推進の前段階として、デジタライゼーションやデジタイゼーションをどのように推進していくといいのでしょう。行うべき準備とポイントについて確認します。

デジタライゼーションのための経営戦略を策定する

まず、DX化を念頭に置いたデジタライゼーションのための経営戦略を策定する必要があります。会社全体として施策を進めるためには、全社員がその方針を認識できる明確な指針が必要だからです。デジタル化のメリットや目的などを中長期的なビジョンで明示し、段階的にデジタイゼーションを推進していきます。

デジタル化を受け入れる風土を育む

会社全体での現時点のデジタル化および非デジタルの状態が、どの程度なのか現状を把握します。そのうえで非デジタルの部分で効率の下がっている業務を洗い出します。次に具体的にデジタイゼーションによる業務効率化の数値目標、例えば「残業ゼロ化」や「作業人数削減」などを設定します。

ビジョンと具体的な目標を明確にすることにより、社員の目標達成意欲を高めていきましょう。また、アプリやシステムを導入・刷新する場合でも、使う側の意識が変わらないと思うような効果は見込めません。デジタル化の意義や目的を社内に周知徹底し、デジタル化を推進する社内風土を作っていきましょう。

デジタイゼーションを推進するポイント

デジタイゼーションを効率的に進めるためには、注目すべき2つのポイントがあります。

特に非効率なアナログ部分からデジタル化する

既にデジタル化されている部分ではなく、アナログ的な業務をデジタル化し、シームレスなデータ連携を目指すことが大切です。なかでも、皆が問題視しているようなアナログ的業務から改善していきましょう。効果を社内で認識しやすく、推進活動に弾みがつきます。

IoT技術やRPAを導入し、業務の自動化・効率化を推進する

デジタル化を推進することはもちろんですが、デジタル化した業務を自動化すればさらに効率が上がります。ツールを有効活用し、総合的に効率化していくことが重要です。

デジタライゼーションの実行

次に、デジタライゼーションを実行時の注意点を見ていきます。

課題の解決策を検討する

製品やサービスの価値向上を阻害する課題を、デジタライゼーションの観点から考えます。課題の解決策が検討できたならば、具体的な施策と数値目標を定めます。例えばデータ分析から改善案を検討する業務において、「データ連携、連携したデータの図表・グラフ化まで自動化する」とデジタル化の施策を決めたあとで、「データ自動化によって改善案を作り上げるまでの期間を半分に短縮させる」のような考えです。

経営陣・バックオフィス・企画・開発・営業などが協調して施策を進める

デジタライゼーションが単なるデジタル化ではなく、製品やサービス、ひいては企業の価値向上を目的としていることを全員で認識しましょう。デジタライゼーションのための具体的な施策は、経営陣、バックオフィス、企画、開発、営業など、部門の分け隔てなく協調して進めます。

なお、デジタライゼーションは社内だけの施策とは限りません。デジタライゼーションはデジタル技術による付加価値向上や新しい価値を創造することが目的ですので、顧客にデジタライゼーションを提案することも多々あるからです。その場合もはじめに価値向上のターゲットを明確にしたうえで、実現する理想的な顧客体験を想定します。

デジタライゼーションの事例

最後は、デジタライゼーションの事例を紹介していきましょう。

求人広告サイト運営会社

ある求人広告サイト運営会社では、RPAの導入による業務効率化に成功しています。以前は広告掲載の検収遅延をしている顧客を担当者が目で見つけ出し、メールで検収の督促を行っていました。この工程にRPAを導入し、検収遅延の洗い出しから自動でメール送信をできるようにしたところ、担当者の事務作業を大幅に軽減できました。また、新規取引先の登録ではExcel出力したうえでの押印、PDF化、関係者の承認という一連のフローに多くの時間を要していましたが、その業務フローの一部にRPAを取り入れたことで時間の短縮と担当者の負担を軽減、年間1,500時間もの工数削減ができました。

教育事業(大学)

私立大学の事例です。この大学では、学生からのさまざまな問い合わせが年間3万件にもおよび、職員がその電話対応に忙殺されていました。この大学では状況を改善するために、チャットボット(対話型自動応答AIサービス)を導入。職員の応対負荷軽減に成功しました。チャットボットは24時間365日対応で学生の満足度も高く、回答のナレッジをチャットボットに蓄積することで、答えのばらつきが無くなり対応品質も向上させています。

金融業(信用金庫)

外回りの職員のために渉外支援システムとタブレット端末を導入した信用金庫の事例です。この信用金庫では、事務作業のシステム化により業務効率の向上に成功しています。外回りの職員は、帰社してからの事務作業軽減により営業活動に専念することができ、顧客情報や営業状況も簡単に、またスピーディーに支店や本部と共有できるようになりました。顧客情報の共有により、結果として営業力の強化も実現しています。

デジタライゼーションとDXは企業の生き残り施策

デジタイゼーションとデジタライゼーション、DXはそれぞれバラバラに存在しているものではありません。デジタイゼーションからデジタライゼーション、そしてその最終形がDXだと考えましょう。社会や業務のデジタル化が進むなか、社内業務だけでなく企業風土もデジタル化の推進が求められます。非デジタル業務は事業全体の効率化を妨げ、結果として顧客の要望にも応えにくくなるかもしれません。デジタライゼーションとDXは、企業成長に欠かせない施策だと覚えておきましょう。

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この記事を書いた人

Chiho Suzuki
Chiho Suzuki

2021年にオートロへジョイン。マーケティング領域に幅広く携わり、戦略策定から各種施策の実行まで一気通貫で行っています。最近はゲームと釣りにハマっています。