2023年11月、Duet AIがリリースされました。今回は、実際にトライアルを使ってみた感想、概要や始め方・使い方、利用料金などをまとめています。
またGoogleドキュメントやスプレッドシートなどのツールごとの使い方も合わせてご紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
◎2023年11月27日リリースを受けて、最新情報を追記しました。
目次
- Duet AI とは?
- Duet AI は2024 年に日本語対応予定!
- Duet AI の始め方
- Duet AI の使い方
- 【1】Duet AI × Googleドキュメント・Gmailでできること
- 【2】Duet AI × Google スライドでできること
- 【3】Duet AI × Google スプレッドシートでできること
- 【4】Duet AI × Google Meetでできること
- 【5】Duet AI × Google Chatでできること
- 【6】Duet AI × Google Cloud でできること(コーディングアシスト)
- Duet AI for Google Workspaceの利用料金
- まとめ:Duet AI を使ってみた感想
- 生成AIについての詳しい資料はこちら
Duet AI とは?
Duet AI(デュエット エーアイ)とは、2023年5月11日にGoogle Workspace blog内で「Duet AI for Google Workspace」という名称で発表された、Google上の作業をサポートする生成AI搭載の新機能です。ユーザーはDuet AIにテキストプロンプトを送信するだけで、瞬時に作業が完了します。
具体的には、
- コーディング補助
- スライドの自動生成
- ドキュメントやメールの自動生成
- スプレッドシートでデータ入力・複雑な計算式の生成自動化
- Meetでの議事録自動作成・編集
- チャットの最適化
などを、自然言語の会話形式で行うことができるようになります。
例えば、Googleドキュメントや Gmail上での執筆作業時には、Duet AIにお願いするだけで、最適なコピーや文章を自動で生成することができます。これにより、顧客メールの内容を考えたり実際に入力したりする時間の大幅な短縮につながります。Googleはこれについて、「かつては徹夜が必要だった土壇場でのリクエストも、今では夕食前に完了できるようになった」と述べ、作業効率向上の効果をを強調します。
このように、Duet AIは日頃 Google Workspace上で行っている業務と生成AIとのコラボレーションを通して、生産性向上を実現する画期的な機能として注目されています。
Duet AI for Google Workspaceをすぐに試したい方はこちら。
Duet AI は2024 年に日本語対応予定!
Duet AIは2023年8月30日に公開され、同年11月27日に正式にリリースされました。そして、2023年11月15・16日開催のGoogle Cloud NEXT ’23で、日本語対応は2024年と正式に発表されています。
同時に、Duet AIのデータ使用についても言及されていました。要約すると、
- ユーザーデータはモデルトレーニングに使用されない
- 権限制御によりデータ漏洩が防止されている
- ユーザーがデータを完全に制御できる
とのことで、企業にとって重要な安全性もカバーしています。
- Duet AIは、主にGoogle Workspaceの生産性向上を支援するAIアシスタント
- 自然言語での対話が可能
- 文章生成、会議メモ作成等のタスクを支援
- 開発者向けにもコード生成等の支援を行う
- データからの洞察・抽出も可能
- 安全性と信頼性が高い
- 2024年に日本語対応予定
Duet AI の始め方
Duet AI for Google Workspaceを始めるには、Googleの専用フォームから申し込みを行う必要があります。申し込みの手順に移る前に、まずは使用するアカウントがGoogle Workspaceアカウントであることを確認してください。Google個人アカウントしかない場合には、新たにGoogle Workspaceアカウントを登録する必要があります。
確認ができたら、申し込みフォーム【https://inthecloud.withgoogle.com/duet-ai-ga-contact-sales-form/】にアクセスします。
フォームには、以下の項目を記入する必要があります。
- Number of employees at your organization:あなたの組織の従業員数
- Are you currently a Google Workspace customer?Yes/No:現在 Google Workspace をご利用ですか?はい/いいえ
- First Name:名
- Last Name:姓
- Job Title:役職
- Business Email:ビジネスメール
- Phone Number:電話番号
- Business name:商号
- Industry:業界
- Country:国
- Do you have a comment/question:コメント/質問はありますか
- Sign me up to receive news, product updates, event information and special offers about Google Cloud from Google. I understand my personal data will be processed in accordance with Google’s Privacy Policy.Yes/No:登録すると、Google から Google Cloud に関するニュース、製品アップデート、イベント情報、特別オファーを受け取ることができます。 私の個人データは Google のプライバシー ポリシーに従って処理されることを理解しています。はい/いいえ
Submitからフォームを提出し、届いたメールを確認後、Admin Consoleの「サブスクリプション」にDuet AIが追加されていることを確認して導入は完了です。
Duet AI の使い方
ここからは、Duet AIを実際にGoogleのツール上で使う方法を、ツールごとにご紹介します。
- Google ドキュメント・Gmail
- Google スライド
- Google スプレッドシート
- Google Meet
- Google Chat
- Google Cloud
以上6種類のツールにおいて、Duet AIを使ってできることを見ていきます。
ただし、Duet AIは、現在英語にのみ対応しており、日本語には未対応です(2024年対応予定)。そのため、Duet AIを使うには、まずは以下の手順に従って、Googleアカウントの言語設定を英語にする必要があります。
Googleアカウントの言語設定を英語にする手順
まず、Googleアカウント【https://myaccount.google.com/?utm_source=chrome-profile-chooser pli=1】にアクセスします。
ダッシュボードから「個人情報」を選択、下にスクロールし、「ウェブ向けの全般設定」の「言語」をクリックします。
英語(English)を選択して完了です。日本語に戻す場合にも同様の手順が必要になります。
【1】Duet AI × Googleドキュメント・Gmailでできること
Duet AIを活用することで、文書作成の際に単に書きたいトピックを入力するだけで、Googleドキュメント上に即座に原稿が生成され、ライティングを完全に自動化します。
Duet AIのすごいところは、単に文章を自動生成するのみならず、Google上のドキュメントやスプレッドシート、メールなどあらゆるデータを基に、文章を作成できるという点です。
また、
- 既存の文章の要約
- タイトル作成
- パラグラフの追加
- リライト(Rephase)
- 多言語対応の文法チェック
- 文章に基づいた資料の作成
などに加えて、生成された文章(またはもとにした資料)に関して、追加の指示や、作成したいコンテンツ(マーケティングキャンペーンやSNSの投稿など)の生成を、メッセージ形式で依頼できるという点も画期的です。
文章の校正やトーン、スタイルに関する機能が一段と強化され、校正候補ツールが提案する表現の選択肢や、それに対する柔軟なコントロールが向上しています。
上から、
- トーン(フォーマル/カジュアル)
- 要約
- ビジュアライズ(箇条書きなど)
- 文章を詳しく(長く)する
- 文章を短くする
- もう一度生成をやり直す
などの操作がワンクリックで可能です。
以上より、Google ドキュメント・GmailではDuet AIを以下のように活用できます。
- 文書の書き出しをサポート
例えば、資料のアウトライン作成においては、Duet AIにプロンプトを与えることで、アイデアや初稿の文を洗練された形に仕上げる際の役立つヒントを提供し、アシストしてくれます。
ユーザーは採用すべきアイデアを残し、修正が必要な箇所を調整し、あるいは新たにメッセージを追加することで情報を追加したり、関連する新たなコンテンツを生成できます。
変数を用いた実用的な資料を自動生成
例えば、職務経歴書の作成を例として考えてみましょう。
Duet AIは、単に文を生成するだけでなく、例えば、文書に含めるべき場所やステータスに関する情報に対して、スマートチップを活用して、特定の経験やスキルに関する的確な情報を効果的に挿入、さらには会社名などの詳細な要素にも変数を用いて自動的に適応します。
この機能により、異なる職務経歴書で同じテンプレートを使用しても、適切な情報が自動的に組み込まれ、効率的にプロフェッショナルな文書を生成することが可能です。
移動中でもメールを簡易化
簡単なプロンプトを入力するだけで返信が提案できるようになります。現在提供中のモバイル版に加えて、メールの文脈に基づいて名前やその他の関連情報を自動的に挿入し、プロフェッショナルな返信を作成する機能も追加される予定だそうです。例えば、
「提案されたトピックについての詳細を尋ねる」
などのシンプルなプロンプトを入力することで、Duet AIが文脈に基づいた精密なメールの下書きを生成できるようになるということです。もちろん、長さ、トーン、構造などを変更するプロンプトを使用して簡単に編集することも可能です。
【2】Duet AI × Google スライドでできること
Googleスライドでは、Duet AIを使い既存の資料を使用して、自動でプレゼン資料を作成することができます。
つまりDuet AIが、「第3四半期のパフォーマンスの概要を作成してください」といったユーザーの指示に従い、Googleドライブ上のドキュメントやGmailから関連するコンテンツを抽出し、テキスト、グラフ、画像を交えたスライドを1から作成してくれるということです。
画像の例でのプロンプトは、以下の通りです。
This sales presentation from Cymbal outlines plans to expand a new coffee line to South America, including timelines, pricing, and how to differentiate their coffee from competitors.
Create a slide based on(Googleドキュメント)日本語訳:Cymbal(企業名)からのこの営業プレゼンテーションでは、新しいコーヒーラインを南アメリカに拡大する計画が詳細に説明されています。具体的なスケジュールや価格設定、競合他社との差別化方法も含まれています。
(Googleドキュメント)に基づいてスライドを作成してください。
さらに、資料で使えるオリジナルの画像やグラフを、Googleスライド上で自動生成できます。
資料を作る時の画像集め、グラフの作成など、地味に手間のかかる作業だったのではないでしょうか?
Duet AIでオリジナルの画像を作成すれば、数々のフォルダやフリー画像サイトと、資料作成の画面を行き来する必要がなくなり、スムーズに作業を進められます。また、まだ存在していない商品やサービスのイメージを可視化して、チームの想像力を膨らませる手助けにもなるかもしれません。
また、現時点では実装が確認できませんでしたが、Duet AIの公式紹介動画(デモ)を見ると、今後はプレゼンテーションの台本の作成・追加もDuet AIに依頼できるようになりそうです。
プレゼン資料作成の自動化ツールは他社でも提供されていますが、Duet AIはやはり、「Google上のあらゆるデータと連携した自動化」が強みと言えそうです。
【3】Duet AI × Google スプレッドシートでできること
Googleスプレッドシートの新しい「Help me organize」の最大の特徴は、テキストで指示を出すだけで、複雑な計算式を即座に生成し、表などに可視化できるという点です。
自動生成されたあとは、細部を自分で編集できます。
Duet AI × Google スプレッドシートでは、以下のような効果が期待できます。
アイデアをアクションへ、データをインサイトへ
Duet AIは、アイデアを具体的なアクションに変え、データをインサイトに変換するのをサポートします。
具体的には、セル内のデータの文脈を理解し、自動的にラベルを割り当てることによって、手作業でのデータ入力を簡略化します。例えば製品開発チームがユーザーからのフィードバックを分析する場合や、人事採用担当者が面接で得た情報を要約する場合でも、迅速かつ効率的に分析結果を可視化し、それに続くプランを自動生成できます。
これにより、分析にかかる時間と手間を節約し、より迅速に意思決定や行動に移すことができます。
プロジェクトの進捗を管理を効率化
GoogleスプレッドシートでのDuet AIの活用は、プロジェクトの管理の効率化にも効果的です。
例えば、製品開発プロジェクトにおける、進捗状況や担当者、締切などをトラッキングするための分類やプルダウンの作成を、プロンプトで指示できます。このような一部作業の自動化は、結果としてクリエイティブな作業に集中する時間を増やすことにつながります。
【4】Duet AI × Google Meetでできること
Duet AIをGoogle Meetで用いることで、会議の効率性、参加者の満足度、リモートワークの円滑な進行をサポートする機能が向上します。
主な機能としては、ワンクリックで会議の要約やトランスクリプト、要点(アクション)が自動でまとめられるようになるようです。この際、「要約にFAQセクションを追加する」など詳細に条件を指定することもできます。また、要約などはそのままドキュメント化ができ、保存・共有も非常に容易です。
その他、現在確認できている主な機能は以下の通りです。
オリジナルの背景画像を即時生成
ビデオ会議に独自の背景を生成する機能が搭載されます。これには、ユーザーの周囲のプライバシーを保護しながら、ビデオ会議中の印象を強める効果があります。
オンライン会議の品質向上
Duet AIは、特にリモート参加者に対して、会議をより見やすく、聞き取りやすくします。具体的には、画面の会議室の中が見えにくい場合や、遠くに映る参加者がぼやけている場合に、リモート参加者専用のビデオタイルが提供されたり、電波が不安定な外出先からのリモート会議で、自動的に周囲の騒音を軽減し、画質を向上させ、途切れる音声を自動修復したりなどが可能になります。
自動翻訳字幕
18言語の自動翻訳キャプション機能が実装されます。異なる言語が話されると自動的に検出し、リアルタイムで翻訳を字幕表示します。言語の壁を越えスムーズなコミュニケーションが可能になります。
議事録自動生成
会議の進行をサポートするために、Duet AIは「メモを取る」機能を導入し、リアルタイムでメモやアクションアイテムをキャプチャし、会議後に参加者に概要を提供します。これにより、議事録の作成を自動化し、遅刻者や参加できない者も見逃した情報を確認でき、会議の理解が深まります。また、自動で作成されたメモ(議事録)は、ワンクリックでドキュメント化できます。
Duet AIが代理で会議に参加
会議に参加できない場合、「出席」機能を利用すれば、Duet AIがユーザーの代わりに会議に参加し、メッセージを伝え、要約を取得します。
【5】Duet AI × Google Chatでできること
Duet AIの導入によって、Google Chatの最新のユーザーインターフェース、新しいショートカット、強化された検索機能によって、会話を迅速かつ効果的に把握できるようになります。Duet AIと連携して、チャットから質問やドキュメントの要約などが簡単に行えます。
また、移動中や対応の優先順位が高いときに、Duet AIを使用してGmailのスマートリプライを強化し、ワンクリックで、パーソナライズされた長文の返信を作成できるようになります。
【6】Duet AI × Google Cloud でできること(コーディングアシスト)
Duet AIをGoogle Cloud上で利用すると、簡単なテキストの指示を入力するだけで、AIがコードの補完・生成・説明を自動で実行してくれます。
Google Cloud(GCP)とは、Googleが提供するクラウドコンピューティングサービスで、ビッグデータ分析、ファイルやデータの保存・管理のクラウドストレージサービス、アプリケーションの開発・管理サービスなどの21種類のツールを含みます。
テスト段階では、
- コード生成
- 引用元の提示
- テストコードの生成
- API設計と公開
- アプリケーションの移行及び最適化
- アプリケーションの安全性の確保
などが可能であることがわかっており、これによって以下のようなことが実現します。
- コードの問題を解決するためのガイダンスをAIが提供してくれる
- プロジェクトのコードをAIが生成してくれる
- コーディング時にインラインでコードの候補を表示してくれる
- コードで疑問点がある部分を選択してチャット機能で質問でき、AIが回答を返してくれる
- コードの可読性を高めたり、ユニットテストを生成したりするなど、スマートアクションを利用できる
つまり、開発作業を、会話形式で支援して生産性を高めてくれるAIアシスタントとして、Duet AIを利用できるようになるということです。
コード関連の様々なタスクで人の手を借りずに済むので、開発スピードや品質の向上が期待できます。
Duet AI for Google Workspaceの利用料金
Duet AI for Google Workspaceの利用料金の利用料金は、14日間の無料トライアル後、ビッグビジネス向けに、ユーザー1人あたり月額30ドル(約4000円)で提供されています。これはMicrosoftが提供する企業向けAIツールの「Microsoft 365 Copilot」と同じ価格設定です。
さらに、個人および小規模ビジネス向けの価格詳細は数ヶ月以内に発表予定とされていますが、現時点では詳細は不明です。
まとめ:Duet AI を使ってみた感想
今回は、Googleが新たに提供を開始した生成AI搭載の新機能「Duet AI」について、概要と始め方・使い方、そして利用料金をご紹介しました。
実際にDuet AI(トライアル利用時の名称は「Duet AI for Google Workspace」)のトライアル機能を使ってみた感想としては、「2024年以降の日本語への対応に期待」といったところでしょうか。普段から英語を使っている方にはもちろん何の問題ありませんが、そうではない多くの日本人にとっては、現時点では最大限に活用するのが難しく、また使い始めるのにもハードルを感じやすいというのが率直な感想です。
とはいえ、Googleドキュメントの執筆や要約、スライドの画像作成など、実際に操作してみたところ精度は非常に高く、もし本格的に活用できたら、業務改善に役立つことは間違いありません。
また、これらの機能を、他のツールを導入せずとも、全てGoogle上で一括管理・使用できるという点を考えると、コストパフォーマンスの観点も含めて、Duet AIの導入は非常に効果的だと考えられます。
ただし、Google WorkspaceをはじめとするGoogle周辺ツールが導入されていない組織では、Duet AIの導入以前に、Google Workspace等運用の環境を整える必要があるため、すぐに効果を実感することは難しいかもしれません。
現在は無料のトライアルを誰でも利用できるので、Googleの革新的な新機能、Duet AIをご自身で一度試してみてはいかがでしょうか。
生成AIについての詳しい資料はこちら
生成AIについて独自にまとめた資料を無料でダウンロードいただけます。
2023年の生成AIトレンドから2024年のAI動向予想まで、活用例を含めてご紹介しています。
参考サイト:
Google Workspace Productivity Tips – YouTube
Duet AI for Google Workspace を発表
Duet AI for Google Workspace now generally available
https://workspace.google.com/blog/ai-and-machine-learning/5-ways-supercharge-your-work-duet-ai?hl=en
Demo of Duet AI for Slides in Google Workspace
Introducing Duet AI for Google Workspace
Duet AI 支援によるコード | Cloud Workstations
Google Cloud の概要